ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

23年6月に読んだ本

2023-07-10 18:37:58 | 読書
6月25日に父が亡くなりまして、月後半はバタバタしてて、12冊しか読めていません。
まずはミステリーを3冊、昨年末の四大ミステリー・ランキング本は22冊全て読了しました。

◆リバー(奥田 英朗)
650ページに及ぶ長編ミステリー。でもあまり長さを感じなかったのは奥田さんの筆力か。10年の時を超えて起きた4件の殺人事件、当初から容疑者は刈屋、池田、平塚健太郎の3名に絞られる。不可解な動機、したたかな被疑者たちと警察や関係者とのやり取り、松岡、千野、篠田教授、脇役もキャラが立っていて面白かった。

◆プリンシパル(長浦 京)
昨年の「このミス」5位作品だけどミステリー要素はほとんどなし。時は戦後の混乱期、これでもかのやくざ同士の抗争、否応なくその頭目となった先代の娘・綾女はしたたかに、冷酷に、抗争相手をつぶしてのし上がっていく。その末路は予想通り。読後感はおなか一杯って感じ。

◆マスカレード・ゲーム(東野 圭吾)
シリーズ4作目、なかなか事件の全貌や犯人が見えてこず、面白かった。シリーズ終了かと思いきや、一転、続編もありそう。さらには今まで気配もなかった二人のラブロマンスもありかも。次回作に期待です。

いよいよ今年も各社の文庫本フェア開始、それに先立ち昨年のカドブンを3冊、これにて全冊読了です。
◆隠居すごろく (西條 奈加)
巣鴨の糸問屋の六代目・徳兵衛が隠居したが、仕事一筋で口うるさい頑固者の彼にはやることが思いつかない。そんな彼の生活を変えたのは孫の千代太だった。千代太とその仲間たちに囲まれ、自らの人生をリセットし、第二の人生を歩み始める徳兵衛。心温まるお話でした。自分は徳兵衛さんと違って頑固じゃないし、全然違う仕事にもついて楽しい第二の人生を送っています。

◆煉獄の獅子たち (深町 秋生)
「ヘルドッグス」の続編ということでしたが、前日譚でした。なるほど、こんなことがあって、煉獄の獅子のお次が地獄のイヌとなったのか。ヘルドッグスでの阿内の異常さとか、これで理解できました。ヘルドッグス同様、全編暴力に次ぐ暴力のヴァイオレンス・ノベル。好き嫌いがはっきり分かれる作品と思います。

◆1984 (ジョージ・オーウェル)
オーウェルの代表作と言えば「動物農場」と「1984年」、動物農場は既読ですがこれは初読み。ともにスターリニズム批判の本という先入観があったのですが、「動物農場」が童話的だったの対し、こちらはhん格的なデストピアの近未来小説。歴史を改ざんし、知識層に対しては抑圧のみならず洗脳を、プロレタリアートは無知のままに置き、経済的な発展を浪費するために戦争を行う。今やとっくに過去になってしまった1984年、でも、これは過去の小説と切り捨てられない教訓が満載です。

◆花の鎖 (湊 かなえ)
梨花、美雪、紗月、三人の女性の話が並行して進む。さあ、これがどのようにつながっていくのか、登場人物がそこそこ多くて序盤は結構分かりにくい。これは横ではなく、縦のつながりだなとよううやく気が付いた。湊さんの作品にしてはイヤミス感は薄めだが、終盤次々と回収されていく伏線、これはこれで面白かった。

◆丸の内魔法少女ミラクリーナ (村田 沙耶香)
表題作の他、「秘密の花園」「無性教室」「変容」の短編が4編。表題作は30代半ばになっても少女時代にこじらせた魔法少女の夢を捨てきれないリナさんのユーモアあふれるお話。後半の2作は村田さんらしい近未来のちょっとデストピアっぽいお話。村田さんにしては気軽に楽しめる感じで、面白かった。

◆しゃもぬまの島 (上畠 菜緒)
風俗情報誌の編集部に勤める待木祐は心身ともに疲労気味。そんな彼女の元に「しゃもぬま」という彼女の出身の島の死者を天国に導くという幻獣がやってくる。少女時代の島での思い出と、現在と、夢が交錯しながら話が進んでいく。やがて昔の親友・紫織も押しかけてきて、しゃもぬまと共同生活が始まる…一見幻想的だがしゃもぬまの存在以外は割と現実的なお話、と思わせて最後は夢と現実が一気にわかりにくくなるのだが、結局しゃもぬまは落ち着くところに落ち着いたってことか。雰囲気的には純文学だけど、うーん。

◆令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法(新川 帆立)
新川さんの作品って、キャラ立ちしたホームズ役が登場するミステリーしか読んだことがなかったのですが、これはまた一風変わったコミカルな短編集。楽しく読ませていただきました。

◆戦物語 (西尾 維新)
今、またアニメ「化物語」の再放送をやってますよね。色褪せない名作、と思われたこのシリーズも段々間延びしてきて、さすがに「終物語」で完結・終了だろうなと思っていたのですが、まだ続くとはΣ( ̄□ ̄|||)。暦くん、ひたぎさんと結婚して、忍はどうするのだろう?と、なんとなく結末は読めちゃっていたのですが、、、「あれがデネブ、アルタイル、ベガ♪」、懐かしい場面も出てきて、永年のファンとしてはちょっと持ち直した感じ。まだ続きそうですね。

◆映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 (稲田 豊史・光文社新書)
自分もドラマやアニメを大量に録画するので、タイトルを見て「これは自分のことだ」と思って読んだが、現実はそれ以上だった。作品鑑賞ではなくコンテンツ消費とは言いえて妙。ネタバレサイトで犯人を確認してからでないとミステリを読むのがストレスという見解には驚愕!小説投稿サイトにやたらと異世界転生ものが多い理由、ラノベのタイトルがやたらと長くなった理由、竈炭次郎がセリフを発しながら戦う理由、バラエティ番組でテロップが増えた理由、いちいち納得でした。でも、自分は、好きな作品は決して早送りはしません。
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