烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

スタンプショウ2018 & 埼玉ミネラルマルシェ(3)

2018-04-22 | 鉱物
電車に揺られて大宮へ。いよいよ鉱物の祭典である。
その前に、駅の西口を出たところで「石のベンチ」を発見。座って上野で買ったかわいいパンを食す。そのパンがこちら。



その名も「おにぎりパン」である。中にはツナマヨがぎっしり入っていた。おいしい。しょっぱいものを食べて元気復活である。ちなみに黒いところは恐らく炭か何かの練り込まれた生地であった。




エレベーターを降りてすぐ、会場からの熱気と興奮がだだ漏れである。こちらはとても賑やかだ。年齢層が若干低めで女性が多いせいかもしれない。もちろん若い男性も年配のおじ様も、色んな方々が石を探しにやってきている。
何というか、京都の葵祭を見た後に、岸和田のだんじりを見物に来たかのようなギャップである。どちらも見に行った事はないのだが。


今日のお目当てだった、トルコバザールさんに向かう。こちらの店主さんは、なんと、あの有名鉱物雑誌『ミネラ(No.51)』に寄稿されている。「特集②」の「シルクロードの国TURKIYEのトルコ石とアゲート」(p.34-37)という記事である。
こちらの記事では、主にトルコ産のアゲートを紹介している。ご存じと思うが、トルコでトルコ石は採れない。昔、トルコ経由でヨーロッパに紹介されたため、「トルコ石」と呼ばれるようになったのである。
面白かったのは、アゲートやカルセドニーなど、色によってどこが産地なのか詳しく書いていらっしゃるところだ。またトルコ国内の石事情も織り交ぜてある。なにより、写真のアゲート(瑪瑙・めのう)が美しい。緑とオレンジの層に半透明のカルセドニーが入り込んでいる。
私はアゲートが大好きなので、この号の『ミネラ』はとっても面白かった。
さてさて、何が目当てだったかというと、実はアゲートではない。こちらである。



左の緑色っぽい石である。これは何かというと、細かい水晶の結晶を身にまとった「クリソプレーズ」なのだ!表面がキラキラときらめいている。前回の浅草橋ミネラルマルシェで迷ったあげく、買いそびれ、その後思いが募った石である。まだ売られていたので良かった。こちらはまたの機会にじっくりご覧頂こう。
右側の白っぽい石は「デンドリティック・オパール」の原石だ。白い地に黒い模様が、まるで墨絵のように樹木や景色に見えてくる。カボションや磨き石の形で研磨されているのをよく目にするが、こういった原石の状態は初めて見た。面白い石が2つも見つかった。


ところで、この日、ほんとにツイていたのだ。石の方も大収穫だったのである。量ではない。質の話である。面白い石がこの後も続々と見つかったのである。


続いて、ふらふらと会場を周り始める。もうごった返しである。会場が狭くてクーラーが全然効いていないようだ。大汗かき子になりながら、順番にブースを見ていく。
ふと、日本産の鉱物を集めた店の前で、奇妙な形の水晶が目に入った。



左側の小さな水晶、「キャンドル・クォーツ」と呼ばれているそうである。大きめのポイントと呼ばれる結晶に、小さなポイントが肩を寄せ合うようにしてくっついているのだ。かわいい。お値段もかわいかった。これも結晶のでき方についてなど色々と興味がわいてくる標本である。
右側の宇宙ステーションのような石は「アラゴナイト(霰石)」である。特徴的な六角柱の結晶が大小寄り集まっている。「スタートレック」なんかに出てきてもおかしくないような形をしている。こちらはまた別のお店で発見した。


「ミネラルマルシェ」は「ミネラルショー」よりも規模は小さい。小さいながらもすごい熱気と活気である。押し合いへし合いの大騒ぎなのである。
展示即売されているのも、標本だけではない。きれいに磨き上げられた宝石の「ルース(裸石)」や、ブレスレットやネックレスに使うビーズ、ハートや卵の形に磨かれた石、様々な石で作られたアクセサリー・・・。そのままの石や加工された石が所狭しと並んでいるのである。


「鉱物女子」達がきれいでかわいい石を物色しているのを横目に、掘り出したばっかりのちょっと小汚くも見える石なんかを物色しているのが何を隠そう、この私である。
この日の埼玉ミネラルマルシェにおける漁獲をご覧頂こうか。



色が、なんというか地味に見える。しかし、である。ブログ記事一回分では語りきれない魅力をそれぞれの石が持っているのだ。


あ、ちなみに私は戦利品という言葉があまり好きではない。辞書を引いて頂ければ分かるが、なにも誰かと戦いに行くわけではないのである。同じ趣味を持つもの同士、好きなものに対面する喜びという暗黙の連帯感を味わいに、こうしたイベントに出かけるのであるから。だからあえて、「漁獲」という言葉を使わせて頂く。まだこっちの方が平和的であるから。魚にとっては穏やかではないと思うが、英語の”haul”の訳語である。
私はただの仏頂面した平和主義者なだけである。


閑話休題。続いて汗をふきふき、なじみの石屋さん・ CORO CORO STONEさんのブースへと向かう。店長のルンルンさん(ブログのHNである)は実に面白くて優しい人なのだ。見た目は厳つい、心の優しい人である。いつも石について色んなお話をさせてもらって長居をしてしまう。時間を忘れて石話に盛り上がるのである。
そして面白い石が必ず見つかる。



左側の標本、白い母岩(しまった!何の鉱物かお聞きするのを忘れた!)に赤いスピネルが見え隠れ。かわいい!しかもこれ、ブラックライトを当てると蛍光するのだ!!
いずれ「蛍光鉱物特集」でも組んでご紹介したいと思う。

そして右側が極めつけに変わっている。別のお店で、作業着を着たおっちゃんが売っていた。「ぬけがら水晶」と呼ばれる石である。専門的には「仮像」もしくは「仮晶」と呼ばれている。どんな鉱物かは今後をこうご期待。すごく興味深い標本なのだ。




最後に目にとまったのは「オーシャンジャスパー」。マダガスカルで採れる有名な鉱物である。濃い緑の地に白い小さな点々が浮かび上がる。夜桜を眺めているような感じである。割れ目にキラキラとドゥルージーが覗く。
この石も色々面白いいわれがあるので、是非ご紹介したいと思っている。


長いようで短かった一日であった。短いようで長かったのかもしれない。
切手の祝祭と鉱物の祝祭、同時に味わうというこの奇跡の一日は、お好み焼きとビールで締め括られることとなったのである。乾杯!

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