関とおるの鶴岡・山形県政通信

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市長提案に総括質問

2008年09月04日 | 市政全般

 4日(木)、鶴岡市議会が開会、市長提案とそれに対する総括質問がおこなわれ、日本共産党市議団は加藤太一市議が質問しました。
 要旨を紹介します。


1.経済動向をどう見るか、家計を暖める施策を
質問 4-6月GDP2.4%マイナス、4半期決算としては7年振りのマイナス。報道でも経済政策の失敗が指摘されている。景気後退を招いたのは01年からの構造改革=大企業優先で輸出頼み、労働者賃金抑制、社会保障破壊など暮らしを破壊した政策。本市でも市民生活の困難が増大している。
 GDPの58%を占める家計を暖める政策に変えることが求められている。
 市長は、今の経済局面をどう捉えているか。
 福祉施策の一層の充実や、農業、地場産業などを大事にしていくことに重点を置くべき。
 「先端生命科学」を町づくりの基本に据えようとしている。研究は大事だが、バイオベンチャーの成功は低い。成功の見通しのない先端生命科学を町づくりの基本に据えるのは見直すべき。

市長 景気は大変弱い動き。本市でも設備投資・雇用を増やす企業もあるが、多くの経営者の皆さんは大変苦労している。
 今後も、市民生活に重大な影響を及ぼす景気対策雇用対策などに対して国にも積極的に意見を言いたい。
 しかし、国際的にも日本も第3次産業に重点が変わっている。経済を発展させるには、地方の文化・特性を活かしながら、観光産業だとか、生命科学が重要。農業にも若者対策にも必要。
 私は市政の第一の重点として健康福祉対策を掲げている。例えば、モデルになるような保健対策を十数年やっている。福祉対策も他におとらない。
 地場産業でも、確かに中には商店街など、苦労しているところもあるが、山王町を中心に頑張っている。改めて問われる筋合いはない。
 同時に、全国的に共通するような問題も生じているので積極的に国に要望している。少なくともナショナルミニマムは国が基本的に責任を負ってもらわねばならない。市の独自財源投入も努力するが、その前に国の姿勢を質す。

2.福祉灯油助成急いで。
質問 灯油価格の高騰は昨年にも増して深刻であり支援は重要。
 介護施設、福祉施設でも大きな影響が出ている。県がおこなった調査で20%から、60%増えたところもある。施設にも、灯油助成をおこなうべきではないか。

市長
 確かに灯油の高騰は生活への影響が大きい。国の対策が出たので、障害者、高齢者、一人親、生活保護5200世帯に助成。今冬の価格も大変憂慮されるが、基本的には国においてやるべき。
 福祉施設への助成は、施設の報酬で賄われるべきで、現段階では考えていない。

3.農業問題は価格保証と所得補償が大切
質問
 農業と食糧問題も深刻な危機に直面している。自給率は40%。生産者米価も底が見えない落ち込み。枝豆・メロンなども下落の一途。認定農業者、大規模農家もやっていけない。現状の打開策を示さなければ、担い手の確保も耕作放棄地の解消もできず、農村コミニュティも守れない。
 農業施策の基本になるのは、生産コストに見合った価格保証制度。生産者米価が生産費を下回ったら不足払いをおこなう。それを補う所得補償。

市長
 基幹である米価の下落、産地間競争もあり、燃油高騰に起因する農業用機械や生産資材、飼料高騰で大変厳しい。特に畜産経営。こうした状況の中で認定農農業始め、集落営農組織の担い手の経営安定対策は喫緊の課題。県・農協などと十分に協力しながらやっていく。
 農産物の価格保障制度については、例えば次のような制度がある。
 一つは、水稲などの土地利用型作物に対する水田経営所得安定対策。水稲麦大豆などを対象に、生産コストに対する補填と、収入減少に対する補填を直接農家に交付することによって担い手の経営の安定化を図るもの。昨年12月に対象者の見直しがおこなわれ、H20年度の加入の拡大に結びついた。
 二つ目は、野菜、花卉の青果物価格安定対策制度。複合経営や産地化の柱となる、野菜・花卉・キンタケの平均販売価格が著しく低迷した場合、県市町村農協生産者が積み立てていた資金を補給金として生産者に交付する。農業者の経営安定と園芸の産地化に務める重要な施策。 
 水田経営安定対策は益々重要であり、22年以後も継続を要望していく。
 青果物安定対策事業も重要な制度であり、対象作物の拡大など県に要望。

