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烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

サントメ・プリンシペの恐竜切手 (1)

2018-04-17 | 切手


パケットと呼ばれる切手の詰め合わせがある。主に使用済み切手を数十枚単位でパックにして売っているものである。1枚あたり1円~10円くらいの価格だ。トピカル・パケットというあるテーマで集められた切手のパックや、国別パケットという発行国を絞ってその国の切手だけを集めた物などがある。


サントメ・プリンシペはパケット常連国と言ってもいいだろう。トピカル・パケットを買うと、必ずと言って良いほど入っている。


サントメ・プリンシペ民主共和国(サントメ・プリンシペみんしゅきょうわこく)、通称サントメ・プリンシペは、西アフリカのギニア湾に浮かぶ火山島であるサントメ島、プリンシペ島、そしてその周辺の島々から成る共和制の島国である。首都はサントメ。ポルトガル語諸国共同体、ポルトガル語公用語アフリカ諸国加盟国(ウィキペディア)。


さらに経済についての項目に、切手に関する記述がある。

カカオ生産およびその輸出に依存する農業国。経済基盤は非常に脆弱で、世界最貧国の1つ。旱魃や資本不足で生産量は落ち込み、経済不振が長期化。食糧や生活物資の大半を輸入に頼る。重債務貧困国でもあり、2000年の対外債務残高は国民総生産 (GNP) の460%にも達し、国家経済は事実上の破産状態。観光産業も整っていない。

1970年代には切手の発行を外貨獲得の手段としており、アラブ首長国連邦の一部土侯国などと同様に自国とは関係のない記念切手を乱発し、切手商を通じ収集家に販売していた。世界的に権威のあるアメリカのスコットカタログで「一部は政府が発行したものではない可能性がある」と注意書きのある切手もあり、国外のエージェントと組んで乱発していたことが伺える。2010年代に入っても切手の発行件数は多く、2014年は小型シート約200種(単片ベースで約500種)を発行している。また、違法切手(illegal stamps)と呼ばれる、実際にはサントメ・プリンシペが発行していないにもかかわらず同国国名を冠した偽物の切手が市場に出回っている(ウィキペディア)。


いわゆる「切手乱発国」である。偽物は困るけど、私は乱発国の切手、結構好きだ。割とキャッチーな図案を採用していて大胆なデザインが多いのと、結構、恐竜切手を乱発してくれていたりするからだ。


そもそも、切手を乱発しなくてはいけないほど経済状態が悪いのだったら、購入する事で少しでもお役に立つのかもしれない、と単純に考えてしまう。でも使用済みだと意味がないか・・・。


ところでこの切手、チャールズ・ダーウィンの死後100年を記念して1982年に発行されたのだ(『よみがえる恐竜たち』p.33)。一応、そうした意味を持って発行されている。単に乱発したものでは無いのかもしれない。


よく見ると、消印がステゴサウルスだ!かわいい!




この切手に限らずだが、図案に採用される恐竜というのは人気者だったり、見た目が派手だったりする物が多い。その結果、ティラノサウルス、ステゴサウルス、トリケラトプス、アンキロサウルス,アパトサウルス、ディメトロドンといった限られた種類に偏っているように思う。「○○サウルス発見△△周年」といったような切手でない限り、上記以外の(マニアックな)面白い種が切手に登場する確率というのは極端に低い。特に1990年代前半までの切手は、登場する恐竜が似たり寄ったりな気がするのだ。まあ、私はトリケラトプスが大好きだから別に文句を言うわけではないけれど、恐竜のシリーズ切手に一言申し上げたい事があるので次回へ続く。



【参考サイト・文献】
・ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%9A
・『よみがえる恐竜たち(切手ミュージアム1)』 長谷川善和・白木靖美 著 (未来文化社 1994年7月25日)

ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手 (3)

2018-04-07 | 切手
次に気になるのは、いつ発行されたかである。これは切手自体に発行年月日が記されていないから見当も付かないところだ。が、加刷してある“地”のロシア切手を手がかりにある程度絞れるのではないかと考えた。


