Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

「緊急事態条項創設」石破茂vs「9条改悪」安倍晋三。自民党総裁選の世も末改憲対決。

2018年08月19日 | 日本の政治

 

 安倍自民党総裁が三選を狙って出馬する2018年9月の自民党総裁選。自民党総裁選の争点に、対抗馬の石破茂元自民党幹事長・地方創生相は憲法「改正」の是非を掲げ、得点を上げようとしているようです。

 そんな中、石破氏がまるで穏健派であるかのように扱う向きもありますがトンデモナイ話で、ひどいことになっています。

 改憲をめぐって、安倍首相は、自衛隊の存在を明記することに意欲を見せ、次の国会に自民党の憲法改正案を提出できるよう、党内議論を加速させたいという考えを示しています。


 これに対し石破氏は2018年8月17日、国会内で記者会見し、「自衛隊の明記」は緊急性があるとは思わないと指摘したうえで、

「9条改正は国民の理解を得て、世に問うべきものだ。理解なき改正をスケジュール感ありきで行うべきではない」

と、安倍首相を批判しました。

 ところが、石破氏の憲法9条「改正」に対する持論は、自衛隊明記どころか、9条2項を削除して1項だけにしてしまうというものですからね。

 
 

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 

 この2項削除論の狙いと効果は、集団的自衛権も無制限に認める、核兵器の保有も自由になるという酷いところにありますから、この点ではミリタリーオタクで知られる石破氏の案の方が、安倍首相の案よりはるかに救いがたい内容になっています。

 そういう人が、国民の理解だの、野党との話し合いだの言っても全く説得力のかけらもありません。

 

 そして、では石破氏は国民の理解を得られていない改憲を見送ると言っているかというと全くそうではなく、石破氏は「自衛隊の明記」よりも、参議院選挙の合区の解消や、大規模災害などに対応するための「緊急事態条項」の新設に優先的に取り組むべきだという考えを再三示しています。

 この緊急事態条項は大災害などの「緊急事態」に、総理大臣が緊急事態宣言をして、国民の基本的人権を制限したり、国会の法律によらないで内閣が出す緊急政令で足りるとしてしまうもので、憲法改悪の中でも最悪の内容を持っています。

 これもちゃんと説明したら国民の理解など得られようもない代物です。

濱田邦夫元最高裁判事が断言。自民党改憲草案の緊急事態条項、「正気の人が書いた条文とは思えない」!

 

 全く、こんな改憲案を火事場泥棒的に持ち出す石破氏が安倍首相への挑戦者だなんて、悪い冗談というか、キングギドラ対ゴジラのようだというか、世も末対決としか言いようがありません。

 安倍首相が戦後最悪の総理大臣であることは自他ともに認めるところですが(あ、自は認めてないか 笑)、だからといって良識ある人は毒を以て毒を制す的に石破氏を支持することがあっては絶対ならないと思います。

 つまりは、自民党なんかに自浄作用があるわけない。

 国政選挙で叩きのめさなきゃダメってことですね。

言ってる中身をこうしてみると酷いんだけど、それでも安倍氏と並べると石破氏の方がまだまともに見えるという、安倍首相恐るべし。

よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へほんブログ村

Amazon 社会・政治・法律

Amazon Kindle ベストセラー

Amazon タイムセール商品

 

<自民党総裁選 改憲の行方>緊急事態条項の創設 国に権限 人権侵害に懸念

2018年8月19日 東京新聞朝刊

 論点は「国の権限強化」と「国会議員の任期延長」。自民党が今年三月に四項目の改憲条文案をまとめるに当たり、議論が曲折したのは国の権限強化だ。

 二〇一二年の党改憲草案は、災害や海外からの武力攻撃時に首相が「緊急事態宣言」を出せば、国民は国の指示に従わなければならないとして、国に強い権限を認めた。具体的には国民の移動を制限したり、自動車や家を所有者の許可なく処分したりすることが想定された。

 こうした私権制限は、人権侵害につながるとの懸念が強い。改憲しなくても、災害対策基本法で対応できるとの指摘もある。

 条文案は対象を大災害に限定した上で、私権制限について直接的な表現は見送ったものの、「法律の制定を待ついとまがない」場合に政府が政令を制定できる規定を盛り込んだ。政令の内容によっては、国民の代表である国会での審議を経ず、国民の権利を制限する命令を出すことが可能だ。

 党執行部は当初、議員任期延長に絞る方針だったが、石破氏らが「災害対策基本法に緊急時対応の規定はあっても、憲法に根拠が明示されていないので自治体が使えない」と主張。執行部も受け入れた。

