Sekky's FLOG

福井県立恐竜博物館で研究職員をしている関谷と申します。
仕事の内容はあまり書けませんが、コメントを頂けると嬉しいです。

タイのコラートで発掘してました

2014-01-14 16:47:29 | 地科ネタ
大っっっ変ご無沙汰をいたしております。

諸事情により更新が滞っておりますが、今年もよろしくお願いします。

と言っても、昨年同様(たぶんそれ以上に)滞ります。


昨年末はタイ王国東北部のコラート県(通称)に発掘に行ってました。

その様子は当館のサイトに掲載されているので、ぜひご参照ください。

http://www.dinosaur.pref.fukui.jp/research/2013thai2/#d20131203

http://www.dinosaur.pref.fukui.jp/research/2013thai2/#d20140105


では、また。



解説員講座

2013-01-22 21:09:44 | 地科ネタ
弊館の一般展示室には解説員が待機していて、希望するお客さんには展示室を一緒に廻って解説してくれます(約30分間、60元)。

20代半ばの綺麗どころがそろっています。

そのお姉さま方に向けて、近年の中国における恐竜研究の成果についてお話しする場が設けられました。

解説員の科学的素養の向上を図るためだそうで、私だけでなく、研究に従事する職員がそれぞれテーマを決めて、持ち回りでいろんな角度から話をしてきました。

今日が最終日で、昼食後の1時間、パワーポイントを使っていろいろご紹介しました。


「こんなにたくさんの四川美人の前で話すのは緊張するけど頑張りますね」と切り出したら笑いを取れた。掴みは上々。

こういう機会は初めてなので、どこまで専門的なことを話せばいいのかわからなかったけど、3Dスキャナとか骨組織学とか、目新しくて視覚的にわかりやすそうな話題を選んでご紹介したところ、なかなかの好評を得られたようです。

研究部主任からの指令で分岐分析の手法を紹介した時は何人か眠そうだった。無理もないがな~。もっと上手に話せるようになりたいものです。


最後に、ドン先生の『亚洲恐龙』を進呈した時が一番歓声が大きかった。

翻訳作業のために出版社から頂いたもので、あちこち持ち歩いてだいぶ使い古されてしまっているのが申し訳ない。

よくよく勉強してくだされ。


終わった後、「謝礼」ということで唐突に200元を渡されました。

これくらいは研究部職員としての業務の内だからと丁重にお返ししようとしたものの、みんなに渡してるからと押し切られてしまった。

「じゃあこのお金で皆さんにご馳走しますよ」と切り出したら、逆に断られてしまった。

フム。ガードは堅いのだなぁ。

本が出ます

2013-01-16 23:07:36 | 地科ネタ
董枝明(原著)『亜洲恐竜』(2009)の和訳書です。

株式会社 国書刊行会様より、2013年2月末発売予定で、9,975円(税込)です。
http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336056290/

だいぶ値が張ってしまい、心苦しい限りです。


一昨年末の帰国時に監訳者の冨田先生から翻訳のお話を頂き、董枝明先生へ直接恩返しができる最良の機会と捉え、是非にとお引き受けさせて頂きました。

実際に訳し始めてから約1年もかかってしまいましたが、いよいよ出版される運びとなりました。


これまで帰宅後など勤務時間外にちまちま訳していました。

2012年の上半期、毎日午後7時から12時は、ほとんどこれに費やしたと言っても過言ではありません。

日本の公務員でもないので、そこまでこだわる必要はないんだろうけど、自貢の博物館からもらった仕事ではないので、研究室でするのはなんとなく気が引けたので。

と言っても勤務時間中には全く手を付けなかったというわけでもないのですが。


本書はアジア地域の恐竜化石調査・発掘の歴史と研究者の活躍に重点を置いて叙述されており、概要をつかむにはちょうどよい読みやすさだと思います。

今ではなかなか目にする機会もないような年代物の写真から、アジア各地の発掘現場の様子や最新の恐竜研究の成果まで、豊富な挿図が掲載されているのも本書の大きな魅力です。

個人的な見所としては、第IV章の第7節で、ドン先生が1980年代に四川省自貢を訪れた際、道路工事の作業員が化石に見向きもせず壊しまくって放置していて、愕然としたというくだりです。

