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六代目三遊亭円生の落語「居残り佐平次」

2015年04月23日 | 落語・民話

六代目三遊亭円生の落語「居残り佐平次」(いのこり さへいじ)

 

 品川の遊郭(貸座敷)に5人連れで安すぎる割まい1円ずつ出し合ってどんちゃん騒いで、お引けと言う時、4人には朝早く帰ってくれと言い出す。

その金を母親に渡し、タバコ入れを金に換えれば当分食べていけるだろうから、佐平次だけが居残るという。

自分は体が悪く、ここ品川の貸座敷で転地療養をするという。

海辺の空気の良い所でブラブラしていれば治ると先生は言うが、場所があっても金がなければ出来ない。

そこで、ここに居残りすることに決めた。

 翌朝4人は早々に帰っていった。

若い衆に直してくれと頼んで、酒肴が出て一杯やってトロトロと横になり、その上にカイマキが掛かって昼過ぎ。

そうそう寝かせておく訳にはいかないので起こした。

替わり番だからお勘定の方をと言ったが、遊びはちょくちょく払うと冷めてしまうから後でまとめて払うと言って、内風呂に行ってしまった。


 湯上がりの酒はベタベタの甘口ではなく辛口で、肴は「荒井屋の中荒(ちゅうあら。中串)かなんかとって貰おうじゃないか、白焼きでこうやって、それと蒲焼きを、それを熱いおまんまの上に乗せてウナ茶漬けなんかでやろうじゃないか」と。

若い衆は替わり番なのでお勘定というと、夕べ帰った4人が金を持って裏を返しに戻ってきて、わ~っと遊んで祝儀をはずんで、帰っていくんだ。

その来るのをこうやってつないで待っているんだ。


 酒肴が出て、飲み始めたが、見世側では忙しくなってきて勘定をもらい損なって、翌朝。

 若い衆が集金をかねてやってきた。

4人様もお見えでないし、御内緒もうるさいのでここでキリを着けてくれと言われ、逃げ場が無くなり「銭は無い」。

神明の軍鶏屋で飲んでた4人だが気が合って「品川に繰り込もう」でここに来たので、何処の人だか分からない。

若い衆達の顔色が変わった。

先を制して行灯部屋に引き下がるが、行灯部屋は無く、布団部屋であった。

そこで”居残り”を始める。

 その様な客のキズがあると商売にケチが付くかと言えば、おかしなものでその晩も翌晩も大忙し。

大見世では2~30人程の奉公人を使っているが、忙しく手が回らない事がある。

 刺身が来たが下地(醤油)が無くて食えるか、と愚痴っていると、そこに下地を持って現れた。

だれだ、若い衆の様な者です。

紅梅さんの勝さんでしょ。

紅梅さんはノロケばっかり言ってますよ、その上、今晩は浮き足立っています。

「よ!よぅ」で、ご祝儀をいただいたその時、紅梅さんが入ってきて、居残りだと分かってしまった。

忠義の見せ所、聞けば隣の蕎麦ツユであった。


 そろそろ2階で働き始めた。

人間がずうずしくて、酒の相手が出来て、言う事が面白いと言う事で、馴染みも出来てきた。

中には呼んでくれよ、芸者じゃなくて、未だ居ればあの居残りを。

で、若い衆達は大むくれ、そのはず、祝儀を独り占めされ始めた。

 御内緒に呼ばれ、主人から「もう帰ったら」と誘われたが、「悪さの限りを尽くしているので追っ手に追われています、もう少しここに置いてください」。

「それが分かったら、なお出来ない」。

「お金がないので出る事も出来ません」。

「ここにある20両あげるから」。

「着るものもこれでは目に付くので、誂えたばかりのご主人の着物も」と言う事で、一式もらい見世を出た。

若い衆が後を付けると、鼻歌を歌いながら歩いているので注意をすると「俺は居残りを家業にしている佐平次と言うもんだ。

品川では初めてだから、お前も俺の顔を覚えておけよ」。

ビックリして見世にとって返して、ご主人に御注進。


「チキショウ。どこまで人をオコワにかけるんだ」、

「貴方の頭がゴマ塩ですから」。

 

 

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