4.学校耐震改修の具体化は
質問
 文科省の取り組みが遅れていたが、ようやく耐震改修に踏み出した。市では、緊急度1の学校の耐震改修は「3年」の改修期間に実施するのかどうか。改築計画との関係は。更に緊急度度2以上の学校の改修計画はどうするのか。
 学校耐震改修は、改築と合わせて市の重要事業費位置づけるべきだが、国の3年の事業では終わらない。国に対して継続を求めるべき。
市長 今年6月に、改正地震防災対策特別措置法が施行、大規模な地震で倒壊の危険が高い校舎について、本年度から22年度までの3カ年補助率が引き上げられた。
 本市では、昨年度に市内51校の耐震調査を完了した。その結果緊急度1の学校20棟は、本年度から順次補強を実施する。この度の補正予算で6棟。緊急度2以上は、1の完了に続いて対処する。
 学校施設は児童生徒が一日の大変を過ごす学習教育活動の場であり、災害時には地域住民の避難所としての役割を果たす施設であり、非常に重要。市の重要施策として位置づけていく。
 県市長会も8月に補助率かさ上げ・期間延長など国に要望書提出。
 本市議会でも同様の趣旨の意見書を検討しているということだが、市としても国に要望していく。

5.副市長2人制は必要ない
質問
 昨年3月議会で「本市と同程度の規模で副市長2人制を取っている自治体は少ない。『合併で議員や特別職を減らす』と言ったことにも反する」と指摘。人口50万人でも一人、副市長をおいていない市もある。副市長を二人置かなくても支所長の権限を増やすことなどで十分。
 合併時の首長の処遇対策ではないかとの指摘もある。副市長二人は必要ない。

市長
 政令市を除く全国765市中249市32.5%で複数。県内には無いが全国的には希ではない。人口10-20万人150市中63市42%で複数制。中山間部、海岸地域の過疎対策が重要であると認識して配置。私も十分承知している地域でも無く、抽象的なお経文句で済むものではない。具体的な集落の個々のケースに応じて責任を持って対応するために。

6.国民健康保険、高い税下げよ
質問
  19年度は限度額の引き上げと、羽黒、温海の介護分の増税。H18年度の大幅増税に引き続いて市民負担増。短期保険証は合併時の3.3倍になったが、収納率は上がっていない。基金と繰越金の財源留保額は2.7億円増で17億円超。国保滞納額は合併時より2億円増。国民皆保険の形骸化であり危惧すべき状況。
 滞納者の増加は増税を含む高負担が原因であり、国庫負担を増やせと主張すべき。基金と繰越金の活用や一般財源の投入で税引き下げを検討すべき。滞納者の生活実態を把握し、多重債務対策や各種生活支援で滞納対策をすべき。医療を必要とする世帯には資格証明書や短期証明書は発行しないこと。

市長 本市国保の一世帯当たり平均所得133万円、軽減対象世帯の割合が45.2%と半数近く。こうした国保の構造的な状況に対し、国の定率負担に加え、保険基盤安定制度。医療保険制度改革でも医療保険各制度の負担の公平化が進められた。制度の健全な積極的な措置について、6月全国市長会を通じて国保と後期高齢者医療制度について要望をおこなっており、今後とも必要な措置を強く要望。
 一般財源からは、現在でも3.5億円を繰り入れている。本市の国保加入割合は長寿医療制度導入で減少したが21370世帯(45、2%)、39744人(28.3%)。このうち、一般被保険者数が37115人26.4%。今後ともルールに従った支援措置をおこなう。
 財源保留額17億4500万円だが、旧市町村ごとにかなり状況が違う。19年度の単年度収支では、国からの特別調整交付金1億8700万円を除くと、鶴岡が黒字で他は皆赤字。市全体が一億円の赤字決算。
 H20年度から、医療保険者による特定検診などで1億円余りの新たな財源が必要。今後その増加が見込まれる。
このような状況の下で不均一課税の統一が求められている。財源留保については、医療給付費や景気の変動等に対応するために一定規模の保有が必要であり、その取り扱いは、今後とも国保運営協議会などに諮りながら十分検討していきたい。
 滞納者対策は、個々の事案に応じて、滞納原因や生活実態の把握に取り組んでいる。議員ご指摘の多重債務対策や、各種制度の適用による生活支援策についても、引き続き庁内関係部局の連携により取り組む。
 資格証明書と短期保険証の発行については、個別に審査して、特別な事情がない、故意、悪質な滞納が継続される場合は法に従って行う。税負担の公平を期す。

7.介護保険、要支援移行はサービス削減では
質問
 昨年度は、軽度者が要支援に移行させられ、介護予防や自立支援の名でサービスが縮小された。経済的に困難な人は必要な介護も我慢する事態が進んでいる。
 特養待機者は約940人、申請をしても4年、5年と待たされる。待機者解消に特養増設の具体的な計画を示すべきだ。
  昨年12月議会で高齢者交流センターを「高齢者と子育ての交流施設」として2千万円かけて改修することが決められた。「事業内容も不明瞭で、民間施設にそれだけの金をかけるのは不適当」と反対した。賛成した議員も「高齢者と子どもの交流」に期待して賛成した。当初の設置目的が伴っていない以上、見直しが必要。

市長 18年度の制度改正で新予防給付が創設された。高齢者の自立を支援するという介護保健の基本理念に沿って、心身の状態が改善する可能性がある方については、サービスの見直し、新たなサービス。
 状態が安定しない方や急速に悪化する可能性のある方、認知症の方は要支援に移行しない。
 ご提案の独自サービスの上乗せについては、こうした制度の趣旨にそって慎重に検討。