6月21日(水)にさいたま赤十字病院チェストカンファレンス(胸部画像カンファレンス)を開催しました。今回は今までのメンバーに加えて埼玉県立循環器呼吸器病センターの先生方も参加いただき、今まで以上に活発な討論が出来たかと思います。今後の課題は症例を用意している自分が今まで以上に教育的な症例を集められるかかと思います。せっかく集まってくれている先生方の時間を無駄にしないように頑張って症例を探したいと思います。
今回も最後に防衛医大の杉浦先生よりショートレクチャーをしてもらったのですが、内容は肉芽腫性多発血管炎(GPA)の画像所見でした。当科でもここ2.3ヶ月にGPA、EGPA、MPAなどの血管炎症例が多く、このカンファレンスに毎回のように症例提示していました。そのようななか、杉浦先生がGPAのreviewをしてくれ、本当に勉強になりました。
GPAの画像所見として教科書的には①ランダムに分布する多発性の結節、腫瘤影、②気管支血管周囲の結節、腫瘤、③結節および腫瘤内の空洞化、④びまん性のコンソリデーション、すりガラス陰影、⑤気管支壁肥厚、⑥小葉中心性結節など多彩な画像所見を呈するとされています。つまりどのような胸部画像所見を呈する症例においては常にPGAの可能性を考えて鑑別診断医務めようということかと思いますが、今回の杉浦先生のレクチャーを通して、GPAなど血管炎の特徴的画像所見があるのではないかとのまとめになるかと思います。
GPA症例の胸部CTを提示してみます。
このスライスは多発性浸潤影、すりガラス陰影、小葉中心性粒状影などGPAと言われたら頷けるような画像かと思いますが、この画像所見から「間違いなくGPA」というのは意外と勇気があると思います。
他のスライスを提示してみます。
この3つのスライスは、びまん性に気管支血管束が目立つ所見と思いますが、単なる気管支壁肥厚ではなく、広義間質病変としては違和感のある厚みであり、気管支、広義間質から肺胞レベルにまで広がるような陰影が広がっているかと思いますが、このような「気管支血管束に沿った異様に厚い陰影」こそがGPAなどの血管炎に特異的所見ではないかというのが杉浦先生のコメントでした。このような所見、GPAに高頻度であるか否かは別ですが、GPA以外の疾患にはほとんど認めない所見ではないかとのこと。血管炎の診断は胸部画像所見のみで診断するわけではなく、我々臨床医に腕の見せ所ではありますが、画像所見では、この所見を是非とも注目していただけたらと思います。
7月のチェストカンファレンスは7月19日(水)に開催予定です。今まで以上に勉強になるようなカンファレンスになるように頑張って準備しますね。