rock_et_nothing

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コーヒーの虜

2010-11-28 23:21:00 | 随想たち
コーヒーの魔法にかけられて、いったいどれくらい経つだろう?

まだ子供の頃、8歳くらいだっただろうか、母がコーヒーの魅力を語ってくれた。

>コーヒーは、なんといってもその香りがいい。
>高校生のとき、初めて喫茶店に入り、コーヒーの香りで満たされた空間が特別な想いを運んできてくれた。

そう聞いてから、コーヒーは自分にとってロマンを抱かせるひとつのアイテムになった。

子供のうちは、ブラックで味わうことはできないし、自分にコーヒーを吹き込んだ当の母でさえ、ミルクと砂糖たっぷり入れたコーヒーしか飲まなかった。
しかし、自分も高校生になり、ひとりで喫茶店に行くようになってからは、ブラックを飲むようになった。
小遣いの許す範囲で、ストレートコーヒーにも挑んでみた。
さらに、自分で稼げるようになってからは、あちらこちら喫茶店めぐりの楽しみを覚えた。

今は、喫茶店が軒並み減少しているようだ。
大手チェーン店に圧されているのか、コーヒーを楽しむ大人、その余裕がなくなったのか、いささか寂しい気がする。

コーヒーがないと、夜も日も明けない自分だが、もっぱらインスタントに頼っている。
もちろん、こだわりはあるけれど。
コーヒーミル(手動)、ドリップ一式、とりあえずの豆があるにはある。
これが、気持ちに余裕がないとなかなか手が出ない、現実の悲しさよ。

それでも、今日は思い切って、簡易ドリップでコーヒーを入れた。
あたり一面芳しいコーヒーの香りが立ち込めて、少し生き返った心地になった。
アロマテラピー。

コーヒーは、豆を挽く儀式から全てが始まる。
だから、明日は、敬虔な気持ちでコーヒーと向き合ってみようか。


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