■ BARCLYS PREMIER LEAGUE 2007/2008 |
リバプール(0-1)マンチェスター・ユナイテッド ・前半43分 テベス(マンチェスターU) |
■ 小さな差が重なり合って大きな差として現れた試合 |
◆ 闘志溢れる試合
先日、CLグループリーグをなんとか2位で突破したリバプール。しかしながら、当初の予想に反して苦しい戦いだったと思います。そして、国内リーグ、前半戦の大一番、ホームアンフィールドにてマンチェスター・ユナイテッドとの一戦が行われました。
リバプールはいつも通り[4-4-2]。CL第6戦マルセイユ戦と同じ布陣で臨んだこの試合。シーズン通じて2回目の連続同スタメン。ローテーション・システムの是非が常に問われているベニテス采配ですが、シーズンも半分経過しようとしているこの時期になりスタメンの優先順位が決まってきたようです。
一方のマンチェスターUは[4-2-3-1]。基本的に2トップ(ルーニー、テベス)に両サイド(ギグス、ロナウド)の4人のアタッカー陣の組み合わせなのでデフォルトでは[4-4-2]という形だと思います。マンチェスターUに関しては、今シーズン2試合程度しか見ていませんので詳しくは分かりませんが、やはり現状(2位)に相応しい素晴らしいチームだと思いました。
立ち上がりからリバプールはこの一戦に賭ける思いが伝わってくる積極的な攻撃を見せていました。特に、マスチェラーノやリーセは気持ちを前面に出してプレーをしていましたし、トーレスもこれまでとは違いどこか荒々しさが見えました。しかし、リバプールの選手がいくら気持ちを前面し積極的にプレーしようとも、時間が進むにつれて両チームの間にある力の差が明確になってきました。それは、個々の能力、チーム力、戦術、監督の力量など多岐に渡る小さな差が重なり合って大きな差として現れた試合だったと思います。
◆ 少ないチャンスを生かせないリバプール
前半26分 リバプールはCKからのボールをゴール前でマンチェスターUのGKファンデルサールとDF陣が交錯してそのこぼれ球をシュートするが、ゴールライン上にいた選手にブロックされます。しかし、そのボールを再びトーレスが頭でゴールへ押し込もうとするものの枠を外れてしまいます。今回の試合のようにレベルが高いチーム同士の試合になると、一瞬のスキや少ないチャンス、試合の流れなどを掴み取れなければ勝てません。例えば、ビッグゲームになればなるほどセットプレーの重要性が高くなるのもその為です。
リバプールは、立ち上がりから積極的に攻めそれなりにチャンスを作り出しマンチェスターUゴールへ襲い掛かるものの最後のゴールという結果が生まれませんでした。そんなこんなで前半も終わりに差し掛かったころアクシデントが発生しました。
■ リバプールのもう一つのゾーンディフェンス |
◆ セットプレーでのゾーン・ディフェンス
先日『リバプール流 ゾーンディフェンス』ということで、リバプールのゾーンディフェンスについて書きましたが、実は、リバプールはもう一つゾーンディフェンスを採用しています。それは、セットプレー時です。
現代サッカーで、ベースとなる守備のシステムがゾーンディフェンスというチームは、ほぼ100%近い割合だと思います。ところが、セットプレー(CKやFK)となると大抵のチームはマンツーマンを採用しています。これは、セットプレー(CKやFK)が単純にゴールへ直結するプレーですので、自分達のゴール前にいる相手選手をそれぞれの選手が責任を持ってマーク(捕まえて)おく必要があるからです。
あまりセットプレーでゾーンを採用しているチームは知りませんが、オランダ代表もちょこっとやっていたような記憶がしてます。ちなみに、セットプレー時ゾーンで守っているチームが時折やるプレーは、FKの時にオフサイドを仕掛けることです。(この前レディング相手にリバプールはこれをやられた・苦笑)
ちなみにゾーンと言っても100%純正なゾーンではなく、ゴールエリアを中心にゾーンを形成して、この地域の選手の密集度を高めニア・ファーサイドへの偏りをなくするという考えがベースにあるのです。もちろんゾーンを形成する時には数的不利な状況を作らないようにします。
◆ 前半43分の失点
そんなリバプールが前半43分に失点をしてしまいました。
マンチェスターUのCKをギグスがマイナス気味にグランダーのパスを入れると、ペナルティアーク付近にいたルーニーが走りこみシュート?すると、ゴール前にいたテベスへボールが渡りダイレクトでゴール。
この時、リバプールのゴールポスト(ファーサイド)にベナユンが張り付いていたので、オフサイドを取ることが出来ませんでした。ちなみに、ゴールポスト(ニアサイド)には、マスチェラーノがいたのですが、ルーニーへボールが渡るとゴールポストから離れテベスをオフサイドに置きたかった。しかし、ベナユンが残っていた。
■ マンチェスター・ユナイテッドの攻撃の柔軟性 |
■ 個人技を生かしたシンプルなカウンター ■ |
マンチェスターUは、ルーニー、テベスの2トップが基本型だと思うのですが、この試合は[4-2-3-1]のような形でルーニーのワントップを基準にテベスが下がってボールを受けたり。C・ロナウドが中へドリブルで仕掛けたりとリバプールのDFラインの前のエリアを上手く使っていました。
マンチェスターUは、両SBが効果的な上がりを見せ、リバプールのサイドを上手く封じ込めていました。また、前半見ていて一番気になったのは、ルーニー、テベス、ロナウド、ギグスこのマンチェスターUの強力アタッカー陣4人のポジションが流動的に動き、それに前述の両SB(エブラ、ブラウン)が連動していたということです。
また、マンチェスターUのアタッカー陣は、それぞれがボールをキープしドリブルが出来るので前線でのタメが作れます。この辺がリバプールとの違いでしょうね。
例えば、ギグスがサイドに流れて、そのスペースへ後方からエブラがオーバーラップしてゴール前へクロスを上げたシーンがありました。
