「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

DNA二重らせん構造をめぐる物語

2018-04-25 | 2018年イベント
本日4月25日は、Nature誌に、あの「ワトソンとクリックのDNA二重らせん構造」論文が掲載された日です。

WATSON JD, CRICK FH. Molecular Structure of Nucleic Acids: A Structure for Deoxyribose Nucleic Acid. Nature 171, 737–738 (25 April 1953).

わずか1ページ程度の内容ですが、今から65年前の1953年に発表されたこの短報は、20世紀で最も重要な論文の一つと言われます。この偉大な業績によって、James WatsonとFrancis Crick、そして「第三の男」Maurice Wilkinsは1962年にノーベル賞の栄誉を受けることになりました。

しかし、自称・正直者であり、ある意味で恥知らずでもある、ワトソンの自著によって、この素晴らしい発見の陰には1人の女性科学者の貢献が大きかったことが広く知られるようになりました。
そう、ロザリンド・フランクリン Rosalind Franklinです。
ここではフランクリンの功績が如何にして無視されたかという点には触れませんが、65年前のケンブリッジで起きた出来事は一つの人間ドラマとして非常に興味深いものがあります。もし興味がありましたら、ぜひ調べてみて下さい。

さて、そのDNA二重らせん構造の解明とフランクリンの功績を称えて、本日、うちの大学院でも特別講義が開催されます。
DNAが遺伝情報の記憶媒体であることが判明し、DNAに切り込む分子生物学の様々な研究成果によって、今日、遺伝子と疾患の関係性についての理解はかなり進みました。それこそ65年前とは医学者たちの目前には全く異なる光景が広がっています。そして、患者さんひとりひとりの特徴に合わせた「精密医療 Precision Medicine」は、現在、世界を席巻しています。このようにDNA構造の解明は今日の社会の在り方に大きな影響を与えています。
特別講義でどんな内容が語られるのか楽しみです。



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