『さくら』
さくらは人の人生に重なる。
大小さまざまな花を誇らしく咲かせ、ゆっくりと花びらを散らせてゆく。
散る花びらたちは、見る者に時を刻み、心に想いを刻む。
これまで何一つ変わることなく、幾千の花びらと共に幾度も繰り返されて
きたであろうその歴史の重さに人生を感じ、想いを馳せる。
私もいつかさくらの花びらとなって、天高く舞い上がる。
遥か遠くに霞んで見える、まだ生きている空間を見守り、
そのひとつひとつの想いを確かめるように感じながら
天高く舞い上がってゆく。
さくらは散り、花びらが舞い上がるからこそ悲しい。
さくらは散り、花びらが舞い上がるからこそ美しい。