雉トラは元気な猫だった。
乳呑児で保護され放置されることなく我が家へやってきた。
ノミをとり、虫下しを飲ませて、後は元気に暮らしてきた。
初めての健康診断に8歳をこえて連れて行くことになった。
仔猫の頃に経験させなかったことで、ひどく恐れはしないだろうかと心配したが、黒と一緒に連れて行ったのが良かったのか落ち着いていてくれた。
診察台に乗せようとしても、割りばしでつままれた青虫のようにくねく . . . 本文を読む
雉トラがやっと空いた膝に飛び乗って甘えているあいだ、戻ってきた鯖トラが足元で待っていた。
呼べばとんできそうに、まっすぐこっちを見たまま、じっとしている。
また膝が空くまで静かにそこにいる。
ちびっこだった頃を知っている雉トラにちょっと譲ってやっているのだと思っているよ。優しい気持ちでいるのだと思っているよ。 . . . 本文を読む