憔悴報告

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死の商人、と呼ぶべきか否か@ロード・オブ・ウォー

2005年12月26日 | 新作映画
性善説とか性悪説はどうでもいい。
どっちも真実だってことは誰でも知ってる。
ただ、今おれの気分が暗くシビアなのは、やっぱり世の中「楽天的な愚者」か「悲観的な賢者」のどちらかしか
ありえないんじゃないかとしか思えないからなんだ。
楽天的な賢者になりたい、というのはある。
でもそれこそ愚かな希望なんじゃないんだろうか。

とにかく『ロード・オブ・ウォー』である。
この映画のニコラス・ケイジを「死の商人」と呼ぶことが正しい形容とは
どうしても思えない。
優れた商人、それだけで悪であり、死を運ぶ存在なんじゃないのか。
生きるためには商売しなければならず、優れた商才が悪として生きる覚悟のことであるから、
善であろうと願うことこそガキなのだ、という世の中だ。
誰だって清く正しく生きたい。
でもそうあることは誰にもできない。
生きるってそういうことなのか。
そうだって分かっていても人はぽこぽこと子供を作り、子供を悪へと送り出すのか。
愛なんて言わせない。
ただ自分が満足したいだけなんだ。
だから人間でいられるんだ。

この映画は傑作だと思う。
シビアだけど深刻ぶってはいない。
だからおもしろいし、こういう映画の存在には救われる。
でもやっぱりつらい。
つらいけど、楽天的愚者にもなりたくない。
だから、今はつらくてもいい。
そう思うしかない。

ロード・オブ・ウォー

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2 コメント

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Unknown (taka)
2006-05-22 06:14:28
コメントの絶対数が少ないとおっしゃっているので、このコメントにもさりげなく気付いてくださると思って残します。



このブログめちゃくちゃ面白いです。

関東に住んでいるのに映画を見逃してばかりいる自分が

ちょっとバカみたいです。



ryoddaさんのように深い感想が

浮かんでこない僕ではありますが、

この「ロード・オブ・ウォー」と

「亀は意外と早く泳ぐ」は今年見た中でも

3本の指に入るほどの傑作だと思っていまして、

その辺を褒めていらっしゃるので

まあ 変な言い方ですが

元は取れたかなと。



ちなみに

あと1つは「ヒストリー・オブ・バイオレンス」です。



とりあえず近日中に「ナイロビの蜂」は

絶対に見たいと思います。

青森からのお引越しがんばってください。
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これはこれは、 (ryodda)
2006-05-22 16:05:22
takaさん、コメントありがとうございます。



いや、この『ロード・オブ・ウォー』の記事はだいぶ前に書いたものでして、しかもそのときは私生活なかなりシビアな状況だったものですから、今読むとちと気恥ずかしいですね。



関東に住んでいると、確かにいろんな映画がすぐに観られるんでとっても便利なんですけど、自分が千葉に住んでたときは都内の映画館へ行くのにもけっこう移動が面倒で疲れちゃった記憶があります。

今は、映画館への移動自体は楽ですが、代わりに観たい映画があまり観られなかったりしてます。



『亀は意外と速く泳ぐ』は、それほど世評が高くないわりにかなりおもしろくて、とても好きな映画です。

takaさんご推薦の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』も、もうすぐ観る予定ですが、めちゃくちゃ期待してますね。



引越しはしばらく先になりそうですが、よろしければちょくちょく覗いていってくださいね。

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