goo blog サービス終了のお知らせ 

Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

治安維持法を肯定する参政党が参院選の公約にしたスパイ防止法について自民党、国民民主党、日本維新の会、日本保守党と協力し「私たちが是々非々で政策協力し政策を実現していく」と言い出した。

2025年07月29日 | 恐怖のカルト参政党と極右日本保守党

参政党の神谷宗幣代表が戦前の治安維持法について「悪法だっていうがそれは共産主義者にとっては悪法でしょうね」と述べてスパイ防止法と共に正当化。次の総選挙で政権入りを目指す参政党が作る社会は恐怖の専制国家だ!

ぜひはてなのエブリワンブログにブックマークをお願いいたします。

ブログへのコメントも、はてなブログにてお待ちしています。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

 

 

 極右政党である参政党と国民民主党が議席を増やし、日本で再びスパイ防止法の制定が現実味を持ち始めなした。

 ご存じのように、スパイ防止法は国家権力の濫用に反対する市民をスパイだと決めつけて身柄拘束するばど、国家による情報の統制と監視の強化を目指すもので、日本国憲法が保障する思想良心の自由、表現の自由、集会の自由、報道の自由、知る権利を侵害する違憲の法制度です。

 自分の憲法案からこれらの基本的人権を抹消してただの一つも保障しないとする参政党ならではの強権的策動の典型がこのスパイ防止法と言えるでしょう。

『今の憲法にはあるのに?参政党の創憲案で消された私たちの「権利」』(毎日新聞)。参政党の新日本憲法(構想案)では権利という言葉は一度も使われず義務ばかりで基本的人権に関する条項がゼロの独裁国家宣言だ

 

 

 参政党はスパイ防止法の制定を参院選の公約に掲げ、その結果14議席を獲得して議案の提出権を得たことを踏まえ、神谷宗幣代表が秋の臨時国会に法案の提出を目指す考えを示しています。

 参院選の選挙期間中に、神谷代表は官僚や公務員をやり玉に挙げて街頭演説で次のように述べました。

 「極左の考え方を持った人が社会の中枢に入っている。

 極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけない。

 これを洗い出すのがスパイ防止法です」

 この神谷発言は公務員の思想調査をして、「極左」と見なせば排除すると言っているに等しく、まさに日本維新の会の創設者である橋下徹大阪市長が大阪市職労をやり玉に挙げて職員に対してやろうとした思想・調査アンケートの再来です。

かつて石破茂自民党幹事長は特定秘密保護法案について「NSC(国家安全保障会議)が機能するためには秘密の保全が極めて重要」と強弁した。石破首相が参政党のスパイ防止法案を丸呑みする危険性も忘れないでね。

 

 

 実は、この参院選で極右の参政党に右派有権者を取られてはならんとばかりに、右翼政党の国民民主党も

「G7諸国と同等のスパイ防止法の制定」

を打ち出しました。

 また、同じく右翼の日本維新の会と極右の日本保守党が法制定を掲げていますし、与党の自民党も導入に向けてスパイ防止法の検討を進めると公約に記しています。

参政党と自民党の共同会派が既に全国に12個も!神谷宗幣代表は「政治の方向性をグッと変える」「自公政権の政策にはノー」などと言っているがこれもとんでもないウソ。参政党は国民民主党と同じく自民の補完勢力だ

 

 

 そして、日本維新の会から参政党に移って当選した梅村みずほ参院議員は7月27日のNHK「日曜討論」で、

「対外国人政策は私どもの批判と相まって注目、関心が集まってきた」

「スパイ防止法の必要性とか、外国資本による土地不動産(購入)、企業の買収に懸念を抱く国民が相当いたと感じた。

 関心を引き寄せることができた」

と発言し、その上で、今後の課題として

「一にも二にも政策実現に向けてどのように動くかだ」

と述べ、連携できる政党として、自民党、国民民主党、日本維新の会、保守党をあげて

「私たちが是々非々で政策協力し政策を実現していく」

と語ったのです。

ハンドルネームが「生き地獄」かと思ったら違った(-_-;)。

参政党代表の神谷宗幣氏の同級生が語る本質。『差別心や憎悪を煽られる人、暴力的になる人が出てきた。国内には深い怒りと悲しみ、怯えが生まれた。おそろしい分断です。そんな感情を招いた責任を省みてほしい。』

 

 

