goo blog サービス終了のお知らせ 

Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

安倍政権による生活保護費の減額は違法!「いのちのとりで」裁判で最高裁判決。国に「裁量の逸脱や乱用があった」と統一判断。石破自公政権は200万人強の生活保護受給者に対する違法行為を直ちに謝罪し是正せよ。

2025年06月29日 | #安倍晋三が諸悪の根源

新エブリワンブログははてなブログ

引っ越しを完了し、gooはてなを同時並行で更新しますので、ぜひはてなの方もブックマークをお願いいたします。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

 

 

 

 これは自公政権、その中でも特に生活保護受給者叩きに血道を上げた安倍晋三政権の罪の結果なんです。

 国が2013~15年、つまり第二次安倍政権が発足した翌年から生活保護基準額を引き下げたのは違法だとして、受給者らが減額処分取り消しなどを求めた大阪、愛知の2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は2025年6月27日に、安倍自公政権の対応を「違法」と判断し、処分を取り消しまし、受給者側勝訴が確定しました。

 最高裁が安倍政権による生活保護基準引き下げを違法と判断したのは初めてです。

 この「いのちのとりで」訴訟は全国29都道府県の地裁に31件起こされ、まだ高裁判決が出ておらず係属中の同様の事件もあるのですが、この最高裁判決に従って全裁判が和解で終わるでしょう。

 そして、200万人の生活保護者がこの物価高の中でも生活保護費を下げられ、ギリギリ未満の生活を強いられてきた悪政がやっと、やっと正されていくのです。

 

 このいのちのとりで裁判については今日まずまとめを書いて、続報をしていきたいのですが、この裁判では安倍政権がやった物価の下落を根拠とした生活保護基準引き下げ(デフレ調整)と、低所得世帯との格差を是正する措置(ゆがみ調整)の妥当性が争われていました。

 この日の最高裁第三小法廷はデフレ調整について

「物価変動率のみを直接の指標として用いたことは専門的知見との整合性を欠く」

と指摘し、厚生労働省の専門部会による検討を経ておらず、厚労相の判断には裁量権の逸脱・濫用があったとして、違法だとしました。

 実はここがこの事件の根本問題なのですが、野党だった安倍自民党が2012年の衆院選で生活保護費の10%減額をも公約にして大勝して政権復帰したものですから、厚労省は自民党の公約を実現するために先に生活保護費を下げられるという結論ありきで、あとから理屈をつけたんです。

 

 

 この第二次安倍政権は2013年以降、生活保護費を約670億円削減しました。

 この削減では、生活保護費のうち食費などの生活費にあたる「生活扶助」の基準額が3年の間に平均6・5%、最大では自民党の公約通り10%引き下げられました。

 引き下げ額を決めた安倍政権の厚生労働相は、物価の下落に合わせて保護費を減らす「デフレ調整」を行なったんですね。

 これに対して最高裁は、生活扶助の額は従来は世帯支出など国民の消費動向をふまえて決められていたのに、今回の調整では当時のデフレによる

「物価下落のみ」

が指標とされたと指摘し、このように指標を変えることは、専門家による社会保障審議会の部会で検討されておらず、専門的知見との整合性を欠いているとして、判断過程を誤った厚労相に

「裁量の逸脱や乱用があった」

と結論づけたわけです。

 

 

 ちなみに、2022年2月のウクライナ戦争勃発後、日本でも物価高が続いているのですが、じゃあ物価高騰を理由に生活保護費が引き上げられたかというと、自公政権は生活保護費(生活扶助)に2023年度から特例加算(月額1000円)することしかやっていません。

 2025年度からはさらに500円加算(合計1500円増額)という形で引き上げられていますが、これだと生活保護費の1%強の引き上げに過ぎないんです。

 実際には、生活保護利用世帯の実質的な購買力を維持するには「13%以上」の引き上げが必要とされていますから、必要な引き上げの10分の1しかやっていないわけです。

 それでなくても生活できる最低ギリギリの扶助費しか出してこなかったのに、下げるときには物価に合わせて10%も下げ、上げるときには物価がこんなに上がっているのに3年間で1~2%しか上げないって、どれだけ血も涙もない非道な政権なんでしょうか、自公政権。

 そして安倍首相の批判を口では言っていた石破茂氏ですが、自分が首相になっても安倍政権のこの悪政をそのままにしようと最高裁まで争っていたわけですよ。

 石破自公政権に早急に生活保護費の引き上げとこれまで削減した分の支給をさせるととともに、そもそも生存権という基本的人権を踏みにじる自公政権はぶっ潰さないとダメです(この項、続く!)

