脳内機長のフライトログ

「脳内機長のフライトログ」の記事置き場です。

時間をお金で買う コスト・インデックス

2010年03月03日 22時39分02秒 | Microsoft Flight Simulator
ど~も~。脳内機長でぇーす。

脳内機長は平民ですのであまり「時間をお金で買う」感覚はありません。背広ばりばりな「ビジネスマン」は、
「明日は香港。翌日ニューヨークへ・・・・・。」なんて、世界を飛び回っているでしょう。
「○時に○○空港着、○時に○○社の社長と面会・・・・・。」文字通り「分刻み」の仕事であります。
この方たちって「一分一秒がおしい!」「多少お金がかかっても・・・・・。」なんて思うでしょうね。
逆に「のんびり海外旅行。」なんて方。「多少時間がかかっても、あまりお金をかけたくない。」と思う
でしょう。「一時間余計にかかっても○万円安い方が・・・・・。」と思います。

この両者が、同じ旅客機にご搭乗。さて、あなたならどちらを優先しますか?
今日は昨日の続きのお話であります。

「コスト・インデックス」とは、「時間」と「お金」の関係を表した指数であります。
まさに「時は金なり」。簡単に言うと、そういう事。式で表すと

    CI (コスト・インデックス)= 時間コスト( Time Cost ) / 燃料コスト( Fuel Cost )

であります。
まず「時間コスト」について、時間以外にも飛行機を飛ばすには、色々なコストが掛かっています。例えば、乗務員
の人件費、航空機の整備費用、飛行機本体価格又はリース費用などが考えられます。これらのコストは、時間と比例
し「時間が掛かると増加」する物であり、これが分子になります。

次に「燃料コスト」。これはそのまんま、「燃料」のコストになります。1ポンド あたりいくら?のお値段。
これがコスト・インデックスの分母になります。

「コスト・インデックス は0ですよ」と指定すると、FMC は「時間コスト」を無視し、「燃料コスト」を最小
に各種計算値を算出します。分子側の「時間コスト」はタダだ、との解釈で、「燃料コスト」を最大限する考え
でしょう。
「コスト・インデックス は0」での運航は、「燃料コスト」を最大にするため、燃料消費を最小に押さえた値を
はじき出し、搭載された燃料で出来る限り遠くまで飛ぶことを考えます。各フライトでは、出発地,到着地が
決まっていますので、出発から到着までの燃料消費が一番少ない飛行方法がはじき出されます。
「燃料コスト」を優先するため、巡航速度が遅くなり、所要時間が延びても、「時間コスト」は無視ですから、
関係ありません。

「コスト・インデックスが最大」での運航は、その飛行機の最大のコスト・インデックスを FMC に指定すると、
「コスト・インデックス は0」とは逆に、「燃料コスト」が度外視され、「時間コスト」優先の計算がなされます。
分母の「燃料コスト」をタダ同然にすると、コスト・インデックス値は大きくなりますよね。「燃料コスト」を
度外視することは、そんなイメージです。
「コスト・インデックスが最大」での運航は、とにかくぶっ飛ばして、巡航高度にしても高高度まで上らずに、
ひたすら目的地に早く着ける飛行方法となります。
どんなに燃料消費しようとも、目的地に早く着ことを優先させる、フライト時間短縮により、日に1往復でも多く
こなし、機体稼働率を上げるような考えでしょうか。

旅客機は FMC( Flight Management Computer )を装備しておりまして、巡航高度や速度、推力など、多くの値は
コンピュータにより計算され、オートパイロットやオートスロットルを介して最適に設定されるようになりました。
FMC は各種のパラメータから最適値を計算しているのですが、そのパラメータのひとつに“コスト・インデックスが
あります。では、実際の(Flight Simulator の)FMC 設定を覗いてみましょう。

下記の FMC は、B747-400 のコスト・インデックスを 100 %で設定した画面です。コンティジェンシー(補正)燃料
を 10 %に設定してあります。ちなみに総搭載燃料は、127,565 ポンド、乗客・貨物などの「ペイロード重量」は、
72,600 ポンドで、離陸総重量 200,165 ポンドです。これで東京(羽田)~福岡間を、巡航高度 37,000 フィート
(FL370)で飛行します。


スラスト・リミット(最大 N1 回転数)が 98.5 %で出力されます。エンジンは、これを超えて回転しません。


離陸時フラップは 20 °、「ヴィ・ワン(V1)」離陸決心速度 125 ノット、「ヴィ・アール(VR)」離陸可能速度
134 ノット、「ヴィ・ツー(V2)」安全離陸速度 149 ノットで計算されました。


巡航高度 37,000 フィートでのスピードは、332 ノット(マッハ 0.855)が「ECON SPD」(最適な巡航スピード)
として計算されています。


この計算のフライトで何事もなく無事に福岡空港に到着すると 90,000 ポンド残ります。これが福岡空港における
「タキシング燃料」と、使用しなかった「予備燃料(リザーブ燃料)」になる計算です。


コスト・インデックスを 100 %とは、始めに書いた「お金がかかっても、速く目的地に着きたい!。」と言う方と、
「目的地に着くのは多少遅くても良いから、安く目的地に行きたい。」方を両立させた数値(平均値)として使用
します。

また航空会社も、「燃料費がかかっても、速く目的地に着き、一往復でも多く旅客機を飛ばしたい!。」と、
「便数が減っても燃料費は抑えたい。」との「しがらみが」あります。コスト・インデックスを決める運行管理者の
腕の見せ所であります。

時間って、「タダ」じゃないんですねぇー。えっ!脳内機長も たまには、まじめな話しますよぉー。

by 脳内機長