Carpe Diem

シンシナティ大学で都市計画を勉強していた、ある大学院生の物語。現在はマンハッタンで就活。

先人。

2013-08-30 13:32:26 | daily life
ついに4年以上使っていた、macbookが動かなくなった。建築での2年間の設計と卒論、都市計画での2年間の卒論など本当にお世話になった。結局、ほぼ同じタイプのmacbook proを買って、また建築に必要なソフトを入れなおしている。

そんなダウンロードをしているときに、ふと僕と同じようにアメリカで建築をしている方のブログのようなものを見つけて読み込んでしまった。井上邦雄さんという日本の大学を卒業してから、単身でアメリカに来て、nycでどうにか建築の仕事を見つけ、その後はハーバードと並ぶアメリカの有名な大学院であるイェールで建築を学び、多くの建築の企業で経験を積んだ後、自分の設計事務所をロサンゼルスに構えている。なぜか自分が将来かなえたいと思っているものを、たとえば世界一周旅行とか、nycで建築の事務所で働くとかを、すべて叶えているのがうらやましいと同時に、イェールの大学院時代から摩天楼を建てるという夢を抱きながら、それをかなえようと現実と理想の間でもがいている姿がなんか切なくも感じられた。まるで若い時に見た夢は年を取ってから、それは半ばかなえられないと悟る姿が辛くも感じられる。
http://www.tdu-abu.com/pdf/

最近はいろいろとうまくいかないことが続いているせいか、少しだけネガティブな物の見方をしているのかもしれない。演劇をしているルームメートにこのことを話したらもっと今を生きることに集中しなよと言われた。確かにそうだ。自分には自分にしか歩めない人生があるはずだ、どんなに考えが似ていても絶対ほかの人には歩めない道があるはずだ。だから今を大切に、そして懸命に前に進んでいきたい。

2年。

2013-08-24 12:53:26 | daily life
来週の月曜から新学期が始まるということで、
学生がキャンパスに戻ってき始め、
構内が1週間前とは比べ物にならないくらいにぎやかになってきた。

海外からの新入生だと思われる人たちが銀行の窓口の人と、
懸命に英語でコミュニケーションをとっているところを見て、
自分も2年前はこうだったんだろうなぁ、と思ってみたり。

アメリカに来るのはその時が初めてだったから、
まったく何も分からない状況で一つ一つのことを
自分なりに答えを出していく過程は少し大変だったけど、
今振り返ってみるととても充実した時期だったようにも思える。

この2年、調子のよかったときも悪かったときも、
嬉しかったときも、苦しかったときも、楽しかったときも、悔しかったときも、
今だからそう思うけど、全部ひっくるめて本当にいい思い出。

そして数時間したらまたシンシナティを後にして、ニューヨークへ。
今度はどんなストーリーが待っているのか楽しみ。

面白さ。

2013-08-22 16:38:44 | daily life
一ヶ月間のインターンシップ、最初は回り道のような気がした、
でもそれを通して少し仕事の面白さというのが分かった気がする。

1ヶ月の間に2件の小さなプロジェクトを任されて、研修というのは全くなく、
全部自分でどうにかできる限りのことをしようと模索していていた。
一件は地元のレストラン&バーの内装と外装のデザインで、
主に僕は店長の話を聞いてそれで自分なりの案をgoogle sketchupとvrayを使って、
いくつかのアイデアを実際に見えるようにvisualizationするのが仕事だった。
もう一件は昔の銀行をレストランと住宅に転用するために2階部分の防火用の
対策としてどういう方法があるかということを調べろといったものだった。
結果としては最初の一件は満足してもらえ、もう一件はあまりいい成果は出せなかった。