赤1色で印刷されている所から、おそらく、ロシアの普通切手だろうと思われる。「スコット世界切手カタログ」があれば、おそらく一発で解答を得られるだろうが、そんな高価なカタログ、そうそう手に入るものではない。ここは地道に、周りにある材料を手がかりに探っていくしかない。


そこで、大変便利なサイトを発見した。「スタンペディア」である。


スタンペディアとは
スタンペディア世界切手カタログは、2009年12月開始のネットサービスで、現在36ヶ国111,987枚の切手を画像付きで掲載しています。国や年代を指定して切手の一覧リストを表示したり、不特定のキーワードで検索して、ひっかかる切手だけを見ることもできます。時間はかかりますが世界で五番目の世界切手カタログになりたいと思います。


なんとも頼りになるサイトではないか。スコット世界切手カタログを手に入れる事ができない私にとって、心強い味方である。早速ロシアの項目を参照する。図案は1992年のガンビア切手が元であるから、1992年以降を探してみる。


発見!!




1992年9月10日に3ルーブル切手として発行されている。それじゃあ、この年の発行かというと、額面に注目して頂きたい。





左から250,500,1050,3000,5000となっている。ロシア連邦の一共和国だから通貨はルーブル。もしも、1992年当時の郵便料金が3000ルーブルなどという高額であるならば、わざわざ3ルーブルの切手を発行するはずがない。郵便に切手を1000枚貼らなきゃならない。つまり、1992年以降のある時期に、3ルーブルの切手に1000倍の額面を印刷しなければならない状況に陥ってしまったと考えられる。インフレである。というわけで、ウドムルトの加刷切手は1992年に発行されたものではないことが分かった。


スタンペディアの続きをみてみよう。
1992年5月26日に100ルーブルが発行されているが、その後は5ルーブル、3ルーブル、25カペイカ(1ルーブル=100カペイカ)と続く。
翌1993年は25~500ルーブル。
1994年には50~500ルーブル。
1995年になると、1月26日に1000ルーブルが発行された後、2月21日についに5000ルーブルが発行されている。その後、この年は250~500ルーブルを推移。
96年3月27日には再び5000ルーブルが発行されている。96年9月10日にも5000ルーブルを発行。
97年4月30日、8月15日にも同様に5000ルーブル切手を発行。その後は1000、500ルーブルと続いている。
ところが1998年1月1日、突然10、15、25,30,50カペイカ切手が発行されているではないか。デノミか?98年は1~5ルーブルの切手が発行され、そのまま落ち着いた様子である。


ロシア連邦の5000ルーブル切手が発行された時期をピックアップしてみる。
1)1995年2月21日
2)1996年3月27日
3)1996年9月10日
4)1997年4月30日
5)1997年8月15日
以上の発行年月日をてがかりにすると、ウドムルト共和国の恐竜加刷切手は、1995年2月~1997年8月の期間か、もしくはその前後に発行されたのではないかと推測できるのだ。


だから何だ、と言われればそれまでだが、私個人としては幾分すっきりした。


「スコット世界切手カタログ」を見る事ができれば、きっと一発なんだけどな。


ちなみに、1998年、ロシアでは1000分の1のデノミが行われた事が、ウィキペディアに載っていた。私は経済には疎いのだが、切手を手がかりにその国の経済状況がわかることもあるのだなあ、ということが今回の収穫か。というわけで、「ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手」は、ソビエト連邦解体(1991年)後の経済混乱期において、インフレが最高に高まった時期であり、その後に行われるデノミの直前くらいに発行された切手であることが分かった。最初はただのoverprintタイプの加刷だと思った物が、surchargeタイプの加刷切手だったのだ。


ただし、まだ謎は残っている。


「なぜガンビアの切手だったのか?」・・・


【参考サイト】
スタンペディア http://www.stampedia.net/ja

ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手 (2)