リバプールのCBは、ルーニーへのマークと共に2列目から飛び出してくるテベス。そして、逆サイドから中央へ絞ってくるロナウドの動きをケアしなければならず、難しい守備を求められています。
また、ロナウドのテクニックを生かしたシンプルなプレーからのカウンターもあり、とにかくユナイテッドとリバプールを比較した際にチームとしての攻撃の幅に大きな違いがありました。それは、決して個人に依存し過ぎているわけではなく、きちんとチームとして形になっていることが素晴らしいと思いました。むしろ、最近のリバプールの方がトーレスの突破力に依存しているような気さえします。
結局、いつものように選手交代(バベル、クラウチ、アウレリオ)をするものの前半と大して変わることのない攻撃の形と試合内容。そのまま試合は終了してしまいました。
シュート数は、『リバプール:20(6)、マンチェスターU:5(3)』と勝っていました。さらにボールポゼッション率でも上回っていましたが、試合を見る限りでは決してリバプールの試合ではなかった。
■ ベニテス体制の終わりは近いのか? |
◆ 攻撃の幅が小さいのがリバプール最大の問題
そもそもリバプールの攻撃の形は、マンチェスターUのようなチームとしての連動性という面では劣っていると思います。基本的に、きちんと守って速攻というのが一つのスタイルです。また、最近はチームとしての連動性という面では、ボールフォルダーに対して味方のフォローがきちんと出来ていました。
また、前述の通りトーレスが好調だったこと、そして、チャンピオンズリーグのグループリーグで崖っぷち状態だったのでがむしゃらに勝利を目指して結果が伴っていたことにより、このチームとしての問題点が明確に晒されていなかったとも思うのです。
しかし、この試合でマンチェスターUとの一戦でこのリバプールの問題点が白日の下、明確になったようにさえ思います。
◆ これまでのベニテスの戦績と共に現状を考える
この試合に敗れ、首位アーセナルとの勝ち点差が10と大きく開いてしまいました。1試合少ないもののこの差はちょっと大きい。さらに、CL圏内からも外れてしまいました。
ラファエル・ベニテスが就任したのは04/05シーズンからです。今シーズンで4シーズン目。その間に獲得したタイトルは、次の通り。
・CL優勝(04/05)
・FAカップ(05/06)
・コミュニティシールド(06)
リーグ戦での優勝はありません。
一方、同時期に就任したチェルシーの元監督ジョゼ・モウリーニョは、次の通り。
・リーグ優勝(04/05、05/06)
・FAカップ(06/07)
・リーグカップ(04/05、06/07)
・コミュニティシールド(05)
しかし、念願のCLでは優勝出来ませんでした。
ベニテスは、2つのタイトル。モウリーニョは、5つのタイトル。(但し、コミュニティシールドは除く)
さらに、ベニテス監督になってからのリバプールのリーグ戦の順位はそれほど芳しくありません。
■ 04/05シーズン ■
| ■ 05/06シーズン ■
| ■ 06/07シーズン ■
|
この試合の敗戦により開いてしまった勝ち点差は、結構大きいかもしれません。つまり、少し前に問題になっていたベニテス監督の去就問題が年内に再噴出する可能性もあるかもしれません。
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
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自分はこっちのブログが好きなのでこっちを支持します
別にわざわざ書くことじゃないんですけど、なんか悔しかったので書かさせていただきました
失礼しました
こんばんは。
反論ですか?TBないのでどの記事か分かりませんのでこっちはこっちで反論しようもないので・・・^^;
次回からはHNでどうぞ!
今後ともよろしくお願いします。
トップ4の差をより縮めるべくチェルシーも頑張りましたが、まさかリヴァプールと共に両チームが敗れるとは思ってませんでした。
ちょっとマンUのGKとCBの連携がおかしかったのでリヴァプールに勝機ありか!?って思ったんですけど、テベスにやられましたね。
前半はマンUに分があったと思いますが、後半は盛り返したもののゴール生まれず・・・。
ホームだったので勝ちたかったところですよね!
こんばんは。
ご指摘の点、ファンデルサールとCBとの連携ミスのようなシーンが2~3ありましたね。前半30分前後で続けざまにあったもののトーレス決めれず、カイトの足届かずで、結局、あの辺が今回のようなビッグゲームでは試合の行方を左右する時間帯だったんだと思っています。
結局、リバプールは押し込んでボールポゼッション率は高かった(6割近く)もののゴールが生まれませんでしたし、チームとしてのクオリティを比較したら差は明らかでした。ユウナさんの記事でも書いていますけど、結果だけではなく内容でも負けていたと実感したので、ショックです。
ハーグリーブスとアンデルソンが効いていて、ビディッチとリオのCBもそうですけど、守りが堅い。
やっぱまずはスキルですね。オフザボールの動きとかも大事ですが。基本はテクニックがあるかどうか。
バスケみたいな全員DFのイメージを持っていたのですが、ゴールに入る人やボールにアプローチする人がいて、何よりラインコントロールができるんですね。
前線に人を残さないで守るならこの方法はいいですね。
テヴェスへのマークがベナユンのすべきことだったのでしょうか。ゴールのカバーでしょうか。
ラインコントロールでしょうか。レイナがオフサイドを取ればよかった気もします。
ウィングをSBがサポートにいくことでサイドで優位を作り、
そこからはサイドチェンジしたり、突破してクロスあげたり、FWとクロスする感じで切り込んだりできますね。
ジーコCSKAもそんなサッカー目指してるとおもいます。
色々参考になります。