いかに恐竜の化石が重要かを広く知ってもらう必要を痛感したとのことでしたが、現在、先生が教育普及に意欲的に取り組まれる熱意の萌芽が伺えました。

あと、同章第9節でフィリップ・カリー博士の念願が叶ってエレンホトへ向かった時の話も感動的でした。

途中、改革解放直後でルートが限定され、不便な道を通らざるを得なかったが、外国人はそのことが理解できず、ドン先生もうまく説明できなくて苦労したという話は「さもありなん」と苦笑ものでした。


さて、本訳書は『アジアの恐竜』と銘打っていますが、もちろん隅々まで完全に網羅できているわけではありません。

日本の恐竜だけとってみても、新書サイズで一冊になるくらいのネタはあるわけだし。

分量としては、中国での恐竜発掘が三分の一を占めています。

また、調査・発掘の経緯とアジアの恐竜研究の歴史がメインなので、個々の恐竜の特徴については要点を軽く触れる程度です。

原著がそもそも一般向けなので、恐竜に相当お詳しい方々は既にご存知の内容も少なくないかもしれません。


私個人としては、近い将来にアジア産の恐竜を研究したいと思っている方、特に大学生や高校生に読んでもらい、その活力源となることを念頭に置いて訳しました。

かつてその年頃にあった自分に向けて、というのが最も的確かもしれません。

本書をきっかけにアジアでの恐竜化石の発掘調査に思いをはせてもらったり、それを研究するための糸口として役立てて頂ければ幸いです。

訳者あとがきでもちらっと触れましたが、原著にはない引用文献を付け加えたのと、巻末の恐竜リストを充実させたのもこのためで、かなりの手間と時間を費やしました。
(実はすでに一か所、誤記が見つかっていますが)

合計503篇の文献を引用していますが、編集のスケジュール上、含めそびれた文献を合わせると、実は追加したい文献があと30篇くらいあります。

これは自分で自分の視野を狭めていたせいなので、今後の反省材料となりそうです。



原著『亜洲恐竜』を熟読する中で、知らなかった情報に出会えたり、認識があやふやだった点を整理できたりと、大変勉強になりました。

また、和文書籍での古生物学用語の書き方とか、中国語発音の日本語表記とか、自分としても収穫の大きい仕事でした。

中国語の発音のカタカナ表記については、最後まで懸案事項でした。

そもそも日本語と完全には一致するわけではない音をカタカナで表記するのには限界があるのですが、なるべく近い音で再現できるよう努めました。

最終的には編集部の方から以下のガイドラインをご提示頂き、微妙な場合はこれに準ずるという所に落ち着きました。
http://www.heibonsha.co.jp/cn/

こういうものが作られているという発想すらなかった…。



今回は学術雑誌への投稿ではないので、査読者にリジェクトされる心配はないのだけれど、自分の文章が正しいのか否か、もっと適切な表現があるのではないかとか、何となく心細くなるのは不思議なものです。

論文の査読でダメ出しされるのはイヤなものだけど、あれはあれで重要な工程なのだなと実感しました。

項目ごとに、それを専門とする研究者に原稿を読んでもらって手直ししてもらえれば良かったのかな~と今では少し思います。

何はともあれ、無事に出版まで辿り着けたこと、初めてのまとまった和訳書という仕事なこともあり、達成感と充実感を味わっております。

前述の誤記と補充したい文献については心残りでもありますが、いつかリベンジする機会もあるだろうと楽観視することにいたします。


翻訳の監修のみならず、古生物・地球科学関連の知識や表記について多大なご指南を頂いた冨田先生には改めて感謝申し上げます。

また、発売元のN島様と発行元のY様には企画段階から最終校の再修正に至るまで、訳者の希望を汲んで頂き、感謝の念が尽きません。

最後になって恐縮ですが、再三に渡る校正とデザインでご助力を頂いたM崎様、F永様、I沼様にも、この場をお借りして御礼申し上げます。
(念のため、この場はイニシャルにてご容赦ください)


というわけで、お小遣い貯めておいてね~

(う~む、購買意欲を煽れるような文章を書くのは難しいな…)

再会

2012-10-16 22:55:39 | 地科ネタ
昨日、無事に自貢へ帰り着きました。

成都で一泊するのは予定のうちだったので、ウィスキーとコーヒーの買い出しを兼ねて、友人にデパート街を案内してもらいました。


新疆ウルムチからの飛行機は、例によって機内で1時間待たされた。

なんだろうね~。ダイヤが過密すぎるのかね。

今回、異常に頻繁に「気流の乱れによる揺れ」がアナウンスされていた。離陸直後から、着陸寸前まで。

もたつくのは百歩譲るとして、遅れた分を取り戻そうと気流の乱れた所を飛んでいるのだとしたら、かなり恐ろしいのう。

無理なダイヤを組まないと採算が取れないとか?

