姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

木造高層建築用スプリンクラーシステム「六葉釘隠し」

2020年03月15日 | 作事
姫路城大天守にはこの様な装飾物がたくさんあります。
 
 
そう、ご存知「六葉釘隠し」です。
城内の説明文には「長押等に出ている釘の頭部を隠す装飾。6枚の葉をデザインしていて、
葉と葉との間に猪目と呼ばれるハート型の隙間ができます。」とあります。
では、どんな釘を隠しているかご存知ですか?
 
 
 
 
これは先日まで特別公開された太鼓櫓内部の長押に打ち込まれた釘の頭部です。
 
 
 
上の写真は東小天守最上階、下は乾小天守最上階で見つけた釘頭部です。
どちらも特別公開時に撮影しました。
この様な無粋な釘頭部を隠す装飾物が六葉釘隠しです。
これらの釘頭部を見つけた時、三左衛門はまたまた首をひねってしまいました。小天守には釘隠しがない!
大天守には釘隠しがあるのに、なぜ小天守には釘隠しが無いのだろうか?
そこで、昭和の大修理で活躍された元文部技官 西村吉一さんにその理由を尋ねてみました。
すると一言。 「小天守と大天守では材が違う」
なるほど、大天守の材木は巨大でそれ故そこに使われている釘は小天守の釘よりずっと大きい。そんな大きな釘の頭部を出したままではあまりにも無粋です。だから、それを隠すための釘隠しなんでしょう。
その後、西村さんは三左衛門にこう訊きました。
「化粧櫓には釘隠しがあるか?」
「ありますよ。」
「あるやろ。それは格式が高いということや。」
なるほど!化粧櫓は小天守より格式が高いのだ。
 
 
 
これが化粧櫓の釘隠し。金色で本多家の家紋が彫り込まれています。
大天守最上階の釘隠しもこの様に金色。
 
 
緑青が出ていますが、元々は金色です。言うまでもなく、大天守最上階が1番格式が高いからです。
ではこちらはどうでしょう?これは先日特別公開された帯の櫓の内部です。
 
 
釘隠しが見えますか?黒色ですね。こんな所に格式の差がわかります。
 
六葉釘隠しといえば、姫路城外国語ガイド協会(VEGA)の英語ガイド仲間3人からこんな話を教えてもらいました。
 
 
 
 
Hさんの説明によるとハート型をしたこの部分は「猪目」と呼ばれ、猪の目を表しており「火除け」の意味が込められているそうです。調べてみると、
だから、釘隠しだけでなく、懸魚等にも使われています。詳しくは上のリンク先を参照してください。
 
また、Kさんから漢字の「水」は六角形になるので、六葉は防火の意味があると教えてもらいました。なるほど、六葉は水の字によく似ています。
 
そして、極め付けはSさんの話です。
六葉の中心部は菊の模様(菊座)がありますが、その中心部の突起物はなんと樽の栓を表しているらしいです。そう、醤油樽や酒樽に付いている栓です。
下の写真をご覧下さい。
これは西山醤油樽店さんのホームページから拝借した醤油樽の写真です。
 
 
下の栓を抜くと醤油が出てきます。
それと同じ様に釘隠しの栓を抜くとそこから水がドバッと出てくるイメージです。
 
以上、三点から「六葉釘隠し」は釘頭部を隠す装飾物であると同時に火除けの意
味が込められているのが分かります。
そこで、Sさんは六葉釘隠しをこう名付けました。
「慶長の日本人が考えた究極の木造高層建築用スプリンクラーシステム」
ちょっと大袈裟?でも、大天守内で眺めていると釘隠しの樽栓から水が勢いよく流れてくるイメージが湧いてきます。
 
 
 
 
六葉釘隠しがスプリンクラーなら、火事の時水を吐くと言われている「鯱」は差し詰め屋外消火栓でしょうか?
 
 
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