関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

登校拒否・不登校を考える夏の全国大会~画期的でした~

2022年08月26日 | 子育て・教育

   8月21日(日)、「登校拒否・不登校を考える夏の全国大会」に参加しました。
 各地の会場がリモートで結ばれて開催、山形会場は鶴岡のソライでした。
 前日は「子ども交流会」には参加していませんが、日曜日の内容自体、多くの方々に知ってもらいたい非常に貴重なものでしたので、私の感想をご紹介します。


☆主催者(親の会共同代表)の挨拶では、「教育機会確保法(確保法)を知らせる広める事が重要」。「『学校はどんなにつらくても無理していかなければならない』『親はひきづってでも学校に連れていかなければならない』という時代を経て、文科省が学び方を子どもが主体的に選べると定めた。しかし法ができても実態はほとんど変わらず、20万人の不登校児童生徒とその保護者が苦しんでいる」こと、
 そうした中で親の会が、研修会やイベント、親の会の実態調査などに取り組んで、行政との連携も少しずつ前進させてきたことなどが話されました。

☆尾木直樹さんの講演では、
1.現状
○不登校は、6月政府発表で196127人、子どもの数激減の中で8年連続増加、前年比8.2%。不登校予備軍は日本財団調査では中高生33万人と非常に深刻、日本の教育が問われている。不登校の子どもたちがが発する警告を真剣に受け止めるべき。
○不登校児童生徒の30%がどこにも相談できてない。
〇通信制が人気
2.日本の教育は取り残されている
○学年主義
○一斉主義
 こんなのは教育でない
 競争しないと子どもが伸びないというのは幻想、競争やめたらみんなが伸びる
 先生の言うことを聞く子が良い子。大きくなると不幸になる。自分らしさにこだわれ。
 世界の自由主義圏のどこでもやっていない高校入試。思春期のただ中で競争させ、忖度する子どもをつくるもの。
○得点主義 
 OECDは学力を「生き延びる力」と定義しているのに。
 STEAM教育とは、S-サイエンス、T-テクノロジー、E-エンジニアリング、M-マシマティクス、そしてAはアート!。
 「2049年にはすべてがAiになる」といわれるが、Aiにないものは心
 IQからHQの時代 Hはヒューマニティー。人間性指数。人間力。
3教育機会確保法の2つのポイント 
 ①子供には(学校を)休む権利がある。
 ②学校外の学びを保障する。 
  ○フリースクールにお金がかかるのは二重払い。
  〇不登校特例校も21校できている。6月に全都道府県への設置指示
  〇ホームエディケーション             
    〇多様な学びのために何が必要か→遅れた日本の教育を国際基準に切り替える。
4子どもの世紀が始まる 
 6月に成立した「子ども基本法」と、「子ども家庭庁」設置。中でも基本法をどう活かすか。教育基本法と子どもの権利条約に則って、子どもを真ん中において子ども政策を考えていかねばならない。
○視聴者からの質問への回答の中で参考になる書籍も紹介されました。
 「不登校でも学べる~学校に行きたくないと言ったら~」おおたとしまさ  
 「取り残される日本の教育」尾木直樹 教員生活44年の集大成
 「学校のあたりまえをやめた」工藤勇一 
 「尾木ママ流自然教育論」 生きる力、生き延びる力がつく
 「過干渉やめたら子どもは伸びる」 尾木、西郷、吉原(麻布高校理事長・城南信金)
 
☆鶴岡の参加者も加わったシンポジウムと、参加者で語り合った鶴岡会場の分科会で出たこと。
〇親が「子どもが学校に行かないなんて考えられない」という社会の中で、お先真っ暗な苦しい時期を経て、親の会とつながって、落ち着いて子どもの成長を見守る事ができるようになった。
○オンライン授業が勉強への意欲を高めた。コロナ感染拡大の時だけでなく続けて欲しい。
○フリースクールに行き、学校だけが道ではない、大きくなったら家を出ていくという気持ちが固まり、今だからできることに取り組んでいる。
〇「一日中半そで半ズボンの体操着」「気を付け、前ならえ、回れ右」という号令で動かされる、給食の完食が強制されるなどに耐えられないから不登校に。
〇生きている価値は何なんだろう。出席日数も内申書もない学校、学校に行く日数が少ない学校、子供の興味があるコース、学校以外でできる学び、外出しなくてもいい学びを考えた。子どもを信じて選ばせる。(学校に行くように)誘導はしない。親に必要なのは覚悟だ。 
〇自分が不登校で、東京シュレーに通った。通う内に子たちがキラキラしていく。授業はあるが出席は強制されず家で学習。週一日は自分の学びたいことを学ぶ。
○子どもが学校に行かなくてよかったこと・・人として良い面が損なわれなかった。屈託ない明るい笑い上戸、信頼に足る人を見抜く力、人とすぐ仲良くなれる、気持ちの切り替えができる、自分にうそをつかない。
〇中学校の入学資料に、発達障害、不登校の支援についての情報紹介がほしい。
 通信制高校などの情報が必要。
〇不登校でも元気になった話を知りたい。 
〇努力して少しずつ前に進んでいるのに、担任から「○○からはきて欲しい」「学校に来たら、みんなと一緒に行動しないとだめだよ。〇時に集合、〇時に授業、いいですか」などと言われる。
〇鶴岡市の適応指導教室オアシスに行ってみたが、子どもは「学校と何も変わんねじゃん」と行かなかった。

☆私も、皆さんの参考になればと思い、以下のようなことを話しました。
○学校に行かない(行けない)子への教育の確保の方法であるフリースクールを学校・行政がパートナーとして認め、そこから学ぶこと。協力関係をつくること。利用料は公費で支援するべきであること。
○フリースクールですべての不登校児童生徒を支援することはできず、行政が全員に責任を持つためには、教育支援センター(山形県内は、適応指導教室)の抜本的拡充が必要であり、「学校復帰のみが目的では無い」と法律通り明確にし、予算を増やし、学校に行けなくとも行きたくなるような魅力あるものにすること。
 栃木県、長野県、仙台市など、参考にすべきすぐれた適応指導教室の取り組みが全国で始まっていること。
○高校段階で通信制高校に不登校生徒が集中し、教員定数の抜本的改善、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、養護教諭などの配置などが求められていること。
○教職員が忙し過ぎること、行政が学力テストの競争をあおってしまっていること。

☆尾木さんの講演で、日本の教育の構造的問題の中で不登校を深く捉えることが出来たことに加えて、
 子どもの不登校に直面した保護者の方々が如何に苦しんできたか(胸が痛むお話が数々ありました)、親の会と出会ってそこから脱出し、普通に学校に行くよりも深く子どもの成長を考える事ができるほどになったことを理解することができました。
 そこには、教育が本来どうあるべきかということについての豊かな示唆がありました。
 また、現職の教員で労働組合役員の方が、山形市からわざわざ参加されていて、子ども目線で教育現場の現状を教えて下さったことは、話し合いの内容を一層深いものにしてくれました。
 そして、行政が今何をしなければならないかということについて、具体的なヒントを頂きました。
 市議・県議の16年の間、不登校児童生徒と保護者の支援を議会で取り上げてきましたが、初めて鶴岡に出来た親の会の方々の声を聞くことができて、これまでの経験の中でも最も意義深い一日となりました。
 今後に必ず活かして参る決意です。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。