多少高くなってもいいから(どうせ俺の出費じゃないし)安全第一でお願いしたい。



翌日、古い馴染みが自貢へ訪ねて来ました。

ドン先生の学生を自称する、カナダで修士号を取った、中国人。

軽薄そうな恐竜マニアなせいか、日本の知人の評判は、あまり良くない。

まぁ、それはまあ、どうでもいいんだけど。


「ドン先生の最後の弟子」という響きは私にとって一抹の希少価値が見えるので、どちらかというと彼の存在は疎ましい。

まぁ、私も正式にはSG先生の学生なんだけども。

結局、ドン先生ご自身の認識に拠る所が大きい。

ドン先生が僕を紹介する時は「私の学生だ」と言ってくれるが、彼をそのように紹介するのは見た覚えがない。

とは言え、先生はまだまだ御健在であられるので、もう4~5人面倒を見るくらいは十分ありえるかと。


ともあれ、僕が自貢に来てから会いに来てくれた、三人目の知人です。

まあ、僕に会うために来たわけではないのだけども。

足跡化石を見に来たそうです。

今晩、会食の席で、私の知らなかった面白そうな標本を明日見る予定であることを聞きつけた。

張り付いて、お相伴にありつくことにしよう。

マメンチサウルス続報

2012-06-07 00:22:24 | 地科ネタ
自然博物館での観察がひと段落して、IVPPの近くに越して来ました。みやこの西北です。

チェーン経営のホテルなので、いくらでも空きがあるかと思いきや、当日予約は満室で、少し離れた所しか取れなかった(バスで3駅)。

北京だとそんなもんなのか。次からは早めに予定を組もう。


それはいいとして、自然博物館のマメンチがちょっと厄介なことになりました。

約60年前の原記載論文がかなり雑だし、近年の竜脚類研究の進展もかんがみて、模式標本の再研究を共同でしませんかと持ちかけたところ、標本係の主任さんは快諾してくれたのですが、館長に拒絶されたらしい。

外部の発案というのが気に入らないらしく、再研究するなら自分たちだけでやると。

それならそれでかまわない、というか残念だけど仕方ない、ていうかやるなら早くしてほしいのだが、今回僕が計測したデータ、写真、諸々の資料を全て置いて行けと言い出したらしい。(主任さんからの伝聞)

それはひどいんじゃないかなぁ。標本観察の申請書には写真撮影するってことも書いておいたのに。


どうやら主任さん、館長にきちんと話を通してなかったらしい。

今回の観察のために主任さんは色々と手配してくれたので、あまり困らせるのは忍びなく思い、当初の計画にあった、分岐分析のためのデータを集める、という所までは譲歩を引き出した。


う~む、共同研究とか言い出さなければ、すんなり帰れたのかなぁ。しまったな~。余計なことを言ってしまった。

写真まで取り上げられたら、何のために出張してきたのかわからん。

でも、あれの再記載が世に出るというのは魅力的だし、僕の研究課題としてもかなり不可欠な部分を占めるのですよね。やっぱ言い出さない手はないよな~。

でもヤブヘビだったな~。

自然博物館としても、倉庫にしまいっ放し(箱番号すら無し)だった標本の価値が高まるんだから、悪い話じゃないと思うんだけどな~。


館長は保守的な人だから共同研究は難しいかも、と言われていたのですが、予想以上に厄介なことになってしまいました。

考え方が根本的に違う気がする。自貢の収蔵庫の門番みたいな人なんだろうか。

たぶん、僕みたいな下っ端が何を言っても無駄。

自貢のと同類だとすれば、上からの命令で動かすのが一番手っ取り早い。

ドンパワーはここまで及ぶのかなぁ。SG先生はちょっと畑が違いそうだしなぁ。

自貢の館長から共同研究を申し入れてもらうというのはどうだろう。帰ったら相談してみよう。

館長の異動を待ってみるとか?若そうなひとだから、そのうちどっか栄典(もしくは左遷)でいなくなるんでない?
http://www.bmnh.org.cn/Html/List/list3.html
あれ?ていうか俺、この人に会ったことあるような気がする…