その満足してもらえたのとしてもらえなかったのは知識や技術もあるけど、
やっぱりモチベーションが大きな違いだっただと思う。
バーの方のオーナーがどう自分の店を変えたいかという強いビジョンを積極的にぶつけてもらえたから、
話を聞いていて面白かったし、それを少しでも実現できる手伝いができたらと思って、
積極的に自分から会いにいって、何度もデザインし直して、もう何度も作品を見せにいった。
時間はかかったけど、とてもやりがいがあって面白かった。
もう一件の防火対策は残念ながらオーナーに会えず、メールでやりとりしていたせいか、
いまいちこっちとしても何ができるのかも分からずに今日まで来てしまった。
そして今日、僕の最後のインターンの日にミーティングでようやくそのオーナーに会って、
すごい熱意のある人だと気づいた時にはもう僕にはどうも手伝うこともできなかった。

もしかしたら今回のインターンの(僕にとっての)大発見は、
どうやったら仕事を通じて人を笑顔にできるかだった。
昔から僕は漠然と人を笑顔にしたい、喜ばせたいと思っていたけど、どうすればいいか分からないでいた。
でも今回はバーのオーナーに喜んでもらえて、もしかしたらこれなのかもと感じた。

自分なりに順序だって感じたことをちょっと。
まずは相手がどうしたいのかという意見を聞く。
そして自分のできる限りの、今までの自分ができる以上の仕事をする。(自分を満足させる)
相手の期待以上の水準まで何度も時間とお金の許す限りチャレンジする。(相手を満足させる)
そうすると相手が嬉しくて笑顔になり、自分も笑顔になる。
最後にそれに見合ったお金をもらう。
本当にすごいシンプルな法則だけど、漠然とただ社会にいいインパクトを与えたいと言いつつ、
まったくどうすればいいのか分からないでいた謎がやっと解けた。

頭のいい人はその頭の良さで、力のある人はその力で、優しい人はその優しさで、
知識のある人はその知識で、技術のある人はその技術で、
自分ができる限りのベストを尽くせばいいんだ、きっと。

僕にとっては今回の作品は人と関わりながら作った最初の建築の作品。
5年後、10年後にまだ建築をやっていたらきっとこれを見返した時にクオリティの低さに笑うかもしれない。
それでも最初にやった、今のベストを尽くした大切な作品。
遠回りだと感じた今回のシンシナティへの一ヶ月の滞在は、
もしかしたらいい方向に向かっていくきっかけだと信じたい。








シンシナティ。

2013-08-22 14:47:04 | daily life
今日、最後のインターンを終えて、バスに揺られながら
のんびりとシンシナティの景色を眺めていた。
3ヶ月前にはその時がシンシナティに訪れるのは最後だと思ったのに、
仕事が見つからなかったので、2ヶ月後にまた戻ってくるとは思わなかった。

改めてシンシナティというところは、
(たぶんこれを読んでいる人の99%は名前も聞いたことがないんじゃないかな)
アメリカの中規模の都市という割には特に珍しいというものはそんなにないと感じた。
でも僕はなぜか何もないけど、人々のゆっくりとした生活だとか、
優しい街の雰囲気とかそういうのが好きでたまらない。
最近では経済不況から脱出したおかげで、街全体が活気づいているのがすごい感じられる。
ぼくが来た2年前にはなかった多くの公園や、素敵なバーや、レストランができた。
あと面白いのは人同士の距離が地位とか立場に関係なく近いことかもしれない。
僕のインターン先の上司の昔なじみが今の副市長で、友達の上司が市長だったりと。
友達にバーで市長を紹介されて、友達みたいな感じで話したことも覚えている。

改めて個人的には留学して、本当によかったって思う。
残念ながら都市計画という分野ではなかなか仕事は見つからないけど、
素敵な人たちに出会い、素敵な場所に来て、そして素敵な時間を過ごした。
もう戻ってくることはないかもしれないし、もう会えない友達も多いだろう。
そう思うとなんか切なくなってきてしまった。
あっという間に過ぎ去った2年間。
そんなことを考えながらバスに揺られていた。