風の回廊

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「国民生活第一」への改革は何処へ向かうのか(4)日本を「普通の国」にするために

2010年09月13日 | 日記
Chopin Polonaise No.6 op.53 Cyprien Katsaris


「抑止力としての武力は必要。しかし武力で真の平和は創れない。紛争の最大の原因は貧困。貧困を解決するには食料が必要。だから、これからの国際貢献は武器ではなく、鋤・鍬を持って田畑を耕すことなのだ」

 この言葉、誰が言ったと思いますか?
著名な平和活動家ではありません。一介の平和を願う市民でもありません。ましてやメディアの記事ではありません。
小沢一郎(以下敬称略)が、川内博史議員に居酒屋でしみじみ語った言葉です。僕が目にし、耳にしたのは二度目です。一度は、ネットのある生番組で小沢の言葉として、そして川内議員のツイートで伝聞として。
二度とも「小沢一郎って凄い政治家だな。そして、純粋な人だな……」と感じました。
評論家やニュースキャスターが口にする、どんな平和論にも勝る重みと純粋さがあります。
口先だけの、通り一辺倒の平和論ではない、奥行きの深さ。そして優しさを感じます。

 小沢は言います。「アメリカのアフガニスタンへの自衛隊派兵要求があるならば、それをそのまま呑むことはできない。自衛隊は日本守るために機能するもの。国際協力として自衛隊の海外派遣は、国連主導の下以外、あってはならない」この後『抑止力としての武力は必要。しかし武力で真の平和は創れない。紛争の最大の原因は貧困。貧困を解決するには食料が必要。だから、これからの国際貢献は武器ではなく、鍬・鍬を持って田畑を耕すことなのだ』という言葉が生番組では続きました。

 以前にもここで取り上げましたが、小沢の国連主義は、僕の知る限り93年に出版された『日本改造計画』から変わることなく続き、責任ある立場になった時は、それを実践しています。
小泉政権から麻生政権まで続いた、対テロ特措法(アメリカ同時多発テロ事件を受け、小泉内閣が法案提出、成立した時限立法)により自衛隊のイラク派兵を可能にし、実際派遣され、インド洋では、海上自衛隊によるアメリカ連合軍への無償給油が行われました。

 07年8月8日、長崎原爆犠牲者慰霊平和式典が行われた前日、小沢民主党代表(当時)は、シーファー駐日米大使の要請を受け、その年の11月1日に期限切れを迎えるテロ対策特別措置法を延長する法改正について民主党本部で会談しました。
 シーファー大使は「日本の貢献は非常に重要だ。この法案の影響を熟慮してほしい」と同法に基づく自衛隊の米軍支援活動(インド洋での給油活動他)の継続を要請した。
小沢は、「アメリカの行動を安保理でオーソライズする決議はない。アメリカとの共同の活動をすることはできない」と同法の延長に反対する考えを示し大使の要請を拒否しました。
 
 当時、衆院で2/3以上の圧倒的多数を占めていた自民党の衆院での再可決により、対テロ特措法は延長されましたが、政権交代後の09年11月、鳩山政権下で小沢が示した通り、対テロ特措法の延長は否決され、自衛隊をイラクから完全撤退させ――当時、陸上部隊は、すでに引き揚げていたが航空自衛隊が米軍物資の輸送活動をしていた。また、インド洋では、補給活動が行われていた――小沢はその理念と政策を実行しました。
 これは画期的な出来事でした。05年には「日米同盟―未来のための変革と再編」が調印され、日米の戦略的軍事力共同行使は、より明確化され、強固なものになったその後の決断と実行です。かつて、アメリカの戦略的軍事行動に根拠となる合意がなされた後「NO!」を突き付けた日本のトップリーダーがいたでしょうか。それを実行した政治家がいたでしょうか。
 
 小沢の国連主義は、変わることなく生き続けています。
その根底には『~武力で真の平和は創れない。紛争の最大の原因は貧困。貧困を解決するには食料が必要。だから、これからの国際貢献は武器ではなく、鋤・鍬を持って田畑を耕すことなのだ』という、政治家・小沢一郎の理念の他に、人間・小沢一郎の平和への想いが、持続し続けているからに他なりません。

