Carpe Diem

シンシナティ大学で都市計画を勉強していた、ある大学院生の物語。現在はマンハッタンで就活。

ギネメルとマンフレッド

2013-05-06 15:03:28 | daily life
[新版] 第二集 きけわだつみのこえ、p95より抜粋

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『ギネメルとマンフレッド』

人の心の奥底に流れるもの、
それは愛と争闘の本能である。

ギネメルは賢い青年だった。
戦争とは殺人の別名に過ぎない、
ギネメルはそう信じていた。
彼は争闘を恨み死を恐れた。
けれど祖国を愛するゆえに、
彼は武器を執った。
一人の敵を殺すごとに
彼は殺人を意識した。

マンフレッドは無邪気な青年だった。
彼は祖国を愛するゆえに戦った。
彼は戦争の悲惨も死の恐怖も、
考えてみたことがなかった。
彼にとって戦争はスポーツだった。
敵を殺した時に彼は何の苦悩も持たず、
祖国につくした喜びを感じた。

やがて二人は戦死したが、
戦争はやはり続いていた。
二人の死は戦争にも祖国の運命にも、
何の影響を与えなかったように見える。

私たちはギネメルの苦悩を持つか、
マンフレッドの陽気さで生きていくか、
どっちにしても自分にも人間全体にも、
けっきょく同じものを与えるに過ぎないのだ。
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