「安田菜津紀さんに、全員での最高裁判所から出るシーンを撮っていただきました。判決言い渡しから約10分、みんなで揃って出ようと意思統一。ハタ出しも全国を巡った勝訴のハタと手作りのハタを一斉に。いのちのとりで裁判の特徴と歴史的勝訴判決に相応しい感激的なハタ出しでした。」(尾藤廣喜弁護士)

参考記事

安田菜津紀

「法律はかざりか」―権利への政治介入、コピペ判決、生活保護引き下げ巡り問われる国と司法のあり方

 

 

関連記事

これぞ不当判決!名古屋地裁が、安倍政権の生活保護費引き下げは「国民感情や国の財政事情を踏まえたもの」。基本的人権の保障が財政事情や国民感情で左右されてたまるか!

【鬼か】コロナ禍の真っただ中に、厚労省が10月から「予定通り」、3軒に1軒の生活費や食費を受給者の保護費を削減。東京で75歳の単身世帯が月7万5千円→7万2千円に【死んじゃうよ】。

「いのちの砦」訴訟の熊本地裁判決で原告の生活保護受給者らが完全勝利!安倍政権による生活保護費削減は「専門的知見に基づく適切な分析や検討を怠った」もので、厚労大臣の裁量権を濫用しており違法!

安倍政権による生活保護費の減額の取消を求める「いのちのとりで」訴訟で、大阪高裁が一審判決を取り消す逆転不当判決!(怒)。厚労相が裁量権を逸脱し生活保護受給者の生存権を侵害することは絶対に許されない。

稲葉剛さんの『日本政府の美辞麗句と「SDGsウオッシュ」』(毎日新聞)に共感。安倍・菅政権以来、民意に耳を傾ける実態が伴わないのに聞いているふりだけする「聞く力ウォッシュ」が目に余る。

「いのちの砦」裁判で安倍政権による生活保護費の減額を違法と断じ、しかも国に国家賠償責任まで認める画期的な名古屋高裁判決!安倍・菅・岸田政権の生存権侵害と新自由主義政策が断罪された!!

【#いのちのとりで】福岡高裁で原告の生活保護受給者らがまた国に勝訴。安倍政権による生活保護支給額減額を取り消す高裁では2つめの判決。「厚生労働相の判断は生活保護法に反し違法」【#安倍晋三が諸悪の根源】

 

 

編集後記

尾藤先生(左)と名古屋弁護団団長の内河恵一弁護士。こんな笑顔の尾藤先生、見たことない!

 

全国の訴訟団の原告・弁護士・支援の市民の皆さん。

 

もう判決日が近づいてくるにしたがってドキドキするなんてもんじゃなくて、最高裁で勝った!というニュースを見たときにはどれだけ嬉しかったか。

近畿原爆症訴訟で弁護団幹事長をやっていただいた尾藤廣喜先生は、この「いのちのとりで」訴訟においては、全国アクションの共同代表として運動の指導・象徴的存在であり、法的・社会的意義の発信、運動の戦略的方向性の提示、原告・支援者の団結と励まし、さらには最高裁判決を見据えた社会全体への訴えまで、多面的かつ中心的な役割を果たされました。

その尾藤先生、実は弁護士になってから一度も旗出しはされたことがなく、この最高裁判決が生まれて初めての経験だったということです。

Facebookで尾藤先生が喜ばれているお姿を拝見していて、こちらも毎日もらい泣きする日々です。

新エブリワンブログははてなブログ

引っ越しを完了し、gooはてなを同時並行で更新しますので、ぜひはてなの方もブックマークをお願いいたします。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

 
事件・司法
2025年6月27日 15:02 (2025年6月27日 20:34更新) 日本経済新聞
生活保護費減額取り消し訴訟の最高裁判決後、「勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告ら(27日、東京都千代田区)

国が2013〜15年に生活保護費を引き下げたのは違法かどうかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は27日、減額を「違法」と認め、取り消した。受給者側の勝訴が確定した。国は減額分の支払いといった対応を迫られる可能性がある。

生活保護費の基準額改定を巡り、最高裁が厚生労働相の判断を違法とするのは初めて。各地で起こされた同種訴訟も今後、最高裁の統一判断に沿って審理されるとみられる。

同小法廷は基準額引き下げの大きな根拠となった「デフレ調整」について、物価変動のみを直接の指標とした点に裁量権の範囲の逸脱や乱用があり、生活保護法に違反すると認定した。国の賠償責任は否定した。

