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夏の花ムクゲ、暑さを和らげるその優しい姿

2012-07-25 11:06:24 | 植物たち

空に向かうムクゲ 23/7/2012

小さい人と、夏休みの宿題の絵を描くためにテーマとなっているところへ出かけた。
恐ろしい暑さにはなっていないけれど、雲間から照らされる陽射しは、皮膚をじりじりと焼くような威力を十分に備えている。
絵にしたいようなポイントを探しながら、ぶらぶらと歩く。
時折立ち止まっては、カメラのシャッターを切る小さい人の姿。
その様子を見ていると、どうもカメラが右に傾いてしまうようで、まだ構図全体や水平バランスを考えながら写真を撮るのは難しいようだ。
何とか少しでもよく写真を撮ろうとするその必死な姿が可愛らしく、思わず可笑しみがこみ上げる。

植物を植え込み、野外ステージを模った広場のわきには、夏の花ムクゲが咲いていた。
薄いピンク、濃いピンク、一重に八重、薄く柔らかい花びらを開かせている。
ムクゲの木肌は、少しざらついた灰色。
濃すぎない緑で、切れ込みの入った軽やかな葉は、この木肌によく合う。
空に向かって細い枝をぐんと伸ばし、葉を茂らせ花をつけているムクゲは、夏の暑さに一服の清涼感を与えてくれる。
ムクゲを見ていると、幼いころからの夏の情景を断片的に思い出す。
夏が来るたびに沸き起こる、独特の感覚、暑さの中にある寂寥感、ずっしりとした太陽の重量感、いろいろなものが去来する。
もし、ムクゲがこの世界から消えてしまったなら、はっきりと自覚できない大きな穴がぽっかりと開くに違いない。
たとえムクゲであろうとも、人が意識しない領域を支えている、しっかりと世界を形作る大切な構成要素なのだ。

小さい人と歩きめぐって出会ったムクゲは、十分にその存在の重さを、こうして示してくれた。
ちっぽけな、ムクゲよりも小さく儚いこの私に。


一重で薄ピンクのムクゲ 23/7/2012


八重の茜色のムクゲ 23/7/2012


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