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目眩く思想世界擬きと言霊フロンティア
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I師語録 12/21

2005年12月22日 01時02分48秒 | Idzutzu56
 しばらく電話はかかってこないかと思われたがそれも間違いだった。
 唯一暗黙の前提となっていたのは、I師の専門分野から僕が離れようとしているということだけだった。
 それはまぁそれで辛いものがあったけど、よく云われるように僕の人生は僕のモノだし、I師の心情は察するを得ない。一見そんなに落ち込んでいるようには聞こえなかったが。

 最近考えていること。仮に人工知能の方面に行くとするとどうも圏論が大なり小なり重要な地位をしめてくるということが最近(僕にとって)明らかになってきた。Maclaneと共に圏論を建設したEilenbergとかいう数学者が晩年にオートマトンの研究に走ったという事実からも、ある程度の説得力が伺える。だから今はとりあえず代数学だけは基礎に据えてしっかりやっていこうとぼんやり思っている。そのためにはまず可換環の理論が必須であるらしい。といってもそこらへんのことはさっぱりわからない。圏論やコホモロジーの文献を少々触ってみたが、だいたい雲を掴むようなちんぷんかんぷんな話だった。代数なんて解析や数論に比べると抽象的すぎて見栄えがしないように思われがちだが、まぁ僕はそのあたりはあまり気にしない。抽象的すぎようが一般的すぎようが自分の理解を助けるものなら何でも使うというのがポリシーだから。もし最先端の理論物理を全く勉強しないとしたら、寧ろ数論は必須科目からただの趣味に成り下がってしまう。もちろん暗号理論には数論や楕円曲線論が非常に役に立つが、今のところは暗号にはあまり関心がない。これも精々趣味で嗜むくらいになるだろう。解析も工学的には軽視できないのは云うまでもないが、別に解析を本命にして生きるわけでもないので(というかそんな遊牧的な生活を送る気も今のところない)適当に、人並みにやっていけばいいかな。

 物理はやはり基礎は抑えておくに越したことはないだろう(情報系に進むというのはあくまで仮定としての書き方ですが)。基礎が一体どこまでなのかは議論の余地もあろうが、量子力学まではまぁやるとして、場の理論をやるのかやらないのかというとやった方がいいとI師はのたまう。しかしそれも彼自身云う様にそれ程説得力のあるものではなく、量子力学を縦横に駆使するといわれる昨今の脳理論との関連からだという。そりゃあ脳科学だって突き詰めれば電子がどうとかこうとか結構重要になるんだろうけど、ノイマン型のコンピュータがいくら進化したところで脳の解明にはまだ数百年はかかると根拠もなく信じきっている僕は、悪いけどそんな『最先端』脳理論は胡散臭いと思っている。人間の脳は自分自身を知るために全く新しいパラダイムを必要としている。でもまぁ脳理論にしても何にしても四の五の云わずに勉強してみる方が先ですけどね。兎も角も、本当に場の理論って物理以外に役に立つのか?など考え出すと我が神聖なる書棚に祀ってあるPeskinが可哀想なのでやめておくが、少なくとも圏論を超える価値を発見して慰めてやることは未だできそうにない。あーあ。ほんと何やってんだろう。

 ひょっとすると有名な話なのかもしれないが、一つ興味深い話を聞いた。波動方程式で名高いSchrödinger(1887-1961)は波動力学以外には大して物理学上の業績がなくて、晩年(後期と云うべきか?)はどちらかというと物理はほっぽり出して東洋思想に浸ったり生物学に走ったと聞いている。ここにWatson(1916-)とCrick(1928-)というこれまた高名な生物学者がいる。彼らも実は初め物理を志していたのであるが、Schrödingerの書いた生物物理学に触発され、しかもその後に初めて知り合い、1962年にご存知の通りDNAの二重螺旋構造によってノーベル生理医学賞を受賞している。上の意味で物理学者Schrödingerは生物学においても多大過ぎる貢献をしているのである。ちょっと事実関係は定かではないが、伝記でも読んでみるかな。

 ナンデモ屋ってのも、なかなか魅力的なお仕事です。

1 コメント

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Unknown (lambda)
2005-12-28 18:22:48
まったくもって、同感。

お互い頑張りましょ☆
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