愛犬アーサーは耳がデカい。
コーギーはみんな耳が大きいが、その中でもやっぱり大きい。
ご近所の犬仲間さんにも言われたし、種々様々な犬を見て来た家庭犬トレーナーさんも、アーサーをしみじみ見つめて、
「アーサーは……耳が大きいですよね……?」
とつぶやかれた。それぐらい大きいらしい。
このブログの現在のタイトルも、アーサーのデカ耳にちなんだ名前である。ちなみにこの場合の「耳袋」とは、耳カバーのことでは無く、
みみぶくろ 【耳袋】
随筆。根岸鎮衛(やすもり)著。1814年成立。佐渡奉行・勘定奉行・町奉行を務めた著者の見聞きした風俗・習慣・奇談、医術などの故実について記したもの。(三省堂「大辞林 第二版」より引用)
コッチの方である。
まあ、本家のように幅広く珍しい話を集められるはずが無いので、頭に「愛犬」とつけて、うちの犬に限った随筆集、つまりは只の犬日記という意味にした。
さて、これだけ大きいと、アーサーの耳掃除も楽……なはずだが、我慢しながらも身を委ねてくれるようになったのは、つい最近のことだ。
それまでは、耳垢が溜まり易い体質だというのに耳掃除がキライで、逃げるわ暴れるわ。二人掛かりで押さえて、クリーナーを浸した脱脂綿やウエットティッシュを指に撒いてつっこみ続けた。
クリーナーの正式な使い方では、直接耳に洗浄液をたらして、耳の付け根をもんで、最後に脱脂綿などで拭く、ということになっているが、この暴れ者はそんなことさせてくれるはずが無い。
やや大人しくなった最近でも、耳に液体が垂れると大反乱。なので、やむなく脱脂綿で吹き続けている。もっともこの耳のデカさなので、じっとさえしてくれていれば、拭くのは簡単なのだが。
また耳がデカい事を道行く人から、無防備に指摘されることもある。
先日は小学生に、
「あっ! ウサギみたいな犬が歩いてる!!」
と駆寄って大騒ぎされた。
たしかに耳は長いし、足は短いし、しっぽは無いし、お尻はプリプリだし。言われて見ればウサギ的な犬だ。巧い事言うな小学生。
でもな、小学生。この“ウサギ”は噛むし、暴れるし、肉喰うぞ。気をつけろ、小学生。
もっとも、アーサーはこの大きな耳のおかげで、人間が聞き取れないような音もバッチリ拾えている。
例えば夕方になったら林の方に飛んでいくコウモリの超音波(たぶん)とか、草むらやダンボールに潜む猫の気配とか。
毎日見ていると、目はそんなに良く無いし、鼻も意外に駆使していない。一番使っているのは聴覚のような気がする。