 一方、議員任期延長は、大災害で選挙の実施が難しくなった場合、衆院議員四年、参院議員六年と憲法で定められた任期を特例で延長できる内容。条文案は、衆参両院で三分の二以上の賛成があれば可能とした。

 憲法五四条には、衆院解散中に緊急事態が起きた場合、参院の緊急集会を開ける規定があり、「議員任期延長のための改憲は必要ない」との意見もある。延長された任期中、議員は国民の信任を受けていない状況で国会で議論することになり、国民主権の観点から問題という指摘も。

 首相は、過去に緊急事態条項について「大切な課題」と話したことがあるが、昨年五月に九条改憲を提案して以降、積極的には主張していない。野田聖子総務相も、今月発表した総裁選向けの政策で緊急事態条項には具体的に言及しなかった。 (木谷孝洋)

写真


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 亡国のカジノ法成立。これが... | トップ | 沖縄県知事選、保守系候補の... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
腐れアンパンマンか、歩く汚物か (バードストライク)
2018-08-19 17:23:04
アンパンマンーー顔の中身はあんこ。
腐れアンパンマンーー顔の中身は〇んこ。
歩く汚物ーー顔も中身も全部〇んこ。

いいトシして小学生みたいなことを書いてしもうた w
ネットでも、
「カレー味の〇ンコか、〇ンコ味のカレーか、究極の二択!」
と言われておる。どっちもヤだし、どのみち選択権はない。
どちらが総裁になったほうがマシだろう?
歩く汚物が引き続き総裁=総理の座に居座り、改憲発議→国民投票を実施して
「緊急事態条項」
を成立させてしまうのか。
しかしもう日銀の国債発行や株式市場介入は限界なんじゃないのか。日本版リーマンショックみたいなことが起きて、安倍の支持率ダダ下がりで辞任になるのが楽しみだが、改憲が先に成立なら、緊急事態を発令して国民の人権を奪うだろう。

石破が総裁になれば(無理)、改憲は少し伸び、消費税を上げ(安倍だって上げるだろう)、アベノミクスという名の安倍様用株価上昇政策の尻拭いをさせられるのかな。
どちらが自民党の崩壊をより促進させるだろう?
みなさんはどう考えますか。

なお、安倍は石破と一対一の討論を避けるべく、未だ出馬表明をしていないそうである。
卑怯者なり。

そして安倍に恫喝されて出馬を取りやめ、「総理と会った」と語ったら当の安倍から否定され、口曲がり根性曲がりの麻生から「辞退の仕方が生意気だ」的なことを言われてプライド丸つぶれの岸田文雄が、安倍に呼ばれて富士の別荘にいそいそと出かけて行っていたのが、ある意味衝撃・・・
返信する
悪夢の選択 (ラベンダ)
2018-08-20 21:19:53
自分としては、ゴジラ対キングキドラと言うより、ジェイソンvsフレディ(古)の対決がしっくりきますね(笑)
いずれにせよ、どちらも国家転覆罪でギロチン送りにでもなれば良いのに(革命でも起きなければ無理だけど)
それにしても、自民党議員ってなんというか見事に動物顔してませんか。個人的に安倍はブルドック、石破はガマガエル、小泉はトイプードル、菅は毒蛇、稲田はタスマニアデビルと印象を持っています。全くといっていいほど自分でも下らないイチャモンレベルですが、彼らが非人道的な政策(あるいは行い)を悪びれることなく行えるのも、彼らが内面も外見も野獣的だからかもしれませんね(苦笑)

この話題で思ったことですが、私は最近相当弱気になってまして、もしシリアで囚われている安田純平さんが解放される率が上がるなら、というより本気で日本政府が解放交渉に挑んでくれて解放までの成果を挙げているなら、しばらくは自民党の一部の悪行に目をつぶっても構わないとまで思い始めています(つまり、石破や安倍どちらが総理になっても構わないとね、悪行に目をつぶるは大袈裟ですが)
まあ、あの自民党政権が一人の弱者のために救出交渉などまずやらないでしょうから、私が転向することはないでしょう(苦笑)

とりあえず宮武さんが夏バテしておらずホッとしました! 熱中症には本当にお気をつけくださいね!
返信する
宮武さんのこのタイトルに思わず笑ってしまいました! (諦めぬ理屈屋)
2018-08-20 23:58:22
これは過日の私による乱暴で饒舌なコメント
最終戦争ハルマゲドン(笑)クレージーファシスト安倍VS腐れアンパンマン石破に思う
ってやつを宮武さんがパクったというか、
分かりやすく品良く、かつ、うんとシャープに
見事に語り直したって感じ(笑)。
って言えば宮武さんに叱られちゃいますかね?
ハルマゲドンがキングギドラとかに変換されただけの面もなくはない(笑)。

