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社会保険労務士酒井嘉孝ブログ

東京都武蔵野市で社労士事務所を開業している酒井嘉孝のブログです。
(ブログの内容は書かれた時点のものとご理解ください)

業務災害(労災)について③

2018年03月07日 17時36分58秒 | 社会保険・労働保険
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

業務災害が起きてしまった際の治療は病院やクリニックで行うわけですが、被災された方はいったんは事故が起きた場所の最寄りの病院やクリニックへいくのが普通です。
もし状況が良くなくて担ぎ込まれた病院で動けるようになるまで長期に治療する場合以外は最初の病院から治療を受けやすい自宅最寄りの病院等に移ることが多いです。

ここで気をつけなくてはならないのは労災の「指定病院」とそうでない病院があるということです。
街にある普通の病院やクリニックのほとんどが労災指定病院ですがたまにそうでない病院があります。

労災指定病院でないと労災事故の治療が受けれられないわけではありません。
ただ業務災害となった場合に労災指定病院とそうでない病院では、治療に際して病院、クリニックに出す書類と手間が変わってきます。

指定病院の場合が「療養補償給付たる療養の給付請求書」で指定病院でない場合は「療養補償給付たる療養の費用請求書」です。
これが正式な書類の名前ですがこの呼び名でいう人はほとんどいません。
給付の方を5号用紙、費用の方を7号用紙と呼んでいます。病院や労基署でも5号、7号で通じます。

労災事故が発生して被災労働者から病院へ5号用紙が出されると基本的には治療費は労災保険から出されるので治療を受ける人も会社も治療費はかかりません。

労災指定病院でない病院で治療を受ける場合は基本的にはいったん治療を受ける方が治療費をいったん立て替える必要があります。健康保険ではないので立て替える治療費は3割ではなく10割です。
治療を受けるさいに7号用紙を病院に出して医師にの方に証明をしてもらい、労基署に提出すると負担した治療費全額が返ってくるという流れです。

最終的な負担は変わらないとはいえ、いったん全額立て替えなくてはならないのは負担が大きいものです。
最初に行く病院は選べないこともあると思いますが、自分で選ぶ病院は労災指定病院にしたいものです。

労災指定病院を検索する厚生労働省のサイトもあります。
http://rousai-kensaku.mhlw.go.jp

なお、労災指定病院の歯医者さんは割合として少ないようです。労災で歯を痛めることが割合として少ないからでしょうか。

社会保険労務士会の必須研修会

2018年03月03日 08時45分58秒 | 日記
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

昨日、東京都社会保険労務士会武蔵野統括支部の必須研修会に行ってきました。

社労士会の研修は有料のものも多いですが、先般の倫理研修と必須研修は無料です。
倫理研修は5年に1回絶対受けなければならないものですが、必須研修はそこまでの温度感ではなさそうです。


今回の研修の内容は支部の担当先生による「行政手続き簡素化が社労士業務に与える影響と事務所セキュリティ対策」、早稲田大学教授小倉一哉先生による「『働き方改革』の行方と『長時間労働の是正』に向けての労働時間管理の実務」でした。

ものすごく短く言うと、前段の「行政手続き簡素化~」は『社労士の手続き業務は今後電子申請をすすめなければならない。』という内容でした。

社労士が行なう主な手続きは特別なソフトを導入しなくてもe-Gov(イーガブ)から電子申請を行なうことができます。
ですがe-Govの電子申請は慣れが必要で、私も最初はたいへん苦戦しました。郵送代を考えなければ紙で書いて出した方が速いと感じることもあります。
しかも手続きによってはe-Govでの届出から2週間以上たって不備で返されるということもあり、紙で届け出たほうがはやいということもあります。
とはいえ届出のセキュリティー度は高く、電子化は避けられないので利便性の向上を期待しています。


後段の「働き方改革の行方と長時間労働の是正~」については論点が多かったのですが特に印象に残ったものを書きます。
・長時間労働の是正(≒残業を減らす)には残業をしている人に直接働きかけることが必要で単に「仕組み」だけを導入ただけでは労働時間削減にあまり意味がない。

労働時間に関する事件では最近の電通での事件が有名になってしまいましたが、1991年(平成3年)の最初の「電通事件」で多額の費用をかけて「仕組み」を導入したがまたも痛ましい2度目の事件が起こってしまったことを挙げられていました。
結局「仕組み」だけでは残業の抑制にはならなかったということでした。


なお今回の場所は吉祥寺駅そばの武蔵野公会堂でした。
ドラマにも出てきそうな年季の入った建物です。Wikipediaによると1964年(昭和39年)落成だそうで、最初の東京オリンピックの頃からあるんですね。
建物にかなり興味をそそられましたが、その目的で来たわけではないので建物探訪はまた今度にします。