(か、香さんも入るんですか!?)
あまりの事態に、僕は羽をばたつかせた。表情はそのままだけど。
「大丈夫だよー。ちゃんとタオルで隠すところは隠すし。
それに銭湯まで行って紅楼くんの体洗うだけなんて、もったいないでしょ?」
い、今時の女子高生はここまでオープンなんでしょうか? いやそんな筈は……
悩んでる間羽を開いたまま停止する僕を見て、香さんは大いに笑う。
「あはははは! 紅楼くんって恥ずかしがり屋さんなんだねぇ。
そんなの、温泉とか行って混浴だった時どうするの?」
再びばさばさ。
(入ったことないですよ混浴なんて!)
男湯でも前隠してるくらいなのに……そもそも温泉とか銭湯とかあんまり行ったことないし。
「私だってないけどさー、そんなの気にしてお風呂に入れないなんてもったいないよ。
だいたい考えてもみてよ。女の子ならバスタオル巻きつけてるのより、
ビキニとかの水着のほうが露出度高いんだよ? 男の子だって殆どおんなじだし」
(言われてみれば確かにそうですが……)
確かにそうですが、なんか見てはいけない姿と言うか背徳感と言うか……
「でしょ? だから大丈夫だって。
明日はそんなの気にしないで体洗って湯船に浸かってリフレッシュ!」
と大人しくなった僕に、ビシッと人差し指を突きつける。
「ね?」
そして人差し指はそのままに、首を傾けながら笑いかける。
(はい……)
敵わないな、香さんには。
「じゃあ明日のためにも、ちょっと早めだけどお休みなさーい」
(お休みなさい)
ばさばさしたせいでちょっと羽が抜けちゃったな……ごめんねカラスくん。
次の日、目が覚めると目の前に黒い塊。香さんの頭だった。
(そうか、この人と一緒に暮らすことになったんだっけ)
お目覚め直後特有の冴えない頭で事態を整理し、この後どうするかを考える。
七時に香さんを起こして……今は? 五時ちょうどか。それまでどうしようかな。
土管から出て公園の時計を確認し、まだちょっと冷える空気で目を覚ます。
そう言えば土管の中は結構暖かかったなぁ。香さんが居たからかな?
「くぅ……くぅ……」
土管の中の香さんを確認し、少し嬉しくなる。やっぱり誰かと居たほうが楽しいな。
なんて思っていると、ちょっと気がつくことがあった。
香さんの頭が毛布からはみ出して、土管に直接当たっていた。うーん、痛そう。
……そうだ、枕を探してみよう。まだ時間は随分あるしね。
毛布がゴミ捨て場にあるくらいなんだから、枕も多分あるだろう。
と言うことで、公園からテイクオフ。
電線から電線へと飛び回りながら、辺りのゴミ捨て場を見て回る。
……思えば、飛べるようになるまで二日かかったんだよなぁ。
最初はもう全然飛べなくて、ひたすら地面でばっさばっさしてたっけ。
なんて思い出に浸りながら探すこと十分、早速枕が見つかった。
と言っても僕に持ち上げられる重さではないので、
香さんに場所を教えて取りに来てもらわなきゃならないんだけどね。
一応その傍に下りて品質チェック。……うん、破れとかもないし大丈夫そう。
後はこれが取りに来るまで残ってることを祈るだけ。
つんつん。
「ん……? ああ、おはよう紅楼くん。時間なんだね? ありがとう」
眠たい目をこすりながら、香さん起床。
(おはようございます香さん。
ところで近くのゴミ捨て場に枕を見つけたんですけど、どうですか? いります?)
すると香さんの眠気は一気に吹き飛んだ。
「本当に!? 欲しい欲しい! どこ!?」
かなり喜んでもらえているらしい。よかったよかった。
(近くですよ。あっちの酒屋があるところの……うわっ)
「よーし出発っ!」
言い終わる前に肩に乗せられ、毛布をくるんで早速お出かけ。
「朝から探してくれたんだよね。ありがとう紅楼くん。ずっと枕欲しかったんだ」
目的のゴミ捨て場へと向かう途中、気持ちいい笑顔でお礼を言われる。
これは言われた側としても気分がいい。
(どういたしまして。なんせ空飛べるんだし、有効活用しないと。
自分で枕が運べないのはちょっと悔しいですけど)
頭を乗せるだけの物が、自分より大きいんだから変な話だ。
「一長一短ってやつだねー。でもおかげで助かりましたっ」
(いえいえ)
そして到着したゴミ捨て場で枕を手に入れ、今度は香さんの家へ向かう。
あまりの事態に、僕は羽をばたつかせた。表情はそのままだけど。
「大丈夫だよー。ちゃんとタオルで隠すところは隠すし。
それに銭湯まで行って紅楼くんの体洗うだけなんて、もったいないでしょ?」
い、今時の女子高生はここまでオープンなんでしょうか? いやそんな筈は……
悩んでる間羽を開いたまま停止する僕を見て、香さんは大いに笑う。
「あはははは! 紅楼くんって恥ずかしがり屋さんなんだねぇ。
そんなの、温泉とか行って混浴だった時どうするの?」
再びばさばさ。
(入ったことないですよ混浴なんて!)
