私が見るTV番組はニュースとスポーツ実況以外あまり多くないが、その一つにNHKBSの「クール・ジャパン」がある。日本人ホストが日本在住の外国人とともに「かっこいい日本」をテーマごとに論じる。
9月11日のテーマはビールだった。ビアガーデン、地ビール、多彩な種類、泡の量とか温度などの飲み方、お酌の習慣などが論じられた。
●私が長く在住した米国では、ボトルから直接ラッパ飲みするのをよく見かけた。私はそれを米国だけの習慣かと思っていたが、英国でも(多分その他の国々でも)ラッパ飲みが当たり前らしい。それは知らなかった!
ラッパ飲みにはわけがある。それは外国には日本で言うところの中ビンしかないこと。日本ではラッパ飲みは行儀が悪いとされるが、欧米では構わないらしい。むしろ、ラッパ飲みの方が美味しいという意見もある(「クール・ジャパン」に出演した外国人の説)。
日本では、同席する人にビールを注いでやる習慣があるから、小ビン・中ビンではすぐ空になって具合が悪い。一方、大ビンをラッパ飲みするのは重くて難しいし、行儀の点で論外である。
15年ほど前、米国にも大ビンが出現した。その先鞭をつけたのは日本のメーカーである。日本人が大ビンを好むことから日本のメーカーが主に日本食レストランと日系スーパー向けに供給したのである。その人気ぶりにあやかろうと、バドワイザーも大ビンを発売したが、ラッパ飲みができないということで、アメリカ人には人気がでなかった。今はどうなったことやら…。
番組ではこのビンのサイズには触れなかった。残念である。
●「クール・ジャパン」に出演した英国人の説によれば、「英国では冬にはビールを温めて飲むこともある」という。それは知らなかった! ともあれ、日本では冷やしすぎるというのが全員一致の意見。
●もう一つ出演者全員一致の意見として、日本ではグラスまたはジョッキに注ぐときの泡の量が外国よりも多いという。日本では7対3か8対2ぐらいが標準だろう。外国では泡が少なければ少ない方がいいらしい。しかし、泡は風味を閉じ込める役割を果たしている。ホスト側(日本人)を含め、誰も泡の存在価値に言及しなかったのは残念である。
ところで、「クール・ジャパン」はテーマが種切れになったようで、最近あ“かっこいいジャパン”の紹介ではなく、文化・習慣の違いを論じるようになった。それならそれでもいいが、タイトルの「クール・ジャパン」は変えるべきではないのか。