[新版] 第二集 きけわだつみのこえ、p95より抜粋
---
『ギネメルとマンフレッド』
人の心の奥底に流れるもの、
それは愛と争闘の本能である。
ギネメルは賢い青年だった。
戦争とは殺人の別名に過ぎない、
ギネメルはそう信じていた。
彼は争闘を恨み死を恐れた。
けれど祖国を愛するゆえに、
彼は武器を執った。
一人の敵を殺すごとに
彼は殺人を意識した。
マンフレッドは無邪気な青年だった。
彼は祖国を愛するゆえに戦った。
彼は戦争の悲惨も死の恐怖も、
考えてみたことがなかった。
彼にとって戦争はスポーツだった。
敵を殺した時に彼は何の苦悩も持たず、
祖国につくした喜びを感じた。
やがて二人は戦死したが、
戦争はやはり続いていた。
二人の死は戦争にも祖国の運命にも、
何の影響を与えなかったように見える。
私たちはギネメルの苦悩を持つか、
マンフレッドの陽気さで生きていくか、
どっちにしても自分にも人間全体にも、
けっきょく同じものを与えるに過ぎないのだ。
---
---
『ギネメルとマンフレッド』
人の心の奥底に流れるもの、
それは愛と争闘の本能である。
ギネメルは賢い青年だった。
戦争とは殺人の別名に過ぎない、
ギネメルはそう信じていた。
彼は争闘を恨み死を恐れた。
けれど祖国を愛するゆえに、
彼は武器を執った。
一人の敵を殺すごとに
彼は殺人を意識した。
マンフレッドは無邪気な青年だった。
彼は祖国を愛するゆえに戦った。
彼は戦争の悲惨も死の恐怖も、
考えてみたことがなかった。
彼にとって戦争はスポーツだった。
敵を殺した時に彼は何の苦悩も持たず、
祖国につくした喜びを感じた。
やがて二人は戦死したが、
戦争はやはり続いていた。
二人の死は戦争にも祖国の運命にも、
何の影響を与えなかったように見える。
私たちはギネメルの苦悩を持つか、
マンフレッドの陽気さで生きていくか、
どっちにしても自分にも人間全体にも、
けっきょく同じものを与えるに過ぎないのだ。
---
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます