歴タビ日記~風に吹かれて~

歴タビ、歴史をめぐる旅。旅先で知った、気になる歴史のエピソードを備忘録も兼ね、まとめています。

地続きの先に

2024-05-29 09:00:06 | いろいろ
しばらく前に出た「東京新聞」の記事。

一枚の写真が掲載された。

昭和18年(1943)10月、学生への徴兵猶予が撤廃され、
戦場へ駆り出されることになった、いわゆる「学徒出陣」。

雨の中、神宮外苑での「学徒出陣式」は、よく知られているが、
各学校でも、壮行会が行われた。

下は慶應義塾大学三田キャンパスでの、そんな一枚だ。

学徒兵の一人、上原良司の撮影とされる。
安曇野育ちの上原は、「きけわだつみの声」冒頭の「所感」で知られる。
明日は自由主義者が一人この世から去って行きます」のフレーズを
ご存知の方も多いだろう。

壮行会の前後に撮影したと思われる、このスナップ。
出席した学生の表情は、今の若者と変わらず、
普通の大学生活を送っていたことが、うかがえる。



前記事の対談者・小林エリカ氏の最新刊
『女の子たち風船爆弾をつくる 
ーThe Paper Balloon Bomb Follies』(文藝春秋)
』を、今、読んでいる。

ちょうど、昭和16年12月、開戦直後のあたりだ。
日常が、どんどん窮屈になっていくが、
それでも、市民は普通の生活が送れている。

戦火のヨーロッパに比べ
「わたしたちは戦争中でも、普通の生活が送れて幸せです」なんて
当時の、識者の言葉も掲載されている。
(後ほど、正しく引用します↑)




今週、「虎に翼」では、
主人公・寅子(トモコ)の兄の戦死が伝えられ、
昨日、ついに夫の戦病死も明らかになった。

寅子のモデルとなった三淵嘉子を知らず、
清水聡『三淵嘉子と家庭裁判所』(評論社)で予習をしている。
当然、こうなることも知っていた。

それなのに、夫の出征シーン、いや既に兄の出征からか、
とにかく辛い。毎度号泣。

朝ドラには付きものの戦中・戦後の描写ながら
今回は辛くてならない。
こんなに辛かったことは初めてかも、というくらい。


「虎に翼」が、好きなだけでなく、
わたしが、今、戦争関係のあれこれを読んだり、
戦跡へ出かけたりしているからだろう。

「歴史は地続きである」との感覚。
胸に迫る、昨今のさまざまなこと。

テレビで観たスイーツを買いに走り、
新茶にワクワクし、腰痛にぼやく、わたしの日常。

気がついたら、始まってしまった・・・
なんてことにならなければ良い。

ウクライナの結末次第では、
いつか他人事ではなくなる日がくるかもしれない。


★追記★
今日、5月29日は横浜大空襲の日。
1945(昭和20)年のこの日、横浜市中心部が空襲され、
8000人とも10000人とも言う人が亡くなった、昼間のことだったという。

決して忘れたことはない日なのに、
今日が29日だと言うことを忘れていた。
↑のような文章を書いているくせに。

この「うっかり」が危ない、危ない・・・

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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。
個人の感想ということで、モロモロお許しを。

📷書影は版元より、記事は東京新聞よりお借りしました。

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