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法律・司法試験研究室

法律・司法試験について考察します。

原則-例外思考

2008年09月08日 | 論文式試験の答案
原則-例外思考とは、自動的に効果が導かれる場合(原則的場合)とそうでない場合(例外的場合)とを分けて思考することをいう。
法律を扱う上で、避けて通れない重要な思考方法である。

「法律を扱う上で」と言ったが、実は法律以外の場面でも原則-例外思考は用いられている。
社会で、多くのマニュアルが用いられいているが、このマニュアルこそ、原則である。

原則通りの処理をする際には、多言を要しない。
さっさと効果を導けばよい。

他方、例外はマニュアルに載らないのが普通である。載ったとしても、せいぜい「やむを得ない場合」「緊急の場合」と書かれるにとどまるか、またはこれらの例示がされている程度だろう。

この場合には、きちんとした理由づけが必要である。
よくいわれることだが、①例外の必要性(=原則的処理の不都合性)と②例外の許容性(=原則の趣旨を没却しないこと)である。

ここで3つ、留意すべきことがある。

第一は、①の重要性である。
合格者のA答案等を読んでいると、この原則的処理の不都合性がしっかりと書かれているものをよく見かける。

たとえば

伝聞法則(定義・趣旨)
↓そうすると
本件調書は伝聞証拠にあたり、証拠能力を有しないのが原則。
↓もっとも
常に伝聞証拠の証拠能力を否定すると、使える証拠が乏しくなり、刑罰法令の適正かつ迅速な実現が困難となりかねないという不都合がある。
↓そこで
伝聞例外

…という構成である。

不都合性は、原則が通用しない場合を作り出す動機となるものである。
したがって、不都合性を書かなければ例外の話に入れないと認識すべきだろう。

第二は、②の導き方である。
これもよくいわれることだが、例外が法定されていない場合には、原則の趣旨=例外の許容性と考えてよいだろう。
これに対し、例外が法定されている場合(たとえば、前述の伝聞法則)には、例外条文の趣旨=例外の許容性である。

第三は、①と②は2つで1組だということである。
原則を出したら、例外も出そう。
ただし、時間的・空間的余裕がない場合には、「特段の事情がない限り、…となる」というように、「特段の事情」で例外を説明してしまうというのでもよいだろう。

ちなみに、「マニュアル思考」といえば、否定的な意味で語られることが多い。
これは、例外を一切(又はほとんど)認めない思考のことであろう。
こういうのを「原理主義」と呼ぶのではないだろうか。

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