僕から館長に直談判しても平行線、というか事態が悪化する感じがしたので、「何はともあれ、分析用にデータ化する作業が必要なので、時間を下さい」ということで引き下がりました。

やれやれ、いい感じでデータが集まってホクホクだったのになぁ。

最後に致命的な懸案事項が生まれてしまったぜ。

Mamenchisaurus constructus

2012-05-30 22:17:54 | 地科ネタ
昨日から北京に来ています。

本当は3月早々に来たかったんだけど、他所からのお客さんとか、変なモニュメントの除幕式とか、新疆の発掘とかで遅れに遅れて、やっと来ることができました。

遅れと言えば昨日の飛行機、北京の天候不良だそうで四川省宜賓空港からの出発が2時間も遅れた。

本当に天気が理由なら仕方ないけど、乗り継ぎ予定の人は大変だったろうなぁ。


搭乗から離陸までが大慌てで、救命胴衣とかの説明ビデオを放映しながら飛び立ちました。

普段は電磁波ウンヌンで全部切ってから離陸するはずなのに、相当焦ってたと見える。

焦りは余計なミスを引き起こしかねないから、離陸時は少し揺れるだけでも本当に怖かった。手帳に遺書を走り書いたくらい。

無事に着陸できて何よりです。


ところで北京、いろいろとすばらしい。

大通りからだいぶ入った安ホテルなのに、裏路地の売店でウィスキーを買えた。

しかもジョニ黒が130元って自貢の半額やん。

ちょっと先のスーパーでは250元だった。何が違うんだろう…

洗濯物は一晩で乾くし、北京素晴らしす。



M. constructusは1954年に記載されたマメンチサウルス属の模式種で、この属を語るなら避けては通れない標本なのですが、楊鐘健の代表作の一つ(と私は勝手に思っている)にも関わらず、なぜか保管されているのはIVPPではなく北京自然博物館という情報をキャッチしました。

吉林大学院時代の先輩が同博物館で働いており、そのつてで標本管理担当者にアポを取ってもらい、晴れて今回の標本観察が実現しました。

おぉ、吉林大学に留学したのがこんな形で効いてくるとは。ドン先生がそこまで見越して僕を孫革先生に預けたとは考えにくいが、もしそうならちょっと震えるね。


でも保管されてるのが車で郊外まで1時間ほど走った貸倉庫なもんで、往復の時間がもったいない。

17時頃からの帰宅ラッシュ大渋滞を避けるために、15時半くらいまでしか観察できないし。いっそ倉庫に住めないかなぁ。トイレと洗濯機はあるが、シャワーがないか。

現場で付き添ってくれてる標本係の兄ちゃんは、博物館への搬入も検討してくれてるみたいです。

「今後、見たいと言う人が増えた時に便利だろう?」とのお言葉は誠にありがたいが、そんなに増えるとも思えないのは黙っておいた。

重慶 武隆

2012-05-29 22:29:50 | 地科ネタ
ジオパークどころかユネスコの世界遺産だった。
 

行きたくないとか言ってごめんなさい。

カンブリア、オルドビス紀の石灰岩を流水が削った、いろんな地形が点在しています。

1日目:天生三橋

まずエレベーターで50mほど降ります。

川が石灰岩をくり抜いた、でかい穴。が3コ。
  

あいにくの雨だったが、かなり見応えはあった。


タイトルは「猿の顔」だそうです。

2日目:大草原
っていうほどでかくもない気がするが。
明け方の雨で芝生がびちょ濡れでなければ、寝そべってのんびりしたかったな。
 

 


なんか甲虫。カブトムシ系かね?

道端の石灰岩にアンモの化石がゴロゴロしています。

研究部主任は石を割って取り出そうとしてた。自貢でそれをやられたら、あなた激怒するのでは?

遊歩道の終点の売店で売られていた獐子(キバノロ)なる動物の干物。
肉食獣のような歯だけど、シカの仲間だそうな。
 

3日目:芙蓉江(川下り)
クルージング。曇り。風がなくてよかった。
 

 


ピース岩

芙蓉鍾乳洞
 


さわれるほど近い。所々欠けているのは、あまり考えない方がいいのだろうか。
年間200万人くらい訪れるそうです。

 

 

 

 


うー、ペンタックス(Optio W90)は暗い所に弱い。一眼レフ持ってけば良かったかなと思わなくもないが、石灰水がポタポタ垂れてる中を持って歩く気にはなれない。


タイトルは「生命の源」だそうな。
雌の生殖器もないと命は生まれないよ?