 そもそもスパイ防止法をめぐっては、中曽根政権下の1985年に自民党が「国家機密法」という名前の法案を提出し、廃案になった経緯があります。

 あの時には、防衛・外交上の国家秘密の探知や収集に最高刑で死刑を科す同法案は市民から強い反対を受けて、審議にも入れなかったのです。

 ところが、その法案よりも秘密指定の範囲を広げた特定秘密保護法が憲法違反であるという市民の声を押し切り第二次安倍政権下の2013年に成立していますし、今はさらに高市氏が進める経済安全保障の名の下で産業・経済の分野にまで秘密法制は拡大されてきているのです。

 今政権与党である自民党の調査会は2025年5月に法整備を求める提言を政府に提出したのですが、主導したのは自民党内の極右で、一部右派が次の総理にともくろむネオナチの高市早苗議員です。

 

高市早苗氏は「ヒトラーの選挙戦略」というナチス礼賛本に「勝利への鍵は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」と推薦文を書いたネオナチ。参政党と組んだら日本は地獄に落ちる。

 

 

 スパイ防止法は政府が情報を秘匿して統制することで、報道機関の報道の自由は制限され、主権者である市民の知る権利が必ず侵害されます。

 そして国家権力が「違反」行為を取り締まるための監視の強化は、市民全体の言論の自由を脅かし、ひいては民主主義の根幹を揺るがすことになるのです。

 まさにネオナチの高市氏や参政党が喜んで成立を目指す法案と言えるでしょう。

 日本保守党の北村晴男氏ら右翼は少しでも権力に逆らうと「工作員」だとか「反日」とレッテル張りをするし、参政党から参院選神奈川選挙区で立候補して当選した初鹿野裕樹議員は7月18日に川崎駅前での街頭演説した際、抗議に集まった市民に対して

「ああいうのは非国民ですから」

と言い切り、参政党を支持する聴衆からも歓声が上がったそうです。

 さらにそれを批判する記事を書いた神奈川県新聞の石橋学記者を、参政党は定例記者会見から追い出しました。

この議員のことは近いうちに独立した記事にすることになる予感がしてる。。。。

嘘つき極右の参政党が、批判嫌さに神奈川新聞の石橋記者を記者会見から排除した理由を「出席の事前申請がなかった」→「参院選の街頭演説で党への妨害行為に関与」→「特定の記者や報道機関排除する意図ない」 にコロコロ変更。

 

 

 これまでネトウヨが匿名で使ってきたこれら「工作員」「反日勢力」「非国民」という言葉を、国会議員や候補者が演説などで平気で公言する世の中に今なっているわけですが、これらのレッテル張りをいわば公的に認証する制度がスパイ防止法です。

 彼ら極右政党は本気です。

 良識ある市民も本気で対抗しないといけません。

 

 

 

参考記事

村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

「スパイ防止法は、日本を窒息させる最悪の法律であると今から言っておきたいです。これは歴史の教訓と言ってもいいでしょう。

この手の言論取り締まり法、思想弾圧法、反対者弾圧を持った国が民主的、平和的に発展した例はないという歴史の教訓を持たない人が参政党を支持することの危険性と恐怖は計り知れないのです。

参政党の危険性を甘く見ている報道業者は社会にとって有害だと言わざるをえないのです。」

極右参政党の目指す「スパイ防止法」はスパイ防止には役立たず、政権批判者への弾圧しか生まない。 #参政党に騙されるな #神谷宗幣に騙されるな

極右の参政党に記者会見で排除された神奈川新聞の本物のジャーナリスト魂 @ishibs_kanagawa @shintayabe_257 @KJvdcYYG7rONyUl @KanalocoLocal

 #参政党 の危険性を報道業者はどこまで知ってる? (13) #参政党に騙されるな #ここがヘンだよ参政党 @asahi @Asahi_Shakai @mainichi @mainichijpnews @tokyoseijibu @tokyo_shimbun @danketsu_rentai @Yomiuri_Online @YOL_politics @nikkei @nhk_news @47news_official @jijicom

 

小倉健一

大荒れ!「反対するヤツはスパイ」「危険すぎ」参政党神谷氏”スパイ防止法案”提出意欲…本当に選挙中の「石破批判」ロシアの認知戦だったのか

 
 

編集後記

参院選比例区で100万票近い最高得票で当選した日本保守党の北村晴男弁護士が、石破茂首相を罵倒するのに「醜い」「奇妙な生き物」と21回も連呼して中傷し、「政治的批判の範疇を逸脱している」と大炎上中。

 