2018-04-06 | 切手
大体、この切手が恐竜の図案であると分かったのは、真ん中のスピノサウルスらしきものがいたお陰だ。背中の帆でかろうじてスピノサウルスだと分かったけれど、そして右端の竜脚類らしきものがいたから恐竜だと分かったけれど、他の図案はまるでカンガルーの化け物である。どうしてこんな風になったのだろうと一人いぶかしむ。黒一色の印刷のためか、スピノサウルス以外は、もはやどんな種類の恐竜なのか見当も付かない。印刷がつぶれてしまっている。


漠然と「これ、元ネタあるんじゃないの?」という疑問が浮かぶ。国名と額面はともかく、肝心の図案があまりにも不鮮明だからである。何かイラストなり他の切手なりをコピーした物ではないかという予想がつく。


というわけで、図書館にて今はもう絶版になってしまった本を借りる。『よみがえる恐竜たち(切手ミュージアム1)』である。子ども向けの本だ。前半には様々な国から発行された恐竜の切手をカラーで紹介している。後半では、恐竜についてこれまで分かっている事が、生態や絶滅した理由、古生物学史などを交えながら詳しく説明されている。途中、年代の誤記と思われる箇所や、植物食恐竜のデンタルバッテリーに関する説明図が抜け落ちている辺りは残念でならないが、恐竜に関する情報を十分概観する事ができる。さらに、最後の方には切手の用語についての説明まで載っている。あなどるなかれ、である。これはかなり面白くためになる本だ。恐竜切手を収集する際、知っておくと便利な情報が盛りだくさんである。大人が読んでも勉強になる。


カラーで恐竜切手を紹介するページが、全体のちょうど半分位である。ぱらぱらとページを繰るだけでも楽しい本だ。と、





これって・・・






そういうことだよね・・・。






というわけで、「ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手」の元ネタが判明した。ガンビアから1992年に発行された恐竜シリーズの切手である。


これでウドムルト共和国切手の図案が何の恐竜であるかが分かった。左からドリオサウルス、サウロロフス、スピノサウルス、スクレルモクス、ケティオサウルスである。


なぜにガンビアの切手図案をコピーしたのであろうか?当時、ウドムルト共和国、もしくはロシア連邦とガンビアとの間に、何か特別な友好関係でもあったのだろうか?それとも、単に良い切手だなあ、ということでコピーしちゃったのだろうか。ウドムルト共和国大使館というのは無いから、ロシア大使館にでも行ってお訊きしたいくらいである。


そもそも、ガンビアの切手、4種類を除き、全て恐竜がカンガルー座りなのだ。しっぽの付け根の辺りを地面に下ろし、後ろ足を折り曲げて座り込んでいる。しっぽは足の間にある。どうしてそんなポーズを図案化したのだろう。お世辞にも魅力的とは言えない。縦型・長方形という切手の形とサイズによる制約だったのかもしれない。確かに手持ちの恐竜切手は、横型・長方形が多いような気がする。獣脚類の恐竜を縦型に図案化すると、しっぽがどうしても描きづらい。その結果、足の間から前に向かってしっぽを下ろす、という姿勢になってしまうのかもしれない。


「しっぽが足の間に」、という姿勢は、当時、恐竜、特に獣脚類の復元図で主流であった「ゴジラ型」のポーズが影響していると思われる。ご存じのように、昔の恐竜の絵と言えば、ティラノサウルスがゴジラのように直立してしっぽをひきずっていた。それが、1993年公開の「ジュラシックパーク」を機に、頭としっぽが水平の、新しい復元モデルが切手界でも浸透し始める事になる。とはいえ、1990年代の恐竜切手は、ほとんどが「ゴジラ型」のしっぽ引きずりモデルがまだまだ多くを占めていたように思われる。


図案の謎はある程度解けた。次は加刷されている、“地”のロシア切手と額面に注目してみると、この「ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手」がいつ頃発行された物であるのか、ある程度絞り込める事が分かった。
さらに続く。



