ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

悲しい共通分母

2022-06-18 | アメリカ事情 人間性

honorsociety.com

 

 

【注:長文】

 

今年6月1日にデイリー・シグナルというニュースに、ジョシュア・アーノルド記者がテキサス州の小学校での銃乱射事件の悲惨な結末に関して、「父親:集団銃撃事件犯の人生から欠落している家族の構成要素」という記事を載せた。 それが以下の要約である。

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上院民主党は先週、テキサス州ユヴァルデでの大きな犠牲者数を出した学校乱射事件に対応してさらなる銃規制法を検討したが、共和党はそれだけの対応が実際にこの深刻な問題に適宜に対処できるかどう疑問視した。

「なぜ私たちの文化は、罪のない人々を殺したい多くの若い男性を突然のように生み出しているのですか?」マイク・リー上院議員(ユタ州選出共和党)は尋ねた。 「父親のいないこと、家族の崩壊、市民社会からの孤立、暴力の美化などが要因になっているのではないでしょうか?」

リージェント大学法学部の家族法教授であるリン・マリー・コム氏は、「ワシントン・ウォッチ」というトーク番組で、マイク・リー上院議員の述べた事柄が、絶対的に乱射事件に貢献している要因だとした。 「家族の状態は大きな違いを生みます。」と彼女は述べる。少年暴力犯罪に関する広範な調査の結果、5つの「暴力を振るこれらすべての少年に共通する分母」のリストをまとめた。

1.「親の関与がほとんどない。」コム氏は、こうした少年たちの両親は、息子が誰と付き合っているのか、または友人が誰であるのかを知ろうと十分な時間を息子たちと一緒に過ごしていなかったと説明した。会話、趣味、その他の親子・家族としての活動のいずれであっても、両親はことごとく「子供の生活に関与していない」のだ。そして、特に警告を発するような兆候が現れたとき、こうした両親は自分達の子供に対して無知か、不信感を持つ。 「こうした両親は自分の子供を大変に怖れているのです」と彼女は言った。

2.「子供に対するある種のストレス。」コム氏が特定するように、いじめは一般的なストレス要因だが、それだけではない。子供たちは自分でストレスに対処する手段を持っていない。両親はストレスをいかに管理するかを子供に教えるという必要性があるにもかかわらず。自分の子供が親を必要としている、とさえ思いつかない。

3.「一人でかなりの時間過ごす。」怠惰につながりかねない孤独は子供に「暴力への過激さを増加させる時間を残すことです」と彼女は説明した。他の人を大切にすることや、過激な考え方を持たず、それに抗えるように行動できるように教えられるコミュニティの利益から切り離されている。

4.「真実の感覚と道徳」。 「彼らは何が正しく何が間違っているのかを本当に知らないのです。誰も子供に指し示さないのです」、とコム氏は説明した。道徳教育は長い間公立学校から追放されており、多くの家庭も同様にそうした教えに不足しています。親は子供に不正か正しいかを教える根本的責任を負うことになっていても(旧約聖書申命記 6:7)、多くの親はこの義務を怠っている。

5.「反省の信じられないほどの欠如。」コム氏はこれを「最も憂慮すべきこと」と呼び、「良心に最も衝撃を与えることです」と言う。これらの若い男性は自らの良心を凍結したかのように、「最も凶悪な犯罪を犯す前に、ことの良し悪しを判断し、少年を一時停止させさえしないのです。伝えられるところによると、ユヴァルデの乱射犯人は普段から理由もなく人々の車に卵を投げつけたり、BB銃で通りすがりの人を撃ったり、自分自身の顔を切り付けたり、動物を虐待することを自慢し、複数の拳を振り回して殴り合いをし、女の子を脅し強姦し、人間を殺すことについても話していたそうです。」「親や保護者に無視されてきたすべての若者が銃撃犯になるわけではありませんが(自由意志による自身の言動の選択は言うまでもなく、ストレスと孤独も要因であることも考慮のうちに入れて)、暴力への道はまず父親の不在から始まるようです」。

「多くの子供たちは、父親が我が子らと関わっていないために憤慨して成長していきます」と、家族研究評議会の会長であり、「ワシントンウォッチ」トーク番組のホストであるトニー・パーキンスはエペソ人6:4(父たる者よ。子供をおこらせないで、主の薫陶と訓戒とによって、彼を育てなさい)を例えにして嘆いた。父親は「自身の子供たちの生活に存在し、成人期への移行を支援している」わけではない。