初鹿野議員のことは独立した記事にする予定です。

それにしても、昔はいい大人がこういうことは恥ずかしくて言えなかったのですが、北村晴男弁護士なんてつい何年か前に日本弁護士連合会の会長選挙に出ようとしてましたからね(-_-;)。

あの時は絶対に当選しないとわかったので立候補しなかったのに、国会議員だと100万票も取って当選とはいったい。。。。

ぜひはてなのエブリワンブログにブックマークをお願いいたします。

ブログへのコメントも、はてなブログにてお待ちしています。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

Amazon 社会・政治・法律

Amazon Kindle ベストセラー

 

 

参政党・神谷代表、秋の臨時国会で「スパイ防止法案」提出目指す考え

 参政党の神谷宗幣代表は22日の記者会見で、秋の臨時国会に「スパイ防止法案」の提出を目指す考えを示した。「法制局とも相談しながらどういった内容にするかを含めて検討している」と説明した。

 参政党は参院選で14議席を獲得し、非改選の1議席と合わせて予算を伴わない法案を単独提出できる「11議席以上」を確保した。公約では、経済安全保障のための「スパイ防止法」の制定を掲げていた。

 同法を巡っては、自民党が1985年に「国家機密(スパイ防止)法案」を提出。憲法が保障する国民の「知る権利」などの制約が懸念され、最高刑が死刑だったこともあり、世論の反対を受けて廃案になったことがある。【田中裕之】

 

 

2025年7月28日 しんぶん赤旗

スパイ防止法 与野党連携で 参政党・梅村議員

 参政党の梅村みずほ参院議員は27日のNHK「日曜討論」で、スパイ防止法を含めた同党の公約実現にむけ、与野党と連携していく考えを示しました。

 梅村氏は「対外国人政策は私どもの批判と相まって注目、関心が集まってきた」「スパイ防止法の必要性とか、外国資本による土地不動産(購入)、企業の買収に懸念を抱く国民が相当いたと感じた。関心を引き寄せることができた」と発言しました。

 その上で、今後の課題として「一にも二にも政策実現に向けてどのように動くかだ」と述べ、連携できる政党として、自民党、国民民主党、日本維新の会、保守党をあげ、「私たちが是々非々で政策協力し政策を実現していく」と語りました。

 

 

〈社説〉スパイ防止法 危うさの核心見誤るな

2025/07/28 09:30 信濃毎日新聞

 参政党、国民民主党が議席を増やし、スパイ防止法の制定が現実味を持ち始めた。国家による情報の統制と監視の強化につながる危険な動きに、厳しい目を向けていく必要がある。

 参政党は、スパイ防止法の制定を参院選の公約に掲げた。14議席を獲得して議案の提出権を得たことを踏まえ、神谷宗幣代表は、秋の臨時国会に法案の提出を目指す考えを示している。

 具体的な中身はまだ見えないものの、選挙中に、見過ごせない発言があった。官僚、公務員をやり玉に挙げ、神谷代表が街頭演説で次のように述べている。

 「極左の考え方を持った人が社会の中枢に入っている。極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です」

 公務員の思想調査をして、「極左」と見なせば排除すると言っているに等しい。神谷氏は、思想統制をするつもりはないと釈明したというが、どう言い繕っても、個人の内心に権力が踏み込む危うさは覆い隠しようがない。

 国民民主党も「G7諸国と同等のスパイ防止法の制定」を打ち出した。ほかに、日本維新の会と日本保守党が法制定を掲げ、与党の自民党も、導入に向けて検討を進めると公約に記している。

 自民党の調査会は5月、法整備を求める提言を政府に提出している。主導した高市早苗氏は、石破茂首相に代わって党総裁に就く意欲をにじませる。政策の軸が右に傾き、法制定に向けた動きが一気に勢いづきかねない。

 スパイ防止法をめぐっては、中曽根政権下の1985年に自民党が法案を提出し、廃案になった経緯がある。防衛・外交上の国家秘密の探知や収集に最高刑で死刑を科す法案は、強い反対を受けて、審議に入れなかった。

 しかし、その法案よりも秘密指定の範囲を広げた特定秘密保護法が2013年に成立している。さらに、経済安全保障の名の下、産業・経済の分野にまで秘密法制は拡大されてきた。

 政府が情報を秘匿し、統制することで、主権者である市民の知る権利が損なわれているだけではない。違反を取り締まるための監視の強化は、物言う自由を脅かし、民主主義の根幹を揺るがす。