石林ってあっちこっちにあるのかね。

昆明の近くのの方が少し規模は大きかった気がする。

 

 

 

 
べレムナイトがゴロゴロしています。
オルソセレス

砂嵐

2012-04-22 19:08:33 | 地科ネタ
ちょうど日曜日にサンドストームが来たので発掘はお休みになりました。

記者発表から一週間たって疲れもたまってるだろうし、発掘終了まで一週間というところで、ちょうどよかったのではないかと。

街中まで真っ黄色。出歩く人もほとんどいない。


1年に4,5回こういう日があるそうな。3~4日間は続くそうな。明日からの発掘どうなるんだろう。


ドイツ人たちはラボに行ってクリーニングするそうな。働き者だなぁ。

彼らは炎天下の露頭でもほとんど休まずに黙々と働いている。中国人がサボりまくってるのを見ても不平も言わずに、「これが俺らの普通だから」と。

まぁ内心あきれてるみたいだけど。


ラボでは竜脚類の頸椎をクリーニングしているそうで、見せてもらいに行きました。

先日のアジア最大のとは別個体で、やや小ぶりですが、さほどつぶされず立体的に保存されていました。

「竜脚類の専門家はお前だけだから、記載してくれ」と。おぉぅ、また仕事が増えた。幸せなことです。


ちなみにドイツ人はラボに着くなり「とりあえずサンドストームを見に行こうぜ」と砂漠へ繰り出した。

僕も一目見てみたかったので着いて行ったのですが、まさか一番高い砂丘まで登るとは思わなかった。

一週間前(晴れの日)にも登って、ヘトヘトになったのですよ。

 
  晴れの日    サンドストーム中


砂丘の頂上は風がものすごくて、久しぶりに身の危険を感じた。

まれに破れた段ボール箱とかが飛んでくるんだけど、あの速さで顔に当たったらメガネは飛ぶだろうし鼓膜も危ないのではなかろうか。

ドイツの学生たちは楽しそうにはしゃいでいた。若いっていいなぁ。(約5才差)


余談ですが、記者発表してから、発掘現場を見に来る人が増えました。

だいたいは物見遊山で来る鄯善県の人ですが、昨日は土曜で特に多かった。

小学校低学年の遠足。一人、英語がすごく上手でドイツ人に話しかけてるメガネ君がいた。


「日本人はいないの?僕、日本語も話せるんだよ」と息巻いていたので無視した。

別の一団で、僕を日本人だと見分けた人がいて少し驚いたけど、「日本人は山田とか鈴木とか珍妙な名前なんだろ?お前はなんていうんだ?」と無礼だったので無視した。

新疆発掘

2012-04-15 23:33:50 | 地科ネタ
新疆鄯善の恐竜発掘チームが記者会見を開きました。
http://roll.sohu.com/20120415/n340600661.shtml

アジアのジュラ紀で最大だとか。

たしかに化石はでかいです。大腿骨は2mくらいある。

胴椎から仙椎、下肢骨も関節してるのは研究に役立ちそうですね。

掘ればまだまだ出てきそうなのが楽しみです。

でも、どうやって化石を取り出すのか考えるだけで頭が痛くなってくる。

いっそ現地展示にするか?でも地層がほぼ直立してるから、支えとかないと落ちるよね。


記録は往々にして塗り替えられるものだから、一番か否かはあまりこだわらない方がいいと思うけど、偉い人たちには大事みたいです。

わかりやすい話題にだけ飛びつくのではなく、どんなふうに大きくなったとか、なぜ大きくなれたかとか考えるのも面白いと思うんだけどなあ。


新疆のワイン、うまいです。

甘くなく、酸っぱくもなく、渋くもなく。葡萄そのものの味って感じで飲みやすい^^

ドイツより来客あり

2012-03-11 22:46:13 | 地科ネタ
ドイツから数名の研究者が竜脚類の標本観察に来られました。

去年の12月にボン大学で知り合った方々で、特に頚椎の関節様式と姿勢復元を研究しておられます。

僕としても一緒に標本を見ながら疑問点を相談したり意見交換したりできて、願ったり叶ったりでした。

余談ですが、オメイサウルス(Omeisaurus tienfuensis)の頚椎を収蔵庫から引っ張り出して見たところ、別個体の第16と17頚椎に同じ標本番号が付けられていました。

