sachiclinic's blog

すこやかな毎日を迎える日のために

アトピーフォーラム in 豊富 2007 ③

2007-10-25 07:27:28 | サロンド・アト
かぐや姫です 毎日秋晴れが続きます 朝晩の冷え込みできれいな紅葉が見られるのを楽しみにしているところです

今日は、湯快宿管理人 岡部伸雄さんの「アトピー支援の現場から」のご報告です。

1.温泉湯治治療の効果
  岡部さんが6年間の滞在中に来られた方の湯治後の感想を自己採点してもらった結果です。アトピーに「とても効果あり」「効果あり」が80%を占めました。良くならなかった方も何人かいて、その方たちの特徴は、体力が著しく衰退している時だったこと。体力が著しく低下していると入浴でさらに消耗し、回復力が負けるのでなないかと推測されます。

2.良くなっていく経過
  大方の人は最初の入浴で、「このお湯は自分に良いのでは」と感じるようです。そして初日から数日はこれまで皮疹がなかったところを含めて、赤くなったり、かゆみが強くなったりして徐々によくなる方向に向かいます。ついで1週間ぐらいは皮疹皮膚の入れ代わりが数回続きよい皮膚が出てきます。2週間目は良い状態が安定し始め、3週間目には赤みが取れてきます。ただし、個人の年齢・体力・今までの治療の違いによって個人差はあります。

3.かゆみの問題
  最初強くなったかゆみはだんだ弱くなります。ほとんどの方が半減するようです。湯治中まったくかゆみを感じなくなる方、少数の減らない方もいます。これらの違いはなぜなのかはわかりません。

4.湯治後の再発の状況と治っていく展望
  数年も良くなった状態を維持している方、数ヶ月保つ方、1~2週間で再発する方と、様々です。比較的長く保っている方からの情報では、湯治後一週間ほどで悪くなり、また1週間ほどしたらある程度良くなって持続するそうです。その方は、何を食べたり何をしたら悪化するかを観察し、悪化した時はそれを避けると良くなると言っていますが、自己管理とセルフケアを熟知することも大切かもしれません。しかし、再発したとしても以前よりレベルが上がっていることはどの場合も共通なようです。アトピー仲間の場合、湯治を4~5年続けたら来なくなる方が多いです。良い常態か耐えられる状態になっているのでしょう。

5.心の癒し
  病気が治るまでには長期の時間が必要です。病気回復の方途を探りながら、病気を持っていても無理解な視線に耐え、社会的理解を得て、人間としての尊厳を持ってたくましく・楽しく生きなければなりません。誰もが生まれてきてよかったという人生を過ごす権利があるからです。患者にとって最初の基本になるのは、悩み・悲しみを話せる場・聞いてもらえる機会があるかどうかです。湯快宿ではこれを重視し、談話室を作り、個別の話し合いや、みんなで気軽な懇談会、昼食会などを行ってきました。カウンセラー的要素もありますが、とても大事なことと気づかされました。

6.医師との共同管理・研究の必要性
  豊富温泉湯治には比較的に医療批判の方が多く来るのが特徴です。いろいろな皮膚治療・民間療法・高額のアトピービジネスにまで手を伸ばし苦労を重ねてきた人たちです。その方たちは薬害などを避け、自然治癒力をつけることを望み、湯治治療を選択したものと思います。
  しかし、最近は医師の治療を受けながら湯治に来る方も増えています。医師のほうから勧められてくる方も目立ちます。特にこの数年、豊富温泉湯治に対する医師の関心が飛躍的に増大しています。昨年行われた日本臨床皮膚科医の会の学会で、温泉療法をテーマにするワークショップが企画され、皮膚治療のひとつにしては、と話題になりました。豊富温泉にはタール成分が含まれているために、かつて医療としてあったタール療法のように、効果の医学的根拠もあるとは思います。湯治治療を副作用のより少ない療法の一つとして公認していただきたいと願っています。
 私(岡部さん)自身もビタミンD3薬との併用で十数年軽快状態を保っています。豊富温泉と医学療法と併用したら、それぞれの不十分なところを補いあって効果を増大させる可能性があるかもしれません。
 そういう意味でも、医師が湯治前、湯治中、湯治後のアトピーの共同管理者としての役割を果たしてほしいと望んでいます。日本乾癬学会の金子前理事長は、「これからの医療の発展は患者、医者の協力・共同にある」と言いましたが、これからの医療のあり方を考えると、きわめて示唆に富んだ言葉で、あらゆる分野で求められる事です。

以上が岡部さんのお話の抜粋です。ご自身も闘病されながら、同じ苦しみを抱えた患者さんたちと毎日接しておられる岡部さんの話は、とても説得力があり共感に富むものでした。一人でも多くの悩み苦しんでいる方が、豊富温泉での湯治をきっかけに心も体も楽になっていくと良いなと思いました。
コメント
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