
フリージア三色

名の知らぬ花
フリージアが咲いている。
白、黄色、パープル。
フリージアは、香りのある花。
どの色も甘い香りかと思いきや、甘い香りは黄色だけ。
パープルは、ほぼ無臭。
白は、スパーシーなコショウの香り。
花の匂いに香辛料の香りがあるなんて、とても驚いた。
香水には、花の甘い香りや柑橘系の爽やかな香り、麝香系のエキゾチックな香りなどに、スパイシーさを加えたものがあるけれど、様々な香りを人が調合するのだからいかようにも操作できる。
しかし、コショウの実がなるはずのないフリージアの花が、まさにコショウの香りを漂わせることに、心底驚いたのだ。
人が長年品種改良してきたバラには、花の形・色・香をそれぞれ違えたりしているけれど、他の花で、色の違いが香りの違いになるのは他に知らない。
知らないことは、身の回りに驚くほど転がっている。
いつからあるのかそれも知らないのだが、春の庭に咲く白く可憐な花で5種類ほどあるなかの一つ、この花の名を知らない。
名を知らぬのは、花に失礼と思いながらも、毎年咲き出てくれる姿を心待ちにしていることで、勘弁願おう。
もし、フリージアの白に出会うことがあれば、どうぞそのスパーシーな香りを楽しんでいただきたい。
本当に、驚きなコショウの香りですぞ。