親子三人馬鹿
落語の方には、おろかしいやつが出てまいりまして、馬鹿でございますが、馬鹿にもい ろいろ種類がありますようで、四十八馬鹿、あるいは百馬鹿、色気のがあるかと思うと、 食い気のがあったり、さまざまでございまして、中には、兄弟で馬鹿、親子でなんてんで。
弟「あんちゃん、あんちゃん、一年ってのは、十三か月だな。」
兄「馬鹿だな、そんな事を言ってるから、近所の人が、みんなお前の事を馬鹿だ馬鹿だって言うだ、一年は十三か月じゃねぇ、十四か月だ。」
弟「そんな事ないよ、あたい、今聞いてきたんだから、じゃ、数えてみようか、一月二月三月四月五月、六月七月八月九月十月、ううん、十一月十二月お正月、ほらみろ、やっぱり十三か月じゃねぇか。」
兄「馬鹿、お盆が抜けてら。」
なんてんで、てめぇの方がよっぽど抜けておりまして。
弟「あんちゃん、来年のお正月とお盆は、どっちが先に来るのかい。」
兄「そんな事は、来年にならなきゃ分からないじゃないか。」
ってぇと、それを聞いていた親父が。
親父「うん、さすがに兄貴だけあって、考えがしっかりしている。」
なんて、変な親子があったもんで、これもある愚かしい弟が、夜道端で物干し竿を振り回しておりまして。
兄「おい、お前なんやってんだい。」
弟「あ、あんちゃんかい、あのね、今お空でピカピカ光っているお星様がきれいだから、この物干し竿で、取ろうと思って。」
兄「馬鹿、こんところで、物干し竿振り回したって、星なんて取れるもんか、星はもっとうんと高いところにあるんだぞ。」
弟「そうなの。」
兄「当たり前だ、屋根へ上がれ。」
なんてんで、二人で屋根へ上がりまして、物干し竿を振り回しておりますと、それを親父が見つけまして。
親父「おおい、おまえたち、何をやっているんだ。」
兄「あ、おとっつぁんかい、いまね、おとのやつが、お空で光ってるお星様取ってくれってぇから、この物干し竿で取ろうと思って。」
親父「馬鹿、そんな所で、物干し竿振り回したって、星なんざ取れやしねぇ、降りてこい、降りてこい。」
兄「じゃ、おとっつぁん、あのお星様ってのは、いったいなんなんだい。」
親父「いいか、よーくおぼえとけ、あれは、雨の降る穴だ。」
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