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【鳥居のある風景】大隅鳥居@鵜戸神宮・鹿児島神宮・東霧島神社ほか

2019-05-19 | 鳥居見聞録

鵜戸神宮@宮崎県日南市の大隅鳥居(※1)

 今回は、数多くの種類がある鳥居の中で今まで紹介しきれていなかった“大隅鳥居”の紹介です。
大隅鳥居というのは、根岸の定義によれば

藁座鳥居であり乍ら、特別な意匠が加へられてゐるため、別の名称を與えてもよいと思ふものに鵜戸神宮や霧島神宮などに見る鳥居である。
藁座はセイの高い八角形で、屋根は銅板葺き、木造で、朱塗りで、とまでは何の変哲もない有りふれた藁座鳥居だが、変っているのは笠木を黒く、柱と貫とを朱塗りにしてあるのに、島木だけが白塗りにした點である。
(中略)霧島國分を中心とする大隅地方と薩摩の一部とに行き亙ってゐる。いづれにせよ、この様式を大隅鳥居と称して一種別たらしめたい。
(鳥居の研究P236より)

あえて箇条書きにすれば
(1)木造で全体は朱塗りだが笠木が黒で島木が白で塗り分けられている。(勝手に大隅塗と命名)
(2)藁座の部分が八角形である。
(3)霧島・大隅・薩摩地方にのみ見られる。

代表的なものがトップ写真の洞窟に入る手前にある鳥居です。
ちなみにこの鳥居は
こんな場所に建っています。鵜戸神宮は、日本三大下り宮の一社として名を連ねています。(撮影日:2004-2)

こちらは同じ鵜戸神宮の駐車場前にある二ノ鳥居になります。(※2)(ちなみに一ノ鳥居は、ひむか神話街道から鵜戸神宮へ向かう入り口に建っています。)

(Googleストリートビューより)

川南諏訪神社@鹿児島県肝属郡南大隅町(※3)
最もこちらは、大隅鳥居と言うよりは”並立鳥居”として紹介されているようです。
本来一基だけでもいい鳥居をなぜわざわざ横並びにしているのか?ちょっと調べてみても言及されているサイトは、見当たらなかったのですがここの由緒を読むと、かつて信州諏訪神社よりここへ諏訪大明神を勧請したおり信州の諏訪神社に倣い上社と下社として二社を祀っていた経緯があり、そこからそれぞれ鳥居も二基建立されたのではないかと思われます。現在こそ社殿は一つですがその名残りということです。

鹿児島神宮@鹿児島県霧島市隼人町(※4)
大墨塗りの両部鳥居です。稚児柱の藁座部分がちゃんと八角形になっています。

東霧島神社(つまきりしま神社)@宮崎県都城市高崎町
こちらも大隅塗りの両部鳥居ではありますが藁座がありません。稚児柱が亀腹に乗っているだけです。(撮影日:2005-7)

青島神社@宮崎県宮崎市青島
こちらはちゃんと藁座が八角形です。(撮影日:2004-2)

同じ青島神社境内の“日向神話館内”にある大隅鳥居
神話ウミヒコヤマヒコの一場面です。ちなみに木に登っているのが山幸彦で驚いている女性は、豊玉姫です。いわゆる浦ちゃんと乙姫の出会いの場面ですね。(撮影日:2004-2)

 九州の限られた地方にだけに見られる特徴的な鳥居。九州北部地方には肥前鳥居や筥崎鳥居などユニークな鳥居が見られますが、新たに鳥居を建立する場合は社格の高い神社に倣えとばかりに同様な鳥居が偏る傾向があるみたいです。ですが朝廷より遠く離れたこの地には、他では見られない特徴的な鳥居が分布しているのも興味深い事実です。

記事中の一部の鳥居写真は、以下のサイトよりお借りしました。

(※1~2)日本の風景>宮崎県>鵜戸神宮
(※3)鹿児島県観光サイト どんどん鹿児島の旅>諏訪神社
(※4)鹿児島神宮 ウィキペディア



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