それはそれとして、
少なくとも現状に対する危機感、石破のより鷹派センスに甘いリベラル派への懐疑という点、
そして、そうした石破の明快な改憲論が創価への手心込みもあるだろう安倍晋三の付け出し改憲論を安全で現実的に演出する悪効果。
ここに私たちは危機意識を持つべきだと改めて申し上げたいですな。
腐れアンパンマンなんてお下劣極まりない言葉使っていたのはバードさんだったんだ(笑)。
とってもお下品お下劣!
だけど、とってもビンゴな表現ね。
よい子のみんな、良識ある市民の皆様は
決して真似してはいけません。
知性というより痴性?
と『その筋の方々』にご指摘されそうだけど、
あえて申し上げよう。
これくらい言われるようなことばかりやってきたのが石破なんだよなってね!
私は忘れない。
石破が秘密保護法案への市民デモをなんとこき下ろしたのか(怒)。
人柄含めて決して評価できないのだ。

地獄への道を(善意ならぬ)論理が掃き清める
というのが石破の改憲主張への私の皮肉だ。
たしかに事実上の軍隊があること、文民条項以外に日本国憲法に軍隊なり戦争なりを想定したものはないこと、そんなことを考えれば物騒な状況にあることに違いはない。それをまたまた創価を言いくるめること込みでまやかす安倍晋三どものやり口ってのは批判してもきりがないと思う。石破の主張の方が全く評価できない代物とは言え(笑)論理的だとも感じる。
でもそれがかえって安倍晋三的な壊憲路線を穏健なものに偽装する効果を高めるだけだ。
リアリストであろう(笑)石破ならとどのつまりは
ぶつくさ批判しつつも、最後には一歩前進と安倍改憲路線に白票を入れるかもね。
言い古された言葉をこれまたあえて申し上げておしまいとしたい。
ダメなものは、ダメ!
ってね。
翁長さんの弔い合戦、野党共闘頑張れ!
返信する
石破を仲間になんて思うなよ 政界大戦略ゴッコという火遊びはおねしょのもと (諦めぬ理屈屋)
2018-08-21 00:47:17
ついでに・・・・
ここからは真夏のよるのなんとやら(笑)。
あくまでももしかしたらのお話としてね。
まっさか、そんなこと微塵も思ってもないだろうし杞憂だろうと記しておきたいけど複数の過去のことを思えばってことで・・・。

新しい、新しそうな『誰か何か』でインパクト取ろうとする政治家もいる。
小池百合子でポシャったから今度はアンチ安倍晋三、敵の敵は『みな』味方だあ!
ってノリで政界大戦略ゴッコを野党共闘サイドがやるのは剣呑剣呑、大剣呑ってね。
まっさか、さすがにやらんとは信じたいがあまりにも前科ありすぎなので念のため(笑)。
小池百合子みたいなコッテコテの極右思想の持ち主から社民党に日本共産党まで一緒くたにと目論んで軽薄右翼の前原をそそのかし、民進党の金庫の中まで引っ掻き出そうとしたが当の小池百合子が我慢できずに正直に本性剥き出して(元社民党の)角田のおっちゃんなどに『緑のたぬき』と罵られ結果的に策略未遂となったのは生々しも恐ろしい『最近の』過去だ。
そう、小沢一郎さまのことね。
筋金入りの二大政党論者(小選挙区制度)であり『民意の縮図』たる国会のあり方を思えばとんでもなく邪道なんだけど、そうした意味では石破同様論理的だ。ブレがないだけ恐ろしい。
目的のためにはどんな手段でも厭わない信念のキャラでもある。
だけどここはあくまでも共産党まで共闘できる範囲に専念すべき。石破だのこれまたまさかだと思いたいが石破に荷担してしまった場合の『秘密偉人』シンジローだのに色目を使ってなんやかやとしないことだ。
デニーさんが沖縄知事選に出るとか出ないとかというニュースもあったが、仮にそれが本当で
デニーさんも現場もその流れで頑張るというのなら沖縄知事選に専念してほしいものだ。

安倍が快勝してって狂った流れに変わりはなかろうが(怒)、石破を保守層の票を取れそうだから
と立憲民主党をはじめとした野党共闘側が期待するようでは野党に期待する有権者の票割れとなり野党共闘の瓦解になりかねない。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本の政治」カテゴリの最新記事