脳内機長のフライトログ

「脳内機長のフライトログ」の記事置き場です。

航空法の呪縛を受ける建物

2010年03月22日 15時39分02秒 | Microsoft Flight Simulator
ど~も~。「脳内機長」でぇーす。
脳内機長、仕事柄「夜景」って萌えーます。まるで「綺麗な女性」を思わせる「魅力」ってありますよね。
えっ!「魔力」?まぁ、魅了するのはどちらも同じ。

皆さん、都会の「夜景」を思い出して下さい。宝石箱のような「輝き」の中に、点滅する光がちらほら・・・・・。
ネオンじゃありませんよ。もっと高い所に・・・・・。
本日はそんなお話。


脳内機長は、「田舎者」。あまり高い建物に囲まれて生活していませんが、(高い山には囲まれています (^_^) )
たまーに「都内」に用事があると、すっかり「お上りさん」。上を向いて「うえーっ、たっけーなー。」なんて。
100 や 200 メートル級の「ビル」を見て雄叫びをあげております。

ですが、「航空機」にはこの「高層建物」が「厄介者」。少しでも「夜間の視認性」を上げ、航空機の安全を考える
法律があります。
それが、前出の「赤い点滅」であります。「高層建築物」を建てるとき、「建築基準法」以外にも「航空法」の制限
があります。「赤や白のチャポカを付けろよー。」とか、「紅白に塗装しろよー。」ってやつです。

思い出されるのが、電波塔や煙突など、骨組構造の建造物や細長い煙突には昼間障害標識(赤白の塗装)の設置を義務
付けられていますので、「東京タワー」は、ピンクやブルーの塗装が出来ません。もし、「東京タワー」が 60m 以下
だったら、ピンクやブルーだったかも。
また、「東京タワー」は、全高 333m なので、中光度赤色航空障害灯(輝度 1600cd )を、90m以上の鉄塔最上部に設置が
義務付けられていて、さらに高さ 210m 以上なので、最上部と最上部より105m下の位置に中光度の障害灯を設置する
ようになります。


「橋りょう」なども当然対象になります。「レインボー・ブリッジ」や、「横浜ベイブリッジ」なんかも、「 60m 以上
の鉄塔・煙突の場合、昼間障害標識を設置するか、白色航空障害灯を設置する。昼間障害標識を設置する場合、赤色航空
障害灯の設置が必要である。」の項目に該当します。


現在日本で最も高い超高層ビルは、横浜市西区・みなとみらい21地区にあります「横浜ランドマークタワー」です。
高さ 296m 、地上 70 階建てであります。

日本では未だに 300m を超えるビルは建設されていません。これは、耐震構造・地盤・建設費等の理由もありますが、
航空法に基く高さ規制が大きく関わっているから。
これは、概ね空港滑走路からの距離で決まります。滑走路の中心にある標点の標高を基準に制限表面と呼ばれる高さ規制
があり、標点から半径 4km までは標点の標高プラス 45m(水平表面)、そこからすり鉢状に高くなり(円錐表面)、
空港から 16.5km から 24km の範囲内では標点の標高プラス 295m に制限されます。(外側水平表面)滑走路の前後
方向にはさらに厳しい規制があります。(進入表面・延長進入表面。ただし、仮設物や避雷設備、その他飛行の安全を
害さないものは、所管航空局長の承認を受ければ制限表面を超えて設置することもできるようです。

「横浜ランドマークタワー」は、この「航空法」の「外側水平表面」に引っかかったのでしょう。


大阪は、どうでしょか?。大阪には、200mを超える「高層建築物」が中心部にはありません。弁天町とか、南港
とか、やや都心に離れたエリアに「高層建築物」があります。梅田地区などは、あれだけ高層ビルがありながら、
200m を超えるビルは建っていません。梅田の「ヨドバシカメラ」の位置で高さ制限が 181m になっているからです。
なので、今後梅田貨物駅が再開発されるでしょうが、高さ 200m を超えるビルは建たないことになり、都市の有効活用の
面で大きな制約が課されることになる。さらに北側の新大阪エリアでは、伊丹空港にもっと近くなるため、ビル需要が
あるにもかかわらず 100m 前後に高さが抑えられてしまいます。非常にもったいない話ではありますが、


大阪の「梅田地区」は、日本有数の大ターミナルで、梅田貨物駅再開発は、これは「国内最大級の再開発」だそうです。
大阪の方に言わせると。「南港」や「りんくうタウン」に、 250m 級の「高層建築物」が建っているのは、非常に
滑稽な事で、やはり「梅田」に「高層建築物」を建てるのが本来ではないかとの事です。


名古屋はどうでしょう?「ミッドランドスクエア」という、最高階( 46F )のデッキの高さは約 230m もある「高層
建築物」が、名古屋駅前に「ど!どーん!」と建っております。名古屋駅自身も、「JRセントラルタワーズ」と称し、
「駅舎」としては、世界最高の 245m の高さを誇り、「世界一背の高い駅ビル」としてギネス・ワールド・レコーズに
登録されているほどです。
中部国際空港(セントレア)まで約 40 km 、名古屋飛行場(小牧)まで約 15 km のこの地は、「航空法」の「高さ
規制」を受けないんでしょうね。


「高層建築物」の灯火の話に戻りますが、難しくは下記の通りです、( Wiki 抜粋・・・いつもの事か)

航空障害灯は航空法施行規則第127条で分類されており、低光度、中光度、高光度などいくつかの種類がある。
高光度の赤色障害灯は存在しない。

①低光度赤色航空障害灯

高さ60m以上の建造物に設置される。明滅はしない。10cd、32cd、100cdなどの明るさの物がある。建設用クレーンに
点いているのはこの種類の航空障害灯である。

○ 60m以上150m未満の高層ビルの場合、屋上の四隅に100cdの低光度障害灯を設置する。
○ 150m以上の超高層ビルの場合、屋上の四隅のうち2箇所(残り2箇所は中光度赤色障害灯)とこれより52.5m毎ずつ
    下に設置する。ただし、高さ97.5m未満の位置には設置しない。
○ 60m以上の鉄塔・煙突の場合、昼間障害標識を設置するか、白色航空障害灯を設置する。昼間障害標識を設置する
    場合、赤色航空障害灯の設置が必要である。


②中光度赤色航空障害灯

低光度のものを縦に二つ重ねたような形をしている。明るさは多くの物が1600cdであり明滅する。90m以上の煙突・鉄塔の
最上部に設置が義務付けられていて、さらに高さ210m以上になると、最上部と最上部より105m下の位置に中光度の障害灯
を設置する。

150m以上の超高層ビルについては、最上部の四隅のうち2箇所に、対になるように設置することが義務付けられている。
残りの2箇所には100cdの低光度赤色航空障害灯を設置する。


③白色航空障害灯

ストロボのように閃光を発する航空障害灯である。中光度と高光度の物があり、60m以上の煙突・鉄塔で昼間障害標識を
設置しない場合に中光度の白色航空障害灯の設置が義務付けられている。150m以上の煙突・鉄塔には高光度の白色航空
障害灯が設置を義務付けられている。超高層ビルには白色航空障害灯は設置しない。


夜景に煌めく「航空障害灯」。無意味に光っているワケではありません。「航空法」と「航空機の安全」。「街作り」
そして「景観」。このせめぎ合いがいつまでも続くんでしょうね。
と、思いながら、「 Flight Simulatior 」の画面に見入ってしまっている脳内機長でした。 (^_^)