 秘密法制がなし崩しに広がり、日常を浸食している現状にこそ目を凝らす必要がある。屋上屋を架すようにスパイ防止法を制定することが何をもたらすか。核心を見誤ってはならない。

 

 

 
 自民党の調査会が、スパイ防止法の制定検討を求める提言をまとめた。党の公約にも盛り込みたいというが、この法案、40年前の国会では廃案となったいわくつきだ。その際にも、政府が決める「国家の秘密」の中身が無限定に広がりかねない、と猛反対を受けた。戦争放棄を掲げるこの国で加速する、監視強化の法整備。日本でスパイは当たり前となるのか。(中根政人、太田理英子)

◆自民・高市氏、参院選で公約に盛り込むよう要請へ

 「日本にはスパイ防止法がなく、スパイの交換という手段が使えない。これは本気で議論を始めなければならない」
 20日に開かれた自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会の会合。会長を務める高市早苗前経済安全保障担当相は、出席した国会議員らを前に、スパイ防止法制定の必要性を声高に訴えた。調査会はこの日、同法の導入に向けた検討作業の推進や、特定の組織に属さず単独でテロ行為を実行する「ローンオフェンダー」の対策などを含む治安力の強化に関する提言を取りまとめた。
 

「スパイ防止法」制定の必要性を訴える自民党の高市早苗前経済安全保障担当相=自民党本部で

 高市氏は、特定秘密保護法や「重要経済安保情報保護・活用法」など、機密情報の取り扱いに関する現状の法体系に加えて、「スパイ活動」を規定し、監視するための総合的な法律の重要性を強調。今夏の参院選で党の公約に盛り込むよう、石破茂首相(党総裁)に要請するとした。

◆維新、国民民主…野党からも「必要」の声

 さらに高市氏は「スパイの交換」に言及した中で、「中国で反スパイ法に基づき米国人が逮捕されると、米国はスパイ防止法で中国人を逮捕する。スパイ同士の交換も行われている」と説明。国家としての日本の諜報(ちょうほう)活動の解禁も念頭に置いているかのように、日本人が中国の反スパイ法によって同国内で拘束されるパターンも例示した。
 調査会の事務局長を務める佐藤啓参院議員は記者団に「(会合では)スパイ防止法をぜひやった方がいいという意見が複数の議員から出た」と補足説明した。
 

国会議事堂(資料写真)

 同法に関しては、野党からも必要とする声が上がる。日本維新の会の松沢成文氏は14日の参院決算委員会で、国内でのスパイ活動を包括的に防ぐ法律の制定を政府に求めた。国民民主党は、同法の必要性を巡る党内議論を本格化。同党の参院選比例代表候補として擁立が決まった山尾志桜里元衆院議員はX(旧ツイッター)に、同法制定は「喫緊の課題」と書き込んだ。

◆岸信介氏が40年前の旗振り役

 ただし、このスパイ防止法にはいわくがある。「スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会」が発足したのは1984年。安倍晋三元首相の祖父の岸信介元首相が会長に就き、制定に向けた旗振り役となった。自民は1985年に関係法案を国会提出した。
 法案は、防衛や外交に関する機密情報を外国に漏らすなど違反した場合の最高刑を死刑とする内容だった。政府が決める「国家の秘密」の中身が無限定に広がり、言論・表現の自由を侵すなどと猛反対を受けた。世論や野党の反発に加え自民内にも慎重論があり、同年のうちに廃案に。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)系の政治団体「国際勝共連合」も、制定を強く主張し続けてきた。
 

国家秘密法案(スパイ防止法案)に反対し、名古屋弁護士会の弁護士ら約200人が名古屋市内をデモ行進した=1985年12月7日

 柳沢協二元内閣官房副長官補は、スパイ防止法を巡る自民の議論などに触れ「国籍や職業を問わず(監視や取り締まりの)対象になり、『反国家活動法』のような話になっていかざるを得なくなる。時代錯誤であると同時に、日本も(人権軽視の)中国と同じような国になるべきだという提案に等しい」と切り捨てる。

◆なぜ日本には公的なスパイ組織がない?