管理者をとっちめてやらねば。


成都で別の標本を観察したいとのことで、通訳兼ガイド兼共同研究者として同行させてもらっています。

マメンチサウルス・アンユエンシス(Mamenchisaurus anyuensis)のタイプ標本は産地の近くのお寺が管理してるんだけど、なぜかそこの僧が意固地になってて、研究者が見に行っても写真すら撮らせてもらえないそうな。

自貢よりひどいな。

修行僧になれば見せてもらえるなら、やぶさかでもなくもない。


午後、時間ができて、パンダも見たいとのことで、パンダ繁殖研究基地にご案内しました。

というか僕も来るのは初めてで、成都の人に聞いてみたところ、パンダだけを見たいなら動物園には2頭くらいしかいないそうで、こちらを勧められました。


入り口の看板。どっかで見た絵柄だね。
ちなみにパンダは中国語で熊猫(Xiongmao)、トトロは中国語で龙(=竜)猫(Longmao)


生でパンダを見るのは数年前に上野の動物園以来か。ふてぶてしく寝そべって笹をむさぼっていました。
飼育員が放り込んだ笹の枝が頭頂部をヒットしてたけど、飼育員もパンダ自身も全然気にしていなかった。


相変わらずふてぶてしくむさぼる2匹。
上野でも思ったけど、白い毛が茶色くなってると、愛嬌があるような、でもなんかみすぼらしいような。


子パンダは木に登りたがるのか?
5匹くらい見たけど、みんな木の上にいた。


すみっこでやさぐれてるのも1匹いた。


経団連が資金援助してるそうな。


私は国宝です。


レッサーパンダもたくさんいました。


なぜか孔雀が放し飼いされてた。
人を恐れず、客の手からエサをもらって食べてた。


桃(?)がきれいに咲いていました。

 
白鳥と黒鳥


※追記
パンダは中国語で雄猫じゃなくて熊猫でした。訂正させて頂きましたm(_ _)m

Chuanjiesaurus anaensis

2012-02-08 14:36:39 | 地科ネタ
ものすごく遅くなりまして、すでにご存知の方もおられるかと思いますが、弊著論文が出版されましたのでお知らせいたします。

福井県立恐竜博物館、紀要10号
http://www.dinosaur.pref.fukui.jp/archive/memoir/memoir010.html


私の吉林大学研究生院(大学院)での、博士学位論文の前半部分(というか分量的には大半)です。

本論文は中国雲南省禄豊県のジュラ紀中期の地層から発見された、竜脚類恐竜(いわゆるカミナリ竜)、チュアンジエサウルス・アナエンシス(Chuanjiesaurus anaensis)について再研究したものです。

この種は、頭部を除く7~8割方もの骨格が発見されているにもかかわらず、2000年に極めて簡素な報告(A4の紙1ページ)で命名されて以来、詳しく研究されていませんでした。

本論文では、模式標本と参考標本を詳細に記載し、本種の特徴を規定したほか、マメンチサウルス科に分類されることを明らかにしました。
(余談ですが、マメン「キ」サウルスと呼ぶ方がおられますが、現地での発音に準じて「チ」と表記しました)
もうひとつ余談ですが、「マメンチ」の中国語表記は「马门溪」で、普通話(いわゆる標準語)での発音は「マーメンシー」なのですが、四川方言では「マーメンチー」と発音するので、「チ」と表記しました。

また、中国南西部産の竜脚類に焦点を当てて分岐分析を行ったところ、その主要な種類が互いに近縁であることがわかりました。
(なお、査読者からの御意見を受けて、分岐分析のデータを学位論文から大幅に修正しました。)

さらに、このグループはより進化した竜脚類と共通する特徴を合わせ持ち、従来考えられていたほど原始的ではないことが明らかになりました。


最後になりましたが、福井県立恐竜博物館紀要のサイトへのリンクを快諾してくださった、同館学芸員の千秋様に御礼申し上げます。

ドイツ出張

2011-12-18 21:39:33 | 地科ネタ
先週末まで一週間ほど、ドイツのボン大学で開かれた、竜脚類のワークショップに参加させて頂いておりました。
Biology of the Sauropod Dinosaurs: The Evolution of Gigantism

