非常時にこそ,企業本来の姿が垣間見えるもの。平常時には,常識的な対応でことは足りるが,非常時には日頃訴求している経営哲学と教育成果がものを言う。
これを証明したのが,3.11東日本地震時での帝国ホテルの対応であった。日本電産・永守重信氏は,日経新聞連載「経営者ブログ」で,「定宿として帝国ホテルを選んだことに誇りを感じると」言い切り,賞賛の声を寄せている。
>>>震災で見えたホテルの実力 (日本電産・永守重信氏の経営者ブログ)
地震が起きた3月11日,群馬県桐生市にあるグループ会社から,車で東京に戻ったが,いつもなら2時間ほどで済む道のりにかかったのは12時間あまり。東京に到着したのは翌12日午前3時過ぎだった。そのまま,宿泊する予約を入れていた東京・日比谷の,帝国ホテルへと向かった。
ホテル内はさながら野戦病院だった。交通網が遮断されて帰宅できない人や,たまたま付近にいたであろう,数多くの人が次々に避難してきており,ロビーはもちろん,レストランや廊下に至るまで立錐(りっすい)の余地もないほど人であふれていた。体調を崩している人も多く見受けられた。
驚いたのは,ホテルの従業員の対応だ。3メートルおきに立って,避難してきた人たち一人ひとりに「必要なものはありませんか」「体調は大丈夫ですか」と尋ねて回り,水やパンなどの食料,毛布を配っていた。この日休暇だった従業員もみな呼び出したのだという。
すべての従業員が一晩中,手を休めることなく,避難してきた人たちのために力を尽くしていた。朝にはスープまで配ったと聞いて,私は従業員の一人に「素晴らしい対応ですね」と声をかけたが,ただ謙遜するだけだった。
宿泊客以外は一切立ち入らせなかった一流ホテルもあったと聞いた。大震災のような非常時にこそ,企業本来の姿が垣間見える。帝国ホテルの従業員の分け隔てない献身的な対応にサービス業の原点を見た気がした。
私は東京出張の際の宿泊先は,帝国ホテルと決めている。定宿として選んだことに誇りを感じた出来事だった。
▼永守重信(ながもり・しげのぶ)氏
1944年8月生まれ。28歳の時に京都市のプレハブ小屋で日本電産を創業。ハードディスク駆動装置用モーターで断トツの世界シェアを獲得,自動車用などでもトップ製品を次々と生み出す。猛烈な働きぶりと不況をモノともしない攻めの経営で知られる。
《出典:日本経済新聞 2011/4/27 》
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「効率」の旗印のもとで利益追求至上主義がハバを効かせていた。「社会の一機能としての企業」との観点に立つと,企業が本来果たすべき使命は,「事業を通じての社会貢献」にある。帝国ホテルの大震災,当夜の対応がそれを物語っている。
YouTube⇒東日本大震災・地震直後の帝国ホテルロビーの様子
http://www.youtube.com/watch?v=7kKf2wmZog4
東日本大震災・地震直後の帝国ホテルロビー~廊下
http://www.youtube.com/embed/5r9zW1FbkTI
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