裁判官5人中4人の多数意見。学者出身の宇賀裁判長は「損害賠償請求も認めるべきだ」との反対意見を付けた。

全国29地裁で争われた計31件の訴訟のうち、今回の審理対象は名古屋と大阪で起こされた2件。高裁段階では名古屋が原告勝訴、大阪が敗訴と割れ、最高裁の判断が注目されていた。

国は13〜15年、生活保護費のうち食費や光熱費など日常生活を維持するための「生活扶助費」を最大10%引き下げ、約670億円を削減した。

うち約580億円は厚労省が独自に算出した08〜11年の物価下落率(4.78%)を踏まえた「デフレ調整」によるものだった。残りの約90億円は一般の低所得者世帯の生活水準などと比べて見直す「ゆがみ調整」が反映された。

27日の判決は、基準額を改定する際に物価下落率を指標の一つとするのは許容されるものの消費実態を把握するには限界があると指摘。これまで別の方式を用いて基準額を改定していたにもかかわらず、専門部会による審議を経なかったことを問題視した。

デフレ調整による改定で物価下落率のみを直接の指標とする合理性が認められず「専門的知見との整合性を欠いた」と判断。厚労相の判断過程や手続きには過誤や欠落があったと結論付けた。

一方で、ゆがみ調整は「合理性が認められる」として適法とした。国に対する賠償請求は厚労相が注意義務を尽くさず漫然と改定したと認める事情は見当たらないとして退けた。

宇賀裁判長は反対意見で、ゆがみ調整についても、専門部会に諮っておらず結果的に増額となった世帯があったことを踏まえ「世帯間の公平を図るという調整の趣旨に適合しない」と言及。判断過程に過誤があり、国への賠償請求も認めるべきだとした。

裁判官出身の林道晴裁判官は補足意見で、生活保護の基準額改定が周知されていなかったとして「国民一般の理解を得られるよう丁寧な手続きによる検討が進められ、結果について意を尽くした説明がされることを期待したい」と述べた。

判決を受け、福岡資麿厚労相は「今回の判決内容を十分精査し、適切に対応する」との談話を出した。

原告側は裁判で、厚労省が独自に算出した指数は受給世帯の支出が少ないテレビやパソコンの物価下落率が過大に評価され、消費実態が適切に反映されておらず過剰な引き下げを招いたと主張。専門部会に諮らないなど手続きにも過誤や欠落があるとした。

国側はデフレ調整はリーマン・ショック後も基準額が据え置かれ、一般の低所得者世帯との間に生じていた不均衡を是正するための措置で合理性があると説明。判例で生活保護行政に広い裁量が認められ、減額を決める過程で専門部会での検討が必要と定めた法令はないと反論した。

23年4月の大阪高裁判決は国の対応は合理性が認められるなどとして原告側を敗訴としたが、同11月の名古屋高裁判決は「重大な過失がある」と認め、減額処分の取り消しと1人あたり1万円の賠償を命じていた。

同種訴訟では今回の2訴訟を含めこれまで12件の高裁判決があった。7件は減額決定を取り消し、5件は受給者側の請求棄却と判断は割れていた。

「強引な政策決定、厳しく非難」

本多滝夫・龍谷大学教授
龍谷大の本多滝夫教授(行政法)の話 国の政策決定を巡り、最高裁が裁量権を逸脱・乱用し違法と認めることは珍しく、踏み込んだ判決といえる。生活保護行政に関する過去の訴訟では、厚生労働相の裁量権を広く認め、政策判断を尊重してきた。今回は国側の政策決定があまりに強引で目に余ると判断したのだろう。
判決は国側が基準額の改定をする際、必要な分析や検討をせずにこれまで採用してきた方式をいきなり変えた点について厳しく非難したものといえる。
厚労省は判決に従って基準額を見直し、訴訟の原告に限らず、減額分を補塡するなど何らかの対応が必要となるだろう。今後、基準額を改定する過程では専門的な知見の裏付けを得ることが、より一層求められる。
 
 

 

新エブリワンブログははてなブログ

引っ越しを完了し、gooはてなを同時並行で更新しますので、ぜひはてなの方もブックマークをお願いいたします。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

 
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【#社民党を党首討論会に呼ん... | トップ | 参政党が日本維新の会の予備... »
最新の画像もっと見る

#安倍晋三が諸悪の根源」カテゴリの最新記事