電験三種の過去問に直線検波の出題があった(H28理、選択)。a問はAM波の変調度であり、b問は直線検波のCRのインピーダンスに関する問であった。
☟AM波の検波原理は整流回路である。一般の整流回路は「AC⇒DC」変換の目的で使用されるが、検波回路は「AC⇒DC変換」と同時にの「R・C」の時定数を選定することで包絡線復調を行い「AC+DC]の中から変調内容である振幅変化を取り出すことにある。
☟直流分を含まない奇関数波である搬送波をダイオードで切り取り、DC分を含む偶関数に変換し、不要な高周波成分をローパスフィルタ(積分回路)で取り除き目的とする変調内容を取り出す操作が直線検波回路動作である。
・問題文に「CRの並列接続した合成インピーダンスの両端電圧に求められることは----」とあるが、インピーダンスは電荷の移動を妨げる働きに着目する場合であり、この検波での主役は時定数であると理解される。
・検波回路のCRは時定数で考察することが重要であり、時定数の大小が検波回路の特性に影響する。CRの時定数が大きすぎるとクリッピングひずみが生じる(digonal clipping)。包絡線の変化に追従できる限界時定数τが決められている。
・直線検波はダイオード特性の直線部分で行うものであり、入力信号が小さくなると二乗特性部分にかかり「二乗検波」になるので十分な入力を与える必要がある。
・包絡線検波回路のCを接続しなくとも復調は可能であり、Cがない場合を平均値検波といい、搬送波を整流することでR両端に生じるAC+DCの平均値が変調信号に比例することが原理である。
※この問題は受験者に何を学んで欲しいのか観えてこないと、個人的に感じている。