4月の診療部便り
4月となり、ずいぶん暖かくなってきましたね!
今回は、
「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」についてお話したいと思います。
当院では、体外受精を行う際、
一度に複数の卵子を採取するために、
注射や内服薬など排卵誘発剤を使用します。
卵巣は本来親指大の大きさですが、
排卵誘発剤で卵巣を刺激することにより卵巣が腫れ、腹水がたまる事があります。
これを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。
OHSSの症状として
お腹が張る、急激な体重増加、吐き気、
尿量減少、息苦しさ
などが挙げられます。
これは、卵巣内の卵胞が一度に成長するため、
卵巣が腫れて卵巣表面の血管から水分が腹腔内に露出することが原因です。
露出した水分は腹水となり血液が濃縮され尿量が減少します。
その結果、電解質の異常、血栓症、呼吸障害などが起こります。
一般的には排卵誘発剤に敏感に反応する方が発症しやすくなります。
・年齢が若い方
・やせている方
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群:卵巣内に小さな卵胞が多数存在する)の方
・OHSS や多胎妊娠の既往がある方
このように聞くと、排卵誘発剤を使用しない方がよいのではないか、
採卵をすることはとっても怖いことなのではないかと思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、OHSSは必ず発症するものではありません。
また、排卵誘発剤に対する反応性には個人差があり、
また同じ方でも周期によって反応に差がみられます。
一度の採卵で複数個の卵子を獲得できることは、
よい受精卵に巡り合える可能性も高まることや
複数の凍結胚を得られる可能性が上がることなど大きなメリットがあります。
当院では、毎回超音波を拝見し、その日の卵胞の状態に合わせて注射の種類や量を調整致します。
最適な卵巣刺激を行い、細心の注意を払って治療を行っておりますのでご安心下さいね。
治療していく上で不安や疑問点がありましたら、お気軽にお声掛け下さい。