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『「官僚」の真実』書評 その1 日本の借金

2017-09-05 16:25:38 | メモ帳

『大手新聞・テレビが報道できない「官僚」の真実』(高橋洋一著、SB新書)は考えさせる本である。高橋氏は元財務官僚だけあって、「官僚の真実」を知り尽くしているから、説得力がある。同書の書評を何回かにわけて投稿するが、今回はまず「日本の借金」問題である。

高橋氏の日本の借金に関する持論は要約すると次のようになる。

日本は1000兆円の負債を抱えているが、資産も600兆円あり、負債から資産を差し引いた実質的借金は400兆円程度。日本のGDPの約8割に相当し、他の先進国の対GDP比率と比較しても遜色ない。その政府資産の中身については、「換金可能なものが少ない」という主張もあるが、他の先進諸国と比べて換金可能な金融資産が多いのが日本の特徴。

換金可能な政府資産には、特殊法人や独立行政法人への巨額の出資金や貸付金が含まれているので、これらの特殊法人や独立行政法人を廃止または民営化させれば、出資金は貸付金を回収し、政府の負債を大きく減らせる。そして、財政破綻を理由とする消費税増税も言えなくなる。

【所感】

(1)上記の主張は高橋氏が2014年から唱えている持論である。この高橋説に対しての反論が聞こえてこないのは、天下り先を温存しておきたいのが官僚の本音だからであり、政府としてもそこまで踏み込めないのだろう。高橋氏もここから先の議論はしていないが、余る官僚の再配置先を考えることは同氏の専門外なのだろう 。

つまり、特殊法人や独立行政法人絡みの資産は、換金できない部類に入るのではないか。

(2)なるほど、そーか、とは思うが、実質的借金が400兆円だとしても、日本の財政が大幅債務超過であることには変わりなく、高橋説は「目くそ、鼻くそを嗤う」の口である。