男湯でも前隠してるくらいなのに……そもそも温泉とか銭湯とかあんまり行ったことないし。
「私だってないけどさー、そんなの気にしてお風呂に入れないなんてもったいないよ。
だいたい考えてもみてよ。女の子ならバスタオル巻きつけてるのより、
ビキニとかの水着のほうが露出度高いんだよ? 男の子だって殆どおんなじだし」
(言われてみれば確かにそうですが……)
確かにそうですが、なんか見てはいけない姿と言うか背徳感と言うか……
「でしょ? だから大丈夫だって。
明日はそんなの気にしないで体洗って湯船に浸かってリフレッシュ!」
と大人しくなった僕に、ビシッと人差し指を突きつける。
「ね?」
そして人差し指はそのままに、首を傾けながら笑いかける。
(はい……)
敵わないな、香さんには。
「じゃあ明日のためにも、ちょっと早めだけどお休みなさーい」
(お休みなさい)
ばさばさしたせいでちょっと羽が抜けちゃったな……ごめんねカラスくん。
次の日、目が覚めると目の前に黒い塊。香さんの頭だった。
(そうか、この人と一緒に暮らすことになったんだっけ)
お目覚め直後特有の冴えない頭で事態を整理し、この後どうするかを考える。
七時に香さんを起こして……今は? 五時ちょうどか。それまでどうしようかな。
土管から出て公園の時計を確認し、まだちょっと冷える空気で目を覚ます。
そう言えば土管の中は結構暖かかったなぁ。香さんが居たからかな?
「くぅ……くぅ……」
土管の中の香さんを確認し、少し嬉しくなる。やっぱり誰かと居たほうが楽しいな。
なんて思っていると、ちょっと気がつくことがあった。
香さんの頭が毛布からはみ出して、土管に直接当たっていた。うーん、痛そう。
……そうだ、枕を探してみよう。まだ時間は随分あるしね。
毛布がゴミ捨て場にあるくらいなんだから、枕も多分あるだろう。
と言うことで、公園からテイクオフ。
電線から電線へと飛び回りながら、辺りのゴミ捨て場を見て回る。
……思えば、飛べるようになるまで二日かかったんだよなぁ。
最初はもう全然飛べなくて、ひたすら地面でばっさばっさしてたっけ。
なんて思い出に浸りながら探すこと十分、早速枕が見つかった。
と言っても僕に持ち上げられる重さではないので、
香さんに場所を教えて取りに来てもらわなきゃならないんだけどね。
一応その傍に下りて品質チェック。……うん、破れとかもないし大丈夫そう。
後はこれが取りに来るまで残ってることを祈るだけ。
つんつん。
「ん……? ああ、おはよう紅楼くん。時間なんだね? ありがとう」
眠たい目をこすりながら、香さん起床。
(おはようございます香さん。
ところで近くのゴミ捨て場に枕を見つけたんですけど、どうですか? いります?)
すると香さんの眠気は一気に吹き飛んだ。
「本当に!? 欲しい欲しい! どこ!?」
かなり喜んでもらえているらしい。よかったよかった。
(近くですよ。あっちの酒屋があるところの……うわっ)
「よーし出発っ!」
言い終わる前に肩に乗せられ、毛布をくるんで早速お出かけ。
「朝から探してくれたんだよね。ありがとう紅楼くん。ずっと枕欲しかったんだ」
目的のゴミ捨て場へと向かう途中、気持ちいい笑顔でお礼を言われる。
これは言われた側としても気分がいい。
(どういたしまして。なんせ空飛べるんだし、有効活用しないと。
自分で枕が運べないのはちょっと悔しいですけど)
頭を乗せるだけの物が、自分より大きいんだから変な話だ。
「一長一短ってやつだねー。でもおかげで助かりましたっ」
(いえいえ)
そして到着したゴミ捨て場で枕を手に入れ、今度は香さんの家へ向かう。
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