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姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

地震と城

2016年05月03日 | 普請
お城好きにとって熊本地震は本当に衝撃的な出来事でした。
熊本にもお城仲間がいます。その人自身が大変な目にあっているのに地震直後に
「祈るのみ頑張って熊本城」とfacebookへ書かれた文字を見て涙が出そうになりました。







今回の地震で三左衛門にとって意外だったのは建物の被害より石垣の被害のほうが大きかったことです。阪神大震災でのたくさんの倒れた家々を見るにつけ、天守や櫓の心配をしていたのですが、考えてみたら一般家屋や社寺には石垣はありません。城の建物は石垣の上に建っているのです。ある意味石垣のほうが重要だ。それなのに、以前こういう記事を三左衛門は書きました。

「姫路城は地震に強いのか、弱いのか」

>大地震で大破の懸念があるとされてきた世界遺産の国宝姫路城大天守は、震度6強の揺れにも耐え得ることが、姫路市教育委員会などの最近の調査で分かった。漆喰(しっくい)を塗り込めた城郭の壁が耐震に寄与。地盤も強固なためという。四百年前に築城された近世城郭建築の最高峰は、十分な耐震性も備えていることが証明された。

姫路城天守は十弁式定盤基礎という鉄筋コンクリート製の強固な基礎の上に建っています。昭和の大修理の時、地盤が弱い事が判明し岩盤まで掘り下げてコンクリートを打ったので、基礎はしかっりしているということでしょうか?



三左衛門にとって不思議でならないのは「なぜ、日本はセメントの技術が発達しなかったのか?」ということです。セメントの材料になる石灰岩もたくさんあるのに・・・

外国人に石垣を説明する時、セメントやモルタルは一切使われていないことを話すると驚かれます。そして、地震が起きても石が動くことによって崩れにくくなっていると付け加えます。けれど、熊本城の被害状況を見るとそれが正しいのかどうか判らなくなってきました。モルタルで固める方が強いのではと思ってしまいます。ただ言えるのは今回の地震は尋常ではない大地震だったということです。それにしてもこの尋常でない大地震に耐えた400年前の宇土櫓は驚異です。



ついでに付け加えると、地震の時天守の瓦が多量に落ちたのは重い瓦を落として建物を守る仕組みだという都市伝説?がネットのあちらこちらで見られますが、如何なものでしょうか?瓦が多く落ちたのはコンクリート製の復元天守で、宇土櫓の瓦はあまり落ちていないように思われます。そして、櫓そのものの被害も少ないように見えます。ちなみに、姫路城の瓦は落ちないように漆喰で塗り固めてあります。

熊本城の写真は熊本城公式facebookから引用しました。




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2 コメント

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これが色々難しい (美作)
2016-05-04 08:22:44
災害派遣で熊本入りも、熊本城は一度見ただけで、寄る事はまかりなりませんでした、夏さんとこにも

建物にはそれぞれの固有周期があって、地震の揺れに共振すると、どんな建物でも危険になります。コンクリートでも破壊されてしまいます。一概にコンクリートがいいというわけでもなさそうですよ

今回宇土櫓が倒れなかった理由は、これから凄い人たちが解析してくれると思います、私は無理です。

瓦は下の土が重いので、古い家にお住まいの皆さん、できれば土がない乾式に葺き替えましょう、お勧めします
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Re: (三左衛門)
2016-05-04 19:41:49
災害派遣で熊本入りされたのですね。ご苦労様でした。宇土櫓不倒の件は調査を待ってからですね。それにしても、伝統建築と近代建築の地震に対する考えの違い、一体どちらが正しいのでしょうかね。今回の地震でますます分からなくなりました。
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