「竜脚類はどのように巨体化したのか」というテーマに、いろんな研究者がいろんな角度から臨んでいました。

自分が今までやってきたこと(記載とか分類とか系統分岐とか)とは全く違うスタンスの研究の話を聞くのは新鮮でした。

恐竜がどんな生き物だったのかを調べるには、ずいぶんいろんな方法があるんだなぁと視界が開ける思いでした。

いくつかの発表でマメンチサウルスが取り上げられており、稀少な標本にアクセスできるのは、得難いアドバンテージなのではないかと自覚しました。

対外交渉の橋渡しとか、中国にいるからこそ貢献できることもいろいろありそうだなと思っています。


ワークショップ自体は4日間ほどの日程で、出張の後半はベルリンの自然博物館を見てきました。


ロビーのブラキオサウルスは近年修正されて、より新しい研究結果を反映した復元になっているそうです。


あとは収蔵庫に篭ってプラテオサウルスを見てました。


最後にボンの町を少し観光しました。
  
ベートーベンの生家が有名らしい。うん、見る人が見れば面白いんだろうな。

ボン大学でポスドク中のH君には大変お世話になりました~
m(_ _)m

貴州と河南

2011-10-31 11:46:03 | 地科ネタ
御無沙汰です。所用で河南省に来ています。

まぁ、恐竜絡みです。明日、自貢へ戻ります。

河南省地質博物館。


入り口直後の世界地図。日本列島がないよ。


80cmの下あご。ここの竜脚類は何でもデカいね。
 


余談ですが、お酒の席で河南省の人たちの勧め方はかなり強引です。

お猪口で3杯飲まないと座らせてもらえません。他の省ではだいたい1杯。

昔、この辺りが貧しかった頃に、お客様へのおもてなしとして、たくさん飲んでもらいたいという習慣の名残だそうな。

「もう満足です。これ以上飲めません」と言っても、「これがここの習慣だから」と絶対に譲らない。

それ以上はかえって客を不快にするという発想は無いのだろうか。

もう豊かになったんだから、昔の習慣にとらわれることはないと思うのですが。

以前二度来て、二回とも記憶がなくなるまで飲まされた。

中国の中で唯一、もう二度と来たくない所です。



貴州省での学会は、結構おもしろかった。

偉~い先生の口演でも、学生からも質問が出ていて活気があった。

私の中国語は、とりあえず皆ちゃんと聞き取れたようです。

恐竜の研究をしてる院生って、思ってたより多いんだな。

座長が成都理工学院の李先生(マメンチサウルスの大家)で顔馴染みだったので、発表前に僕のことを簡単に紹介してもらえて、和気藹々な雰囲気でした。

質問もいくつか出してもらえて、致命的な欠陥を指摘されたわけではなく、建設的な議論でした。


二日目は野外観察で、滝と地質公園を見に行きました。

これが自称アジア最大らしい。

華厳の滝の方が落差はあったような。幅は狭いかもしれんけど。


关岭地質公園

魚竜いぱーい ウミユリいぱーい
 

木材に付着して浮いてたかもしれないそうです。


石灰岩の山。四川のと形が全然違う。面白い。
 


閉幕式の後半はカラオケ大会でした。

貴州なんとか大学のなんとか先生 南京地質古生物研究所の院生
 

貴州省の民族演舞

修正稿提出・ほか

2011-10-14 22:22:59 | 地科ネタ
お久しぶりです。


ここ半月は、系統図とにらめっこしながら英作文でした。

投稿してた原稿が査読から返ってきて(8月に)、修正稿の締め切りが今日だったもので。

(あ、ほんとは1日だったんだけど、泣きついて延ばしてもらいました)

