「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

京都大学iPS細胞研究所の論文不正問題

2018-01-24 | 2018年イベント
山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所(CiRA、サイラ)の論文不正問題がScienceのHPでも採り上げられています(参照www.sciencemag.org/news/2018/01/nobel-laureate-suggests-he-could-resign-leadership-post-over-colleague-s-bogus-paper)。そして、山中所長が引責辞任の可能性を自ら提案したことについて「事件の深刻さを強調する目的があるのではないか」という見方を紹介していました。

本件について、日本の有識者の方々のご意見もすこし見てみましたが、色々な見方が存在するようですね。
個人的な意見を言えば、山中所長は当該論文の著者に含まれていないので不正に対する責任をとる必要はないとは思いますが、たしかにCiRA所長を辞任すれば研究所内の風紀粛正にはつながるかもしれないとは思います。
そして、そのまま京都大学の一教授として、もっと現場に近いところで活躍してもらえばいいのではないかとも思うのですね。マネジメントが主な仕事になる所長職ではなく、iPS細胞研究をより直接的に牽引できるラボ主宰者の立場の方が、ノーベル賞を受賞した研究者としての力量がより発揮されて、結果として、日本のiPS細胞研究がより活性化されるかもしれません。

世の中から犯罪が決して無くならないように、研究業界から不正は決して無くなりません。しかし、それでも犯罪を極力少なくするための治安維持の試みが重要であるのと同様、研究不正を減らしていく努力も続けていくべきでしょう。
今まさに栄華を極めたノーベル賞受賞者が自身の進退をかけて警鐘を鳴らそうとしています。その心意気を賞賛します。


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