柚子の花 18/5/2013
昨日、そろそろ夕食の準備に取り掛かろうかとする頃に、小さい人が「柚子の花が咲き始めたから、一緒に見て写真も撮ろう」と私を誘った。
20~30分くらいならば、まだどうにでもなるので、カメラを持って小さい人に連れ立った。
柚子の花は、白くて小ぶりだ。
花自体がぼってりと厚みを感じさせ、中世の花嫁衣裳のように素朴な気品をもっている。
花と一つ採り、匂いを嗅いでみる。
爽やかな柑橘類の香りだ。
10代で嫁ぐ、あどけなさが残る初々しい花嫁のようだ。
それから、シロツメクサの咲いているところへ歩く。
毎年、群生する場所だ。
しゃがんでみていると、「ブーン」と虫の羽音がする。
ニホンミツバチだ。
後ろ足にせっせと花粉団子をつけている。
そういえば、さっきの柚子の花にもニホンミツバチが群れていた。
お願いだから、ニホンミツバチ、ラズベリーとイチゴの花粉も漁っておくれ。
君たちの働きがないと、形のよい果実が生らないのだよ。
そして最後に、ジャーマンアイリスの咲くところへと行く。
すっくと太く長い茎を伸ばし、薄紫色の柔らかな花弁を垂らして咲いている。
顔を寄せると、甘く蠱惑的な香りがする。
やっぱり貴婦人なのだな。
日常のこまごまとした雑事に追われても、確実に一日が過ぎていく。
しかし、それでは潤いがないように思える。
時には、その手を休めて花を見、その香りを嗅ぎ、虫や鳥たちの姿に目を留めるのもいい。
作為的ではない自然に備わった美しさを堪能するのだ。
小さい人が私を誘わなかったなら、この美しさは味わえなかった。
ありがとう、小さい人よ。
シロツメクサとニホンミツバチ 18/5/2013
ジャーマンアイリス 18/5/2013