眉山のふもと

徳島のくらし

今、内モンゴルで

2020-09-15 14:37:11 | 翻訳
 中国政府は6月末、今秋の新学期から、通遼市の学校におけるモンゴル語教育を停止するという秘密文書を出した。
 8月27日、学校関係者に内モンゴル全地域で9月1日から中国語で授業を始めるという指示を出し、小学一年生には中国語で書かれた国語の教科書が配られ、モンゴル人教師に代る漢民族の教師が送り込まれた。

 第2次大戦後、内モンゴルは中国の領土の一部にされてしまい、モンゴル語が話せないモンゴル人はどんどん増えている。民族学校ではなく一般の学校に通い中国語で学習するモンゴル人児童も多い。中国語を母語とする方が就職にも有利である。学者によると、内モンゴルに住むモンゴル人450万人の中で、モンゴル語の読み書きができるのは150~200万人だという。

 だが、モンゴル人としてのアイデンティティを保ち、自分たちの言語を子どもに習得させたいと思うモンゴル人の子ども達はモンゴル族学校に通い、モンゴル語による教育を受けてきた。モンゴル族学校でも中国語は学習するし、周りには中国語があふれているので子どもたちはバイリンガルとして育つ。そのモンゴル族学校での授業を中国語に切り替え、モンゴル語はモンゴル語の授業だけで教えるというのだ。 
 
 この措置に抵抗して、内モンゴル全域で子どもたちが学校を休んでいる。中学校では寮生活が多い。モンゴル語教育停止を知らせれず、夏休み終わりに寮に戻っていた学生たちは学校を出て家に帰った。
 学校を出ていく子どもたち、子供を迎えに来た保護者たちと、これを阻止しようとする政府役人・警察がもめ合いになり自分の母親が殴られるのを見た子どもが寮から飛び降り死亡した。
 
 政府は、公務員の保護者には子どもを登校させないと解雇する、子ども達には学校に戻らないと除籍すると脅している。抗議デモに参加した、などの理由ですでに数百人が逮捕された。
 学校に行けない子どもたちに、教師や大学生をはじめとする人たちが勉強を教え、抵抗を続けている。フフホトにいる私の友人も子どもは今学期は学校に行っていないという。
 
 日本にいるモンゴル人から情報が届く。板挟みになり自殺した小学校長や党関係者、親と一緒に警察署に連行された小学生の女の子・・
 内モンゴルに家族を残して日本にいる友人は、「心配のあまり4㎏もやせた」そうだ。
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 モンゴル語で届いたニュースを翻訳してみた。



私はアラシャン盟東旗の党委員会勤務員のアルタンバガナ、
妻はアラシャン盟党委員会勤務員のソロナです。
妻ソロナは先日、双語教育について悩み、住居から飛び降りて死亡したことを
ご報告いたします。


ボルドバートル・ホルバと申します。オルドス市オドガ・エムネト旗出身です。モンゴル国文化芸術大学のラジオテレビメディア芸術学校で報道学科を専攻し卒業しました。
全ての民族言語の神通力は、その民族の文学によって世代を超えて伝承されてきました。ですから私自身オルドス市区域中央小学校の生徒に無料でモンゴル文学の授業をできる用意があります。
 希望する生徒がいれば連絡してください。この私の気持ちが大海の一滴となり、母なるモンゴル語に少しでも貢献できますように。


モンゴル人の皆様、こんにちは!
私は平凡なモンゴル人女性で、母親です。最近は心の重い日々が続いています。悲しさに胸が詰まり息苦しいです。
でも、どんなことにも善悪両面があります。今日、心痛む日々の中で、私の慰めとなった三つの良い面を紹介します。
一つ目は多くのモンゴル人が目覚め、自分のやらねばならないことを知り、自分の民族を前よりも増して愛するようになったことです。モンゴル人の団結はより強くなったと信じています。
二つ目は子どもたちの授業拒否についてです。幼い子供たちも民族の未来のためにという思いを持ったことは、なんと貴重な価値のあることでしょう。知識を学校の中でだけ得るのではなく、人々から生活の中から偉大な分な遺産を学ぶことができます。いつになっても。父母たちも毎日子供たちと一緒にいる、なんと素晴らしいことでしょう。
三つ目は、モンゴルの教師、公務員、知識人たちの貴重な命、事業が残した偉大な活動についてです。あなた方を尊敬します。民族の英雄、モンゴル人の模範であり、我々の気力と勇気を引き起こします。あなた方の頑張りを無駄にしてはいけない。あなた方がモンゴル人の誠と愛を得ているのは素晴らしいことです。
愛する全てのモンゴル人を仏様が守ってくださいますように。
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 中国では通信が統制されYou TubeもLINEもTwitterもつながらない。私は内モンゴルの人たちと中国国内で使える「微信(we chat)」でニュースを見たり、連絡を取り合っている。モンゴル語教育停止の話題に関しては検閲が日増しに厳しくなって、アカウント取り消しもあるらしいので、現地の情報は減ってしまった。
 
 これからどうなっていくのか・・
コメント
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