 昨日も少し書きましたが、普天間基地の辺野古移転について、小沢は「日米合意」を尊重しながらも「沖縄県民のみなさんの大半が、反対している以上、辺野古に空港基地はできない。それはアメリカ政府も同じ思いだろう。だから、話し合いの余地はある。私が総理になれば話し合う」と明言しています。小沢の平和理念は、ここにも生きています。
 また、在沖米軍海兵隊の抑止力について「一万人いるとされる沖縄の海兵隊は、実際は、二千人ほどしかいない。ほとんどが、連合国を回っていて沖縄にはいない。アメリカの戦略として、実戦部隊を最前線に置かなくなり、グアムに集中させようとしている。そういう意味では海兵隊の抑止力はいかがなものか。抑止力は、軍事力だけではない。外交、経済、文化交流、そういうもろもろの親密的交流も抑止力だと思う」

 多くの人が、政治家・小沢一郎を誤解しているのではないか?
「政治とカネ」「剛腕」「壊し屋」というメディアが作った印象を擦り込まれ、政治家・小沢一郎の本質を見逃してしまっているのではないか。
メディアの世論調査の結果を見ると、そんな気がしてなりません。

 僕は冒頭に書いた、小沢の言葉だけ見ても、政治家・小沢一郎の本質を読みとれるように思います。
繰り返しになりますが『抑止力としての武力は必要。しかし武力で真の平和は創れない。紛争の最大の原因は貧困。貧困を解決するには食料が必要。だから、これからの国際貢献は武器ではなく、鍬・鍬を持って田畑を耕すことなのだ』
取り分け、“これからの国際貢献は、武器ではなく、鋤・鍬を持って田畑を耕すことなのだ”という言葉。
ここには、人間が、集団生活を継続していく中で、もっとも大切な「相互扶助」という人の優しさ、思いやりが見えてきます。もっともらしい政治理論ではなく、人間の根源的な心の在りようを感じます。人間が普遍的に持たなければいけないもの。ここには地域も国境も存在しません。

 小沢はアフガニスタンへの自衛隊派兵要請を想定して、生番組で語っていました。
「アフガニスタンは、もともと食料自給率が高かった国で、ソ連の侵攻で国土を崩壊させられ、そこにテログループが進出し、混迷のまま世界の最貧国になってしまった。そして今も紛争が続き、多くの国民が犠牲になっている。まず安心して食べられる状態を世界が協力して作っていかなければならない。安心して食べられれば、紛争はなくなり国は復興するのです」

 14日代表選の結果は、内閣総理大臣を決定します。今後の日本の舵取りをどちらかが任される重要な選挙です。
どちらが勝つか、結果が出るまで判りません。報道は、菅有利と見ていますが、混沌とした状況であることは間違いありません。
 僕は、これまで書いてきたように政治家・小沢一郎の本質、人間としての根源的優しさ。そして政治理念と政策力、実行力に抜群に長けた小沢一郎に日本の舵取りをしていただきたい。と思っています。
停滞とカオスの時代だからこそ、小沢一郎の力が必要だと思うのです。

 僕の文章を読んでいただいた方は、ぜひこの機会に、イメージではなく、小沢に限らず政治家の本質と実行力を見つめていただければと思います。
日本は持続し、政治は継承されます。その瞬間、瞬間に私たちは立会い、影響を受けなければなりません。主権は私たちの手の中にあるはずです。代表選の投票権あるなしに、その瞬間をしっかり見つめてほしいと思います。
しっかり見つめていさえすれば、主権を放棄しなければ、日本は必ず良くなるはずです。

 もっと二人が述べた政策について詳細にお知らせしたかったのですが、能力と時間の限界でした。
長くややこしい文章を読んでいただいた方、コメントをいただいた方、ありがとうございました。
心から感謝です。



人にはそれぞれ、あるとくべつな年代にしか手にすることのできないとくべつなものごとがある。
それはささやかな炎のようなものだ。
注意深く幸運な人はそれを大事に保ち、大きく育て、松明としてかざして生きていくことができる。
でもひとたび失われてしまえば、その炎はもう永遠に取り戻せない。 

                  村上春樹「スプートニクの恋人」より