3. 崩れる兵士の真実
スペイン内戦で共和国派の兵士が銃に撃たれ、崩れ落ちる瞬間を捉えた、ロバート・キャパの最も有名な作品の1つだ。と同時に、最も激しく議論が交わされる作品でもある。今日まで、この写真が本物なのか、キャパによるやらせなのか判然としないのだ。
どちらの主張もそれなりの根拠がある。スペインの新聞社が2009年に行った調査では、撮影現場はエスペホ郊外であると特定されている。エスペホで激戦が繰り広げられたのは確かであるが、ここが戦火に見舞われたのは写真が新聞に掲載された3週間後のことだ。さらに、90年代半ばに発見されたキャパのネガからは、同時に撮影されたやらせ写真と思わしきものが見つかっており、本作品でもその可能性を匂わせる。
一方で、国際写真センターの専門家たちは、写真が本物であると信じている。一説によれば、これはスナイパーの狙撃を受けたことで、やらせ写真が本物になったしまったものなのだという。だが、この見解は、兵士は機関銃によって死んだというキャパの説明とは食い違っている。決定的な証拠が出ない限りは、この最も有名な写真は謎に包まれたままだろう。