 日本には内閣情報調査室や公安調査庁などの情報機関はあるものの、米国の中央情報局(CIA)などのように公的にスパイ活動が認められている組織はない。その理由は、過去の負の歴史にある。
 戦前、スパイを取り締まる防諜(ぼうちょう)機関の柱として、憲兵や特高警察が置かれた。明治大の山田朗教授(日本近現代史)は「実際には、憲兵が反政府的な人々への監視や盗聴をするなど、『防諜』の名を借りて国内の諜報活動も行われていたのが実態」と解説する。防諜自体も、一般市民の間に「スパイが紛れ込んでいる」という不安をあおることで、もの言う人物をあぶり出す効果があったという。
 

参院議員会館前でサイバー防衛法案に反対する人たち=5月15日、東京・永田町で(市川和宏撮影)

 こうした治安監視や思想統制が戦時体制を支えた反省から、戦後の連合国軍総司令部(GHQ)占領下で防諜機関は解体された。その教訓がありながら、近年は、国家の活動の中に、情報収集や管理、監視を位置付ける法整備が進む。

◆現役自衛官「ここまでやるのかと、驚いた」

 16日に成立した「能動的サイバー防御」導入関連法もその一つだ。公共の福祉のためには憲法が保障する「通信の秘密」を制限し、政府による情報利用を認める側面がある。
 関連法はサイバー攻撃の未然防止を掲げ、政府が平時からネットの通信情報を収集・分析すると定める。自衛隊や警察が攻撃元の海外サーバーに対しプログラム削除などをする「無害化」措置を可能とし、在日米軍のコンピューターを守るための無害化も想定する。
 「ここまでやるのかと、驚いた。サイバー領域でも、米軍統制下での自衛隊の作戦行動の下地ができたことになる」。ある現役自衛官は、そう明かす。
 

「能動的サイバー防御」導入法案が可決された衆院本会議=4月8日、国会で(佐藤哲紀撮影)

 部隊運用や作戦の連携強化といった「日米一体化」が進められる中、既に米軍が自衛隊の装備品を使い情報収集をしてきた実績がある。今回の関連法成立に、この自衛官は「日本がサイバー攻撃の当事者になりうるため、意図しない形で軍事衝突に巻き込まれる可能性がある」と受け止める。

◆「情報は権力の基盤」

 さらに「核攻撃を受けるリスクも高まっている」と危ぶむ。念頭にあるのは、米国が近年、サイバー攻撃に対し核を用いた報復を示唆してきたことだ。米国防総省が核戦略をまとめた2022年の文書では、サイバーや情報の防御における「核戦力の強化」が必要と明記している。「今後、日本でもどうやって報復能力を保持するか、検討を始めることになるのではないか」と懸念する。
 ネットのセキュリティー問題などに取り組む市民団体「JCA-NET」の小倉利丸代表理事は「スパイ防止を目的とすると、多くの人を網羅的に監視することが大前提になる。憲法が保障する『通信の秘密』、言論や報道の自由に対する深刻な侵害につながる」と指摘する。「情報は権力の基盤で、重要ツール。情報収集で終わるはずがなく、次なる安全保障上の政策や国内の具体的な治安監視に波及しかねない」
 

「能動的サイバー防御」法案に反対するデモでは、特定秘密保護法や経済安保との関わりを懸念する声も上がった=5月15日、東京・永田町の国会前で

 世界では、国家間の「情報戦」が当たり前になっている。中国では先月、サイバー攻撃を仕掛けたとして、米国家安全保障局の関係者3人が当局に指名手配された。サイバー空間上の衝突が引き金となり、軍事対立に至るリスクもある。
 先の山田教授は「情報戦は戦争の前ではなく平時から行われ、合法・非合法の境目がはっきりしないまま発展するもの。CIAのように防諜から諜報、さらには軍事謀略へとつながっていく傾向は、国際的にも明らかなことだ」と強調する。憲法で戦争放棄をうたいながら、政府が真逆に突き進もうとする現状を危ぶむ。「防諜の名の下、権限の拡大解釈や乱用が行われた自らの歴史を踏まえなければいけない。一定の情報収集は必要でも、暴走に歯止めをかける措置が必要だ」

◆デスクメモ

 防止法で「スパイ交換」ができるなら日本がスパイを公認しているようだし、相手国サーバーの攻撃を未然に止める能動的サイバー防御はネット上「先制攻撃」となる恐れもある。この言い換え、撤退を転進、全滅を玉砕とした「大本営発表」のようだ。言葉の裏の本質を注視したい。(恭)

 

 

新エブリワンブログはこちら

引っ越しを完了しておりますので、ぜひブックマークをお願いいたします。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 参院選比例区で100万票近... | トップ | 日本保守党の北村晴男弁護士... »
最新の画像もっと見る

恐怖のカルト参政党と極右日本保守党」カテゴリの最新記事