ジョギングを終えて帰宅すると、伝統の巨人対阪神戦をやっていました。今は、どこのファンでもないので、巨人が開幕から不振が続いていても、別に何とも思わないのですが、今日はプロ入り初登板で勝利をあげた巨人・高木勇と阪神・藤浪の投げ合いだったので、つい見てしまいました。
見始めた中盤には、巨人が2点を先制していました。そして、高木は阪神打線を1安打に抑えて完封ペースでした。高木投手を初めて見ましたが、ストレートもそこそこ力がありますが、一番の武器は、ちょっと変わったスライダーですね。今日の中継でもカットボールと表示されていましたが、カットボールとスライダーの中間のような球で、すっと横に滑って逃げていくような球です。加えて、シュートやスローカーブ、フォークなどもあり、的を絞らせない老練なピッチングです。
このまま完封かと思われた9回ですが、二死から鳥谷に中越え二塁打を打たれると、続く上本には四球を出してしまいます(判定もちょっと辛かったと思いますが)。これがこれまで多くの選手たちを呑みこんできたプレッシャーというものなのでしょう。迎えるは3番西岡です。こういう場面では何かしそうな雰囲気がありますが、最後はやはり一番自信があるスライダーでショートゴロにとり見事完封勝利をあげました。
ルーキーとしては素晴らしい活躍ですが、ここまではそれほど珍しい話ではありません。高木選手が注目され、私もついつい肩入れしてしまうのは、その経歴です。
高校卒業時プロ入りを志望しながら指名はなく、三菱重工名古屋に入社、プロ入り可能となる2年後から5年間、ドラフト候補となりながら指名がなく、今年ようやくプロ入り出来たという苦労人です。たった5年と思われるかもしれませんが、体が資本のプロ選手にとって、若い時期の5年というのはどれだけ長く感じられるか分かりません。
その長い冬を耐え、プロ入りした高木投手の活躍は胸を打ちます。巨人も他球団から選手をかき集めるばかりではなく、もっとこうした選手発掘をすれば人気が回復するのにと思いますね。
先日の選抜高校野球で優勝した敦賀気比のラッキーボーイとなったのが、3本塁打を放った17番をつけた松本選手です。清原、松井に並ぶ活躍で、プロ入りの可能性はと聞かれたスカウトが「これまでの実績を考えると、現段階ではあり得ません」と断言する記事を読みました。一方で、同じスカウトが「しかし、スカウトの目は節穴です(笑)。私自身、(今はプロで活躍する誰それを)見逃したことがあります。これから大学や社会人で力を蓄えてプロ入りする可能性はもちろんあります」とも言っていました。
高木勇人投手を見逃してきたスカウトも、それこそ山のようにいたということです。しかし、18歳から25歳まで7年間も見逃されてくると、自尊心を保つのもなかなか難しいことだと思います。そうした難しい状況を乗り越えてきた高木投手には是非とも大成してほしいですね。人気球団・巨人では、一瞬輝いてもそれが長続きしない選手もそれこそ星の数ほどいます。耐えた7年間を無駄にしないように、7年の倍くらい活躍してほしいものです。