NPO法人 専攻科 滋賀の会

盲・聾・養護学校高等部への専攻科設置拡大、そして広く特別な教育的ニーズを有する青年たちの教育機会の保障をめざす滋賀の会

「カレッジ福岡」訪問記

2015年12月05日 17時52分18秒 | 会員募集のお知らせ

※この度当会と連携しているカレッジ福岡長谷川先生の出版記念パーティ兼現地視察に当会森本理事が訪問して参りました。レポートを纏めて頂きましたので、ここに御報告申し上げます。

 11月15日、博多駅近くのホテルで、社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会理事長である長谷川正人氏の著書「知的障害者の大学創造への道」の出版記念パーティーがあった。私はこれまで2011年秋に福岡市内で開催された「カレッジ福岡」の設立総会と、2012年12月に同じく福岡市内で開催された「全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会全国研究集会」で二度福岡を訪問しているが、未だに「カレッジ福岡」に行ったことがない。そこで、長谷川理事長にメールで、パーティー終了後「カレッジ福岡」の見学を依頼したところ、忙しいにもかかわらず早速見学の手筈を整えてくれた。

▲パーティでお礼の挨拶をされる長谷川先生

▲『知的障害者の大学創造への道ゆたか「カレッジ」グループの挑戦』出版物

※この出版物にご興味のある方は、当会senkouka.shiga@gmail.com迄御連絡ください。

 当日私に「カレッ福岡」を案内してくれたのは、長尾さんという女性のスタッフであった。長尾さんは以前知的障害者の施設で働いていて、「カレッジ福岡」に勤めて三年目で主任をしているが、同校では最も長く勤めているらしい。なぜなら、鞍手ゆたか福祉会は今年でスタートから4年目を迎える同校を皮切りに、同じような「福祉型専攻科」を毎年増やしてきて、現在では福岡を中心に5か所運営しているため、職員の出入りも激しいそうである。その中でも「カレッジ福岡」はゆたか「カレッジ」グループのセンター的役割を担っており、新たに採用された職員は、必ず同校で一定期間研修を行うことになっている。

「カレッジ福岡」の建物は、博多駅から車で15分ほどの福岡市流通団地の中にある、5階建ての立派なビルであり、まずその広さに驚かされた。周りは繊維関係をはじめ企業の所有するビルや事務所が立ち並び、この地域全体を警備会社がセキュリティー管理しているらしい。入り口は正面玄関とは別に、裏口が生徒の昇降口になっている。一階のエントランスは明るく広々としており、玄関横の事務室と奥に食堂や厨房がある。

 開設当初は宅配弁当を利用していたが、現在では自校で調理して提供しているため、「安くておいしい」と評判も上々のようである。2階3階が教室や調理実習室など学生が日常的に使っているスペースと職員室であり、同校には現在自立訓練事業と就労移行支援事業の学生併せて28名と8名のスタッフがいるが、いずれの教室も広々としてゆとりがある。また、現在学生は「普通科」の1~4年生と「生活技能科」の1~3年生が在籍しており、完全な学年別クラスにはなってはいないものの、学生のニーズに合わせたクラス編成をとっているため、広い教室をパテーションで仕切ったり、少し奥まった所にソファーをおいてカームダウンエリアにしたりと工夫が凝らしてある。

▲カレッジ福岡エントランスの様子

 私が特に驚いたのは昨年完成した調理実習室で、3口のIHコンロが対面式で計6か所と広々とした流しや調理スペースが完備されていた。また、建物全体にガラス窓が多く使われており、窓からは暖かな光が差し込み、遠くの山並みも美しく見渡すことができた。その他3階には、和室の面接室が二か所と男女別の更衣室もある。4階は理事長室や会議室、5階はワンフロアすべて広々とした空間になっていて、天井が低いため激しい球技などはできないが、卓球やフィットネスなど多目的に活用しているそうだ。

 

 「カレッジ福岡」の特長は建物や設備だけではなく、開設にあたり職員が手分けをして全国の特別支援学校専攻科や「福祉型専攻科」を訪問して情報収集した上で作成した工夫されたカリキュラムと、多くが教員免許を所持していというスタッフの専門性である。つまりハードソフトの両面で充実しているからこそ、他の「福祉型専攻科」には見られない重度障害のある青年を対象とした「生活技能科」コースをつくることができたのだと感じた。

▲カレッジ福岡外観

 さらには「カレッジ福岡」での日中の学びと併せて、鞍手ゆたか福祉会が運営するグループホームを利用することができることも大きな特長である。人が社会的に自立するために、青年期の一定期間家庭を離れて仲間たちと集団生活することの有効性については、多くの入所施設や寄宿舎の実践で明らかである。同校では約半数の学生が同法人の運営するグループホームで生活しており、このことは遠方で通学困難な学生や家庭基盤の弱い学生たちにも学びの機会を保障しているということであり、この点も他の「福祉型専攻科」にはない特長といえる。

 このように4年足らずの間に5か所もの「福祉型専攻科」を立ち上げたゆたか「カレッジ」グループの取り組みは現在もなお日々進化しており,間違いなく他の「福祉型専攻科」をリードするものである。

 最後に「カレッジ福岡」に帰ってきた長谷川氏より、今後ゆたか「カレッジ」グループは、アメリカのような大学との本格的な連携を積極的にすすめると共に、将来的には学校法人格を取得して、障害者の高等教育に取り組みたいとの夢をお聞きすることができた。

専攻科滋賀の会役員 森本 創

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