なんとか直し終わって編集者にお送りすることができました。

syagi君には英文の校閲で大変お世話になりました。


締め切りに追われる仕事っていうのがここんとこ無かったから、強迫観念というか、ゴールを見据えつつ足元も疎かにできないっていうバランス感覚を失ってた。


最後の2週間で猛烈に追い込まれ、結局昨夜は一睡もできなかった。

締め切りは自分で決めたんだけど、余裕を持ちすぎると遊んじゃうし、あまりにシビアじゃ何もできないし。

次の仕事も詰まってるし。

一、二晩徹夜するくらいの追い込み度がちょうどいいかなと。

追い詰められて、限界を超えることで強くなる、みたいな。

スーパーチャイナ人ですから。


今日も結局夕方までかかって、時間ギリギリで提出した。

昼飯食べるのも忘れてた。ここまで没頭したのは何年ぶりだろう。

空腹感はあったんだけど、それどころじゃなっていうか。

早く終わらせて解放されたいっていうか。

もうへろへろです。


内容はD論の半分なんだけど、査読者の指摘でかなり大幅に結果が変わった。

てか、その指摘、在学中に受けたかったな…。

いや、自分で勉強してて気付けよ、っていう事なんだけど、

欧米に留学してたら、こういう刺激を日常的に受けられるのかと思うと、なんかね。

ま、どこにいたって結局は自分次第なんだろうけど。


査読者は修正後にまたチェックするって言ってるから、どうなることやら…。



だいぶ頭がクラクラしながらこの日記を書いてるから、こんな文体なのです。




それはそうと、来週、貴州省へ行きます。

中国古生物学会の年会だそうな。

費用は博物館持ち。うぇっへっへっへ。

古竜脚類の分岐分析について、口頭発表することにしました。

や、なりました。いや?しました?

まあともかく、中国語です。中国語での学会発表は初めてです。

D論審査会に比べれば、全然気楽。

館が金を出してくれるのは、発表をするから。

これも経験かなと、やってみることにしました。

我ながら穴だらけの議論なので、指摘されたら、「そうそう、それで困ってるんですよ~。なんかいい方法ないですかね?」と煙に巻こう。

いやいや、有益な学術的議論を交わすっていうことですよ。


準備はちゃんとするよ?

でも、そんなに小難しい話ではないので、順を追って説明すれば、興味を持ってもらえるのではないかと。

てか日本人ってだけで面白がられる可能性のほうが高いかも。

発表予定者名簿に、僕以外の日本人の名前はないようです。


中国の古生物学会に出るのって初めてかもしれない。

一度、瀋陽かどっかで古植物学分会に行ったことがあったか。

年会は初。古脊椎関連で一部屋できるらしい。徐星老師が座長。

全体で300件くらい発表があって、うち古脊椎関連は20件くらい。

やっぱ南西部の比率が高めか。


貴州は初めてです。行ったことない。

二日目には关岭の地質公園に行くらしい。三畳紀かな。

料理は辛いらしい。四川の痺れる辛さとはまた別の辛さらしい。


では、ぼちぼち寝ますzzz

珍メール続報

2011-09-15 20:06:35 | 地科ネタ
例のpanphagia氏、無視してたら、ほしい書籍を指定してきた。

恐竜の復元
恐竜vsほ乳类
恐竜絶滅
モンゴル大恐竜―ゴビ砂漠の大型恐竜と鳥類の進化
鳥類の考古学
鳥の骨探

例によって、上記文献のPDFがあれば送ってほしい、無ければ図書館でスキャンしてほしいと。

僕はあなたのお手伝いさんではないのですが。


竜脚形類にこだわっているわけではなさそうだ。

恐竜から鳥への進化に興味があるようだ。

日本語の本ばっか。僕が日本人だと知ってる人みたいです。

留学中、あちこちで日本人と名乗って名刺をばら撒いてたから、そのうちの一人だろうか。


以下のようなメールを送ってみようかと検討中。

「頂いたメールには氏名も所属も書かれておりませんが、残念ながら貴殿のメールアドレスには心当たりがありません。

日本の恐竜書籍に興味を持たれたのは嬉しく思いますが、あいにくPDFは持ち合わせておらず、スキャンしている暇もありません。

御所望の書籍については、著者様に直接ご連絡を差し上げてみるか、最寄の図書館等で入庫申請してみるとか、アマゾン等の通信販売をご利用してみてはいかがでしょうか。

数ページならまだしも、数百ページの書籍をスキャンさせるなどと、非常識だとは思いませんか?今後は二度と私にメールしないでください。不愉快です。」


最後の二行は余計かね。

「竜脚形類の未記載標本を持ってて、比較するために文献がほしい」とでも言うなら付き合い甲斐もあるが、これではたいしたメリットはなさそうだ。

どっかの恐竜マニア中学生といったところだろうか。