先日もアマチュア選手への金銭供与の話を書きましたが、もうだいぶ前から高校野球がプロ化していることが問題視されています。野球留学や特待生、もっとすごいところになると、手当まで支給するとか。しかし、すべての選手が特別待遇になるわけではなく、野球有名校の選手の多くは、逆にとてつもないお金がかかるそうです。遠征費だ、寮費だというお金以外にも、遠征に親が同行するなど、親の負担も大変だとか。そうした金銭的、肉体的負担ばかりか、親同士の足の引っ張り合いもあったりして、精神的にも大変そうです。
もちろん昔だって、野球の強豪校には多くの選手が集まりましたし、勧誘もしていたでしょう。しかし、今ほどシステムとして確立はしていなかったですし、有名校以外でも甲子園に出場することも可能でした。
しかし、野球に限らず、県外の高校に進学することを法律で規制することは出来ませんし、野球の上手な子がより強いチームで、甲子園を目指すのももっともなことです。だから、一概に野球留学などを非難することは出来ませんが、監督が選手の代理人のようになって、プロ・社会人・大学などの進路を斡旋したり、とてつもないお金がかかったり、高校が僅かしかない県に全国から有力選手が集まったりするのは、どこかヘンです。ごく平凡な高校球児でも誰でも甲子園を夢見るものですが、戦っている土俵が違いすぎるのです。
誰しも甲子園に熱中しながら、そんな違和感を持っていると思います。だからこそ、昨夏の八重山商工にはみんな注目し、声援を送ったのでしょう。八重山商工は、ロッテに一位指名された大嶺投手のほか、有力選手が何人もいましたが、ほとんどが人口が僅かしかいない離島石垣島の生徒です。彼らがあそこまで行けたのは、彼ら自身の能力も大きいでしょうが、優れた監督がいて、しかも少年野球の頃から持ち上がりで、十年くらい続けて指導を受けられたという幸運が重なってのことです。そんなことでもなければ、現在では純"県"産のチームが甲子園を沸かすのは奇跡に近いでしょう。
問題は、本来勉学をする場であるはずの学校がミニプロ化し、学校もそれを商業ベースで利用している現状に対し、真剣に野球をやりたい生徒の受け皿が、高校しかないということでしょう。プロ球団の金銭供与は、こうした問題のほんの氷山の一角で、野球人気がどんどんかげっている一因は、プロ球界とアマ球界の対立により野球界が一体となって底辺拡大や地域密着が出来ていないことがあります。
この点、サッカーのJリーグはそうした理念から出発しただけあって、実力的な問題はあっても、一歩も二歩も進んでいます。サッカーのやり方をそのまま野球に持ってくることは出来ませんが、現在は、高校しか受け皿がない野球でも、プロ球団全体でプロののユースチームのようなものを地域ごとに作り、プロ志望の有力選手がより能力を伸ばすような仕組みが作れれば、高校野球ももっと違う姿になるのではないでしょうか。これだけではただレベルが下がってしまうので、アンダー18とかでユースも参加可能としたっていいと思いますが、野球の好きな子たちが、それぞれに合った形の進路があり、甲子園などの夢を目指していける方法を考えてほしいと思いますね。プロ球界は欲まみれ、アマ球界はつまらぬ面子にこだわり、本当に野球を楽しみたいファンや選手たちのことを考えているのだろうかと思います。
ファンももっともっと声をあげて、球界の変化を促したほうがいいと思いますね。野球界にも川渕キャプテンの登場してほしいものです。
なんて書いている間にも、西武から横浜へと次々と問題が拡大しています。まあ、恐らく知っている人は知っていた話でしょうから、ここらで全部吐き出して、ゼロからスタートした方が良いような気もします…。野球界に自浄能力があればのことですが。
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