【参考文献】
・『よみがえる恐竜たち(切手ミュージアム1)』長谷川善和・白木靖美 著 (未来文化社 1994年)

ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手 (1)

2018-04-04 | 切手


「ロシア」と書かれている普通切手らしき物4枚を一組としてそこに一種類の図案が印刷されている。
“Republic Udmurtia”。聞いた事も目にした事もない国名である。額面もすごい数字になっている。さっそくウィキペデイアで調べる。


《ウドムルト共和国》
ウドムルト共和国(ウドムルトきょうわこく、ウドムルト語:Удмурт Элькун、ロシア語: Удму́ртская респу́блика または Удмуртия)は、ロシア連邦に属する共和国。首都はイジェフスク。沿ヴォルガ連邦管区に含まれる。北にキーロフ州、東にペルミ州、南にバシコルトスタン共和国、タタールスタン共和国と隣り合う。
・面積 42,100km²(ロシア連邦全体の 0.25%)
・人口 1,570,316人(2002年)
・人口密度 37人/km²
・住民 住民の民族別の内訳は、ロシア人(53%)、ウドムルト人(35%)、タタール人(7%)、ベラルーシ人(2%)など。ウドムルト人はフィン・ウゴル系の民族である。公用語はウドムルト語とロシア語。主な宗教は正教とシャーマニズム
・歴史 もともとウドムルト人が暮らしていたこの地域に、ロシア人開拓者が達したのは12世紀ごろ。1552年にカザン・ハン国がロシアに併合されて後、ロシア人入植者が増えていった。

1920年、ヴォート自治州として形成され、1934年にウドムルト自治ソビエト社会主義共和国と改称された。ソビエト連邦の解体(1991年)にともない、1990年からウドムルト共和国。


どこに位置するのかというとこの辺。





なるほど。隣り合う国々でさえ、私は知らなかった。そして気になるのが「主な宗教は(ロシア)正教とシャーマニズム」というところだ。キリスト教と土着のシャーマニズムが共存する国がロシアにある。興味深い。


ちなみに、平昌オリンピック女子フィギュアスケートの金メダリスト、アリーナ・ザギトワは、この国の首都イジェフスクの出身である。


さらにこの国について調べていて、面白いサイトをみつけた。


「なぜウドムルト人はロシアの異教徒で、どうして彼らは恐れられるのか」
ライフ 12月 13, 2017 エカテリーナ・シネリシチコワ
(RUSSIA BEYOND https://jp.rbth.com/lifestyle/79430-udmurts)

ウドムルト人は中央ウラルに住む人々だが、彼らの心には数世紀を経てなお異教が根付いている。彼らは地獄も天国も信じない。戦わないし暴動も起こさない。自分たちのことを“格別に平和愛好的”と呼ぶ。そして武器を集めている。
“タンポポ”の頭は刺繍の入ったスカーフで幾重にもしっかりと覆われ、髪が何色かは分からない。多くの人が“真のウドムルト人の証”と考える赤毛か、あるいは濃い茶色なのか。

「女性の髪が何色か知りたければ、頭以外の部分を見る必要があります」と彼女は笑う。極寒の空気で彼女の笑いは湯気になる。「今はすべてが当てにならない時代ですから。髪さえもまやかしです。」

彼女の名前もまた一部まやかしだ。実際のところ、彼女はタンポポではなくスヴェトラーナという。彼女がタンポポだったのは、ウドムルト人がパスポートを受け取り、“正常の”名前を持つことを義務付けられる以前のこと。彼女は未だに異教徒だ。ウドムルト人の誰もが心の中ではそうだ、とタンポポは言う。私たちは神聖な農民小屋“クアラ”のそばにいた。見た目は一般的な丸太づくりのロシアの農民小屋と変わりない。

「ウドムルト人は多神教信者です。何を信じているのかは、どう説明したらいいか自分たちでも分かりません。信仰の本質は自然で、自然にはたくさんの神々がいますから。」


>「女性の髪が何色か知りたければ、頭以外の部分を見る必要があります」

なかなか艶っぽいジョークと受け取ってよろしいのだろうか?

>「今はすべてが当てにならない時代ですから。髪さえもまやかしです。」

思わず、「含蓄に富んでいるなあ」、と感心してしまう。

>「ウドムルト人は多神教信者です。何を信じているのかは、どう説明したらいいか自分たちでも分かりません。信仰の本質は自然で、自然にはたくさんの神々がいますから。」

アニミズムということだろうか。多神教信者というのも、なんだか日本と通ずる物があるような。

そしてさらに興味深い内容が続く。


◆武器を持った魔術師

今日では街への出稼ぎが、収入を得るためのほとんど唯一の手段だ。ルドルヴァイ村にはガスが通っていて、学校や図書館もあるが、例えば未だに店、病院、薬局すらもない。だからパンすら自家製のものだ、とアンナ・ステパノヴナは語る。・・・
・・・ルドルヴァイには今日千人余りの人が住んでいる。最寄りの街であるイジェフスクまでは19 kmある。アンナ・ステパノヴナはタンポポとともに博物館で働き、以前は天候にかかわらずそこまで3 km歩いていた。今ではワゴン車ガゼルで送迎してもらっている。

「ルドルヴァイの住人は皆イジェフスクの工場で働いていました。ルドルヴァイには広大な畑とコルホーズ(ソ連における集団農場)がありました。今日ではコルホーズはなくなり、個人経営の農場だけになりました。農作業はしていますが、人手が足りません。街から100 kmも離れた村の人は、村から出ることもなく暮らしています。家は木造で、自分の農園があり、季節によってはイチゴを売ったり、材木を売ったりしています。若い人は出て行っています。実家へはせいぜい休日に帰って来るかどうかです。帰ったところで、本当に何もすることがないですから。」

現在でも大半のウドムルト人が、“蒙昧な人々”というステレオタイプを克服したにもかかわらず、半世紀を経てなお工場で働いている。最も非戦闘的な民族が、さまざまな事情が重なって武器を生産している。イジェフスクの工場の半分がこの製品の製造に従事している(この中には財閥“カラシニコフ”も含まれる)。

しかしウドムルト人が恐れられるのは武器のためではない。「彼らは魔術師だ」というよく知られた噂があるのだ。
「シャーマンや病気の回復といったものはありましたか?」
「シャーマニズムが姿を消したことはありません。病気の回復ももちろんありました。」
アンナ・ステパノヴナの声は真剣で深みのあるものになり、眼は緑で鋭く知性に溢れた。こんな話があったという。コルホーズの議長が小さな農民小屋“クアラ”を横流しして薪にしたところ、彼は数日後に死んでしまった、偶然の一致かもしれない。しかし、これはウドムルト人になせる業でもある、という人もいる。


ソ連時代には、武器工場が多数あったために、地図上にない、「閉鎖都市」だった。自然を崇拝し、自らを「格別に平和愛好的」という人々が武器を作り続けているという矛盾。シャーマニズムを守っているが故に偏見を持たれ続けたのも理由の一つ。その偏見が経済的な貧しさの原因となり、貧しいが故に武器を作る。こういう負のサイクルを目にすると、どうしていいか分からなくなる。


とりあえず、ウドムルト共和国はなかなか興味深い国だという事が分かったが、切手そのもの自体の情報が得られない。というわけで、ある本を参考にしようと図書館で借りてきたのだが、そこに思いも寄らぬというかある程度予想していた事実が判明する事になるのだ。次回へ続く。



[参考サイト・文献]
・ウィキペディア ウドムルト共和国 
・「なぜウドムルト人はロシアの異教徒で、どうして彼らは恐れられるのか」ライフ 12月 13, 2017 エカテリーナ・シネリシチコワ RUSSIA BEYOND https://jp.rbth.com/lifestyle/79430-udmurts

中国古生物切手(特22) とウドムルト共和国の加刷切手

2018-04-03 | 切手
先日「切手の博物館」を訪れた。が、博物館自体を見学しないで帰るという残念な結果となってしまった。近くで用事があったため、その用事が終わってからゆっくり見学しようと思ったのだが、その用事が長引いてしまう。博物館の終了時間が5時であり、私が到着したのは2時半過ぎである。じゃあ、十分時間があったじゃないか、と思うのだが、そこには切手ショップがあるのでそちらを優先させたのである。まず博物館なり美術館なりを見学してからのショップだろうが!と常々私は思っていたのだが、自らその信念を曲げて博物館よりも先にショップに寄るという暴挙に出た次第である。


というのも、しばらく前から探していた切手が、そこに行けばみつかるのではないか、というあてにならない確信を抱いていためだ。その切手というのは、1958年に中国から発行された「古生物3種(特22)」というものだ。2枚目のルーフェンゴサウルスは、世界初の恐竜切手なのだ。恐竜切手収集家としては是非とも手に入れたいのである。


モナリザスタンプさんにきいてみると、「ないなあ」とのこと。親切にも、「お隣とか、ショールームに行けばみつかるかもしれませんよ」と教えて下さった。(こちらで購入した切手については改めてご紹介したい。)


お隣のロータスフィラテリックセンターさんにて尋ねると、未使用は売れてしまったとのことだった。しょんぼりしている私をみかねたかどうかは分からないが、ご主人が、「使用済みを何処かで見た」とおっしゃって探して下さった。使用済みでもあれば嬉しい。


その間、私は「恐竜・は虫類」と書かれた切手のファイルを漁っていた。何か珍しい物でもないかな、と思っていると、加刷切手のシートが目に入る。





加刷切手とは通常封通切手から何等かの印刷を加えた物で、大体3つのパターンがある。1つめは、インフレなどで郵便料金の価格が高騰し、新たな切手が間に合わない場合に既存の切手に額面を訂正するか、その上から印刷し直した物で、Surcharge(サーチャージ)と呼ばれるタイプである。2つめのタイプは、占領地切手と呼ばれる物で、文字通り被占領地の切手に、占領国がその公用語で占領国名などを上から印刷したりする。3つめは記念切手を発行する際、費用がかかるなどの理由から、既存の普通切手の上に何等かの図案を印刷してしまうタイプである。


私が目にしたのは3つめのタイプらしく、ロシアの普通切手らしい物4枚一組で上から一つの図案が印刷されている。怪しい。そして気になるから買う。


怪しい加刷切手を見つめていると、店のご主人が「あったよ」と特22・使用済みの切手の袋をひらひらさせた。膨大なファイルの中から3枚の切手を見つけるというのもすごい事だ。




「使用済みでもすごく嬉しいです」と私。「ああそう、そんなに喜んでもらえて良かった」とご主人。
使用済みでも嬉しい。きゃーと言いたい位ですよ。図案は左から古生代の「三葉虫」、中生代の「ルーフェンゴサウルス」、新生代の「オオツノジカ」である。きちんと3つの時代の生物の化石を図案化しているあたりが、学術的にも意味を持たせているし、それぞれ中国で発見された化石であるというところがまた魅力的なのである。


こうして私はモナリザさんでしばらく居座って切手を漁った後、ロータスさんでもじっくり居座って、さらにショウルームでも切手のファイルを何冊か漁った為に、肝心の博物館を見学する時間を失ったのである。


それはそうと、ルーフェンゴサウルスの切手も色々調べてみたいと思ったのだが、この謎の加刷切手について自分なりに調べてみると、色々面白い事が分かったのでご紹介したいと思う。次回へ続く。


〔参考サイト〕
切手の博物館 切手の豆知識 「第23回加刷切手」 https://kitte-museum.jp/mame/2023.htm
ウィキペデイア 「加刷」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E5%88%B7