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村上春樹は短篇もイイ~この2冊でハルキ丸かじり~

2014-10-09 | 日記

今年もノーベル賞のシーズンがやってきました。候補常連の村上春樹ですが、今年はフランスの作家パトリック・モディアノ氏が受賞したようです

ワタシは熱烈な村上主義者ではないし、春樹作品を評論できるほど深く理解ができているわけでもない。個人的には、春樹作品は読み説くのではなく、感じるものだと思うので、読者の数だけ自由にハルキ・ワールドを味わえばよいのではないかと感じています。

村上春樹は1Q84や海辺のカフカなど、長編が特に有名ですが、短篇も繰り返し読みたくなるような愛しい作品が沢山あります。 

短篇集の中で印象に残った作品を抜粋しながら、一緒にハルキワールド体験しましょ(^_-)

 

 象の消滅  新潮社 ~ニューヨークが選んだ春樹の初期短篇17篇~

アメリカで1993年に刊行された短篇集の日本語版です。

アメリカで『象の消滅』が出版された頃  

村上春樹はあとがきや、刊行によせてといった内容の文章を書かない人である。けれども、短篇集2冊にはぎっしり書いてくれました。とても貴重な文章です。

 

ねじまき鳥と火曜日の女たち

長編『ねじまき鳥クロニクル』の元となった短篇。長編を読む前に、どうぞ。

 

パン屋再襲撃    1985年8月

夜中に突然、空腹に耐えられなくなった夫婦がパン屋を襲おう!という話。ファミレスがまだ無かった時代のお話。短篇集のタイトルにもなっている、有名な話ですね。

その時僕にパン屋を襲撃したことを思い出させたのは堪えがたいほどの空腹感だった。時間は夜中の二時前だ。

 しかし冷蔵庫の中には食物という名を冠することのできそうな食物は何ひとつとしてなかった。そこにあるものはフレンチ・ドレッシングと六本の缶ビールとひからびた二個の玉葱とバターと脱臭剤だけだった。

 『あなたと一緒に暮らすようになってまだ半月くらいしか経ってないけれど、たしかに私はある種の呪いの存在を身近に感じつづけてきたのよ。』彼女は言った。

 『もし君がいうようにそれが呪いだとしたら』と僕は言った。『僕はいったいどうすればいいんだろう?』

 『もう一度パン屋を襲うのよ。それも今すぐにね。それ以外にこの呪いをとく方法はないわ。』

 『今すぐに?』と僕は聞きかえした。

 『ええ、今すぐよ。この空腹感がつづいているあいだにね。果たされなかったことを今果たすのよ。』 

 

カンガルー通信

レコード店(古い!)への苦情の手紙です。懐かしのカセットテープが登場して、1980年初頭の長閑さが伝わります。

 

四月のある晴れた朝に、100パーセントの女の子と出会うことについて

昔、習っていた英国人の若い女性が、このハルキ作品が一番好き!と言っていました。彼女はその頃、若い日本人男性と恋に落ちていました。

 

眠り

17日間一睡もできないのにそれ以外は、しごくまともな生活が送れている妻の話。

彼女が眠れなくなってしまった最初の夜に見た恐ろしい光景とは?

 

レーダーホーゼン

妻の女友達の母が、ドイツ旅行土産に夫にレーダーホーゼン(半ズボン)をオーダーする話。理由は分からないけれど、何度でも読みたくなる大好きな作品の一つ。

『うちのお母さんはお父さんを捨てたの。』と妻の女友達がある日、僕に言う。『半ズボンがその原因だった。』

 

納屋を焼く

『時々納屋を焼くんです。ガソリンかけて、マッチをすって、すぐに逃げるんです。それで遠くから双眼鏡でのんびりながめるんです。』

『世の中にはいっぱい納屋があって、それらがみんな僕に焼かれるのを待っているようなきがするんです。15分もあれば綺麗に燃え尽きちゃうんです。まるでそもそもの最初から存在もしなかったみたいにね。誰も悲しみゃしません。ただ--消えちゃうんです。ぷつんってね。』

 

緑色の獣

掘り出し物の一作!滑稽な童話のような。緑色の鱗に覆われた醜い獣が、突然あなたの家のドアをノックしてこじ開けようとしたら?!

夫が仕事に出ていってしまうと、あとに残された私にはもうやることがなかった。私は一本の椎の木を眺めていた。私はその木を友達のように思っていたので、私は椎の木と何度も話をした。そのときも、私はたぶん心の中で木と話をしていたのだろうと思う。

やがて椎の木の根元のあたりの地面が、もそもそと盛り上がった。地面が割れ、中から尖った爪のようなものが姿を見せた。そして穴の中からもそもそと緑色の獣が這い出てきた。

獣はきらきら光る緑色の鱗に覆われていた。鼻は奇妙に長く、でも目だけが普通の人間の目をしていてそれが私をぞっとさせた。目にはきちんと感情のようなものが宿っていたからだ。

獣はそのままゆっくり玄関に近づいて来て、細い鼻の先でドアをノックした。コンコンコンコン。

私はじっと息をひそめていないふりをしていた。でも獣はあきらめなかった。鼻の先をもっと細くしてそれを鍵穴に突っ込み、中をごそごそとまさぐっていたが、やがて簡単に鍵を開けてしまった。

『こいつはいったい私をどうするつもりなんだろう。私を食べてしまうつもりかしら。』獣はどうやら私の心が読めるらしい。『いやだなあ。私にはなんの敵意も悪意もありませんよ。』と獣は言った。

『ねえ奥さん、奥さん、私はプロポーズに来たですよ。わかるですか?ずっと深い深いところからわざわざ這い上がってきたですよ。ずいぶん土もかきましたよ。私はあなたが好きで好きでたまらないからこそここに来たですよね。』

 

ファミリーアフェア

今や死語となったプレーボーイ(遊び人)である兄のもとに、ある日、お兄ちゃん子の妹が堅実すぎる婚約者を連れてきた。会話がハルキ節満載です。

『出来れば秋には結婚したいと思うんです。』と渡辺昇は言った。

『結婚式はやはり秋がいいな。』と僕は言った。『まだリスも熊も呼べるし』 

 

ハンバーグの描写がとにかくイイ!食べたくなりますよ~。

 

TVピープル/踊る小人

TVピープルは小人です。ハルキ作品には1Q84といい、得体の知れない小人が良く出てきますね。ネーミングも似ています。

 

午後の最後の芝生

日本では今は殆ど見られない、芝刈りバイトの話。几帳面に芝を刈る作業に、春樹氏の几帳面さを垣間見た気がした。

 

 

めくらやなぎと眠る女  新潮社 ~NY発24の短篇コレクション~

1991年から2000年半ばまでの短篇が収録。

Blind window、Sleeping Womanのためのイントロダクション

短篇小説を書くときは...村上春樹が自分の作品について話すのは結構貴重だったりする。

 

めくらやなぎと、眠る女

村上作品には耳の形がいい女の子や、耳の描写が良く出てくるけれど、ここでは耳の悪いいとこが出てくる

ハンティング・ナイフ

バースディ・ガール

20歳の誕生日に謎の老人が申し出た、1つだけ願いがかなえられるとしたら?

 

貧乏な叔母さんの話

ニューヨーク炭鉱の悲劇

上の二つは、1981年前後に初めて短篇小説を書いた時のもの。短篇小説の書き方がまだよくわからず、苦労したがそれなりの手応えを感じたそうです。

 

我らの時代のフォークロア-高度資本主義前史-

1949年生まれの僕が送った1960年代という時代。高校時代に同級だった何でもできる男。成績が良くて、運動ができて、親切でリーダーシップがとれた、いかにも清潔そうな感じの良い顔をして当然のようにクラス委員をしていた男。彼のガールフレンドは別のクラスで、校内でも指折りの美人で、成績が良くて、運動ができて、リーダーシップがとれる女の子。完璧な人間が年を重ねて、知らぬ間に損なわれていく侘しさ。 

 

 

 僕と言う人間は幽霊だって見ないし、超能力もない。でも、僕にもたったの一度だけ、心の底から怖いと思ったことがある。もう十年以上も前の話なんだけど・・・・。

カンガルー日和

かいつぶり

これぞハルキワールド。 

スパゲティーの年に 

とんがり焼きの盛衰

上の5編は、1982年前後の作品。『とんがり焼きの盛衰』では、小説家としてデビューした時に文壇に対して抱いた印象をそのまま寓話化したもの。

 

 

村上春樹は短篇小説を長編小説の一部として書きなおすことが多いそうで、以下の作品にもそのような原型が収められている。

『ノルウェイの森』の1部。地図好きで真面目な寮で同室の男が出てきます。そして直子も。

人喰い猫

『スプートニクの恋人』の一部

 

シンガポールの海辺で食べた蟹料理専門店で、3日間僕と彼女は毎日その食堂に通った。朝のうちにたっぷりと泳ぎ、日光浴をし。午後街をあてもなく散歩し、夕方のほぼ同じ時刻にその裏通りの食堂へ入って、いろんな種類の蟹料理を試した。良く冷えたビールと一緒に。そして4日めには....(@_@;)

 

 

偶然の旅人

ここでは過去に村上春樹の身に起こったいくつかの『不思議な出来事』について語ります。

どこであれみつかりそうな場所で

ハナレイ・ベイ

日々移動する腎臓のかたちをした石

品川猿

上の5つは2005年に発表



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