社会保険労務士酒井嘉孝ブログ

東京都武蔵野市で社労士事務所を開業している酒井嘉孝のブログです。
(ブログの内容は書かれた時点のものとご理解ください)

労働保険事務組合について

2019年05月15日 14時38分33秒 | 社会保険・労働保険
特定社会保険労務士の酒井嘉孝です。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律という法律があり、その法律に労働保険事務組合のという制度が定められています。
軒先に大きく看板を出しているものでもなく、一般にはあまりなじみがないものと思います。
労働組合と間違われたり混同されることがありますが全く違うことをやっています。

労働保険事務組合は、国に代わって小規模の企業から労働保険料を集め、国に収める仕事をしています。
もちろん勝手にやっているのではなく、厚生労働省から認可を受けた団体です。

国から見れば、日本にある約430万の企業から労働保険料を集めるのはかなりの労力と手間がかかるので、間に労働保険料を集める団体があるのはメリットがあります。労働保険事務組合は滞納などがなく、しっかり労働保険料を集めると国から報奨金が出るのでがんばって集めます。また、お金を集めるばかりでは労働保険事務組合に何か頼もうとしないので、会社にとってもいくつかメリットがあります(労働保険事務組合に頼むことを事務処理を委託するといいます)。


5月末になると各会社へ労働保険料の概算保険料申告、確定保険料の申告のための書類が送られ、7月10日までに申告と保険料の納付をしなければなりません。
労働保険事務組合に入っていない会社は経理担当の方が計算し、書類作成の上申告を行いますが、労働保険事務組合に事務処理を委託している会社は資料の提供を行えば計算と申告を行ってくれるところもあるのでそれだけでもだいぶ手間が省けます(書類作成の案内のところだけの場合もあり)。

また、労働保険料は支払う概算保険料の額が40万円を超えないかぎり原則年1回の支払ですが労働保険事務組合に事務委託している会社は、労働保険料を3分割で収めることができ、資金繰りに余裕ができます。

さらに通常、社長と社長の家族は労災保険に入ることはできませんが、「特別加入」といって実態として従業員と同じ業務を行っている場合、労働保険事務組合に事務委託をすることにより社長と社長の家族も労災保険に入ることができるようになります。
社長も労災保険に入ることにより安心して業務を行うことができます。


ではその労働保険事務組合はどこにあるのかということですが、商工会や商工会議所が運営しているもの、労働組合が運営しているもの、業界団体が運営しているものがあります。
また、親の代から社労士をやっているなど古くからの社会保険労務士事務所は労働保険事務組合を併設して運営している場合あります。

私を含む多くの社会保険労務士は社会保険労務士団体が作った労働保険事務組合の会員になることにより労働保険事務組合を併設している社労士事務所と同じメリットを受けられるようにしています。
社会保険労務士に委託すれば、労働保険の計算と申告はまるごと委託できますし、労働保険事務組合単独ではできない業務もあわせて依頼できるのでメリットは大きいです。

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