5人の子供を持つパーキンス氏は、良い父親であるということは、「単に肉体的に存在しているだけではありません」と主張した。それは感情的・精神的に関与し、子供の生活に従事していることです。」

コム氏は、「父親がいない場合でも」、子供にはその成長期に子供たちに「介入できる人」(子供の存在を真に気にかけ、舵取りの助けをしてくれる人ー兄、叔父、伯父、祖父、保護者など)が必要だと同意した。

父親は子供の幼いうちから関わり始めなければならない。 American Worldview Inventoryという調査会社によると、ジョージ・バーナ博士(市場調査会社を設立、さまざまな宗教と社会の関係を研究する社会科学者)は「13歳までに、子供の世界観は、ほぼ完全に整っていくのです」と述べている。

次世代を担う子供たちを育てる責任は、国家ではなくまず(父)親と家族にあるはずだが、そこに政府の政策が何の役割も果たさないという意味ではない。

「親の権利の復活、親の関与が必要です」とコム氏は述べた。「親の権利に対する攻撃的なことがあり、親は無力なものだと感じ、子供を守るために何もできないことになってしまいます。」

この無力感は学校に於いて特に深刻であり、政府は親を締め出し、子供の幸福に関する情報を親から隠しているように見える。

「政府の介入は両親を困惑させました。 自分の子供を育てることに消極的で、恐れてさえいる一部の親たちを、政府はさらに混乱させているようなものです、政権や政治家は親の力と権威を奪いました」とパーキンス氏は言った。

それでも、「本当の質問をする勇気を持っている政治指導者はほとんどいないのです」と彼は続け、多くの人が「同じ古い話に重点を置き、つまり『銃の制御規制、精神的健康への支出の仕方』を探すのに躍起になっているのです」、と付け加えた。 その間、若者世代は、成熟するまで成長する方法を教えるはずの良い父親の存在不足のために苦しんでいる。

したがって、次にある青小年が生きることに、社会に訳のわからない怒りを持ち始め、それが煮詰められると、無実の民間人にその怒りをぶつけたくなるのだ。そうなると人々の疑問は「彼はどこで銃を手に入れたのか」ではなく、それと同じくらい関連性のある質問を持たねばならない。つまり「彼はどこで父親の姿を失ったのだろうか?」なのである。

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この記事を読み、私の脳裏に彷彿としてきたのは、1968年日本で起こった4名の犠牲者を出した連続射殺事件の被告永山則夫だ。1968年の犯行は原審での死刑に始まり、事件当時未成年だったことが考慮の一つにあり、無期懲役になったが、結局は1990年逮捕から21年後に再び死刑が確定した。1997年永山は死刑に処された。その犯行も残酷だが、それ以上にまるで胸に風穴が開いたような暗澹たる気持ちになったのは、永山の凄惨な生い立ちで、父親の不在を原点として彼はどんどん破滅への道を転げていったことだ。

その永山則夫は、育ってきた家庭環境(子供を守り育て正しい選択のできる人格を形成する努力や義務を怠った父親の不在と欠落は顕著である)が、おおいな犯罪要因であることは間違いない。彼にやっと人としての人格を立て直す機会を与えたのは、死刑とつながった刑務所生活だったわけだ。悲しすぎはしないか。

そんな悲惨な過酷な人生を歩ませるか、あるいは慈しみながら制御のある道徳を持たせ、人らしく生きていく力を与えるか、それは親の最初のそして究極の子供への責任であり、ギフトでもある。誰でも生物学的に、養子縁組で、あるいは里親としてでも親になれるが、真の父親、母親は、強い意志を持ち授かった命に道理・道徳を教えていく覚悟や決心や愛情がどれだけ必要なのか、永山事件当時、未だ学び舎にあった私でさえ、若年ながら強く感じたものだ。

昨今の日本における親の乳児・幼児・児童虐待・殺人は、本当に心が引き裂かれる。親として資格試験が必要なのではなどと過度なことを思わず考えてしまうほどだ。親という意味は、決して軽く考えてはならない。

今年の父の日は6月19日、その日に限らず、毎日の終わりには、常に私の父や夫の父、そして夫へ、あるいは私たちの息子・義理息子たちに、父親として人道を外すことなく、その役目を十二分に果たし、むしろそれを喜びとしていることを心から感謝したい。そして英雄の陰には女あり、のごとく父親を支える母親への感謝も忘れまい、そのつながりが生物学的であろうが、法的つながりであろうが。子供は親への天からの授かりであり、親は子供を預けられて存在しているのを忘れたくはない。

願わくば1日の終わりには、子供が親(保護者)に託